53.感情の炎
こんにちは。こんばんは。もう10月です。時が流れるのは早いですね!
少し話題が変わりまして、年末年始なんやかんやあって投稿出来ないかもです。まだ、決まった訳では無いぞ?
「ねぇ、遊ぼう?」
無邪気で無垢な少女のような声色で、そう言葉を発したなにか。姿形は見えず、どこから声が聞こえるのかも分からない。気配がまるで無く、風を相手にしているようだ。
だが、声の主はおそらく人間。この炎の中に、誰か人がいるとでも言うのだろうか?
「こんな場所で子供の声ですか?おかしいですね。誰も近くにはいないと思うのですが…」
ノンが不思議そうに言葉を発しながら、キョロキョロと辺りを見渡している。
その一方。フレイは
「誰?出てきて」
誰とも分からない声の主に、怪訝そうに問うていた。
「誰だと思う?君達は、私の事が分からない。でも、私はあなた達を分かっている」
少し面白そうに、誰とも分からない何かが言葉を返す。その言葉にフレイが
「私達を殺しに来たの?」
辺りを見渡すのをやめて、フレイが炎のある一点を見つめながら言葉を零す。
「ふふ、違うよ?殺しはしない。お話をしよう。フレイ」
その少女の声をした何かは、楽しそうにそれでいて無邪気にフレイの名を呼ぶ。
それに、フレイは眉をひそめながら、さっきから見つめている場所を殺気を込めて睨んだ。
相手は殺し屋の事を分かっており、自分達は相手の事を全く分かっていない。これは本当の事らしく、そんな状況でおかしな事をするのは得策ではない。
ノンとエリックは、辺りを見渡していたがやはり何も分からず、一応フレイが見つめている場所に視線を向けてみた。
別にそこに何かある訳では無いのだが、フレイには何か見えるのだろうか?
「ふふ、分かるんだ。凄い、凄いね。流石は、この大陸で、1番の殺し屋さん」
喜び、楽しんでいる無垢な少女の声で聞こえて来たその言葉に、フレイが目を見開き驚いた表情を作る。
だが、それは一瞬だけだった。それからすぐにさっきまでの優しい色が宿っていた、驚いた表情を作っていたフレイの顔が真顔になる。いや、違う。顔から、瞳からそこに宿っていた色が無くなり表情が抜け落ち、それはまるで人の姿をした何かになったフレイがそこにいた。気配が違う。辺りに漂っていた空気がまるで、フレイを拒絶するかのように歪んだ。
エリックは、そんなフレイに少し怯えながらも考えた。フレイがこの大陸1番の殺し屋?それがどういう意味なのかを…。
だが、それはすぐに分かった。いや、分からないといけなかった。
「お前は、何者だ?」
本能的な恐怖を植え付ける低い、低い声色で、殺意と憎悪と多少の狂気が混ざった声風。
言葉に質量が宿りそれが辺りの空気に伝搬して行き、体に液体の金属が纒わり付く様な感覚。体が震え、意識が刈り取られる様な錯覚を覚えた。
「わー、凄く怖くなった。怒ったの?それとも、脅しているだけ?だけど、凄い気配だね。殺意が体に刺さって痛いよ」
少女の声をした何かは、フレイを嘲笑い小馬鹿にして楽しむように言葉を返した。怯んでいない。恐怖をまるで感じていない声色で、だ。
「お前は少し、調子に乗りすぎだ。殺すぞ?」
さっきよりも低い声色で、重い質量を帯びた言葉でエリック達には分からない何かを睨みながら、フレイは言葉を発した。
炎が揺れる。フレイを拒絶し、怯えるように炎が揺らぎピンク一色だった炎に蒼が混ざる。
「へー、炎の色が変わるとは。ねぇ、フレイ。君は、もう壊さないの?今を…。どうして、襲って来ないの?どうして感情に任せて暴れないの?前みたいに、どうしてこの世の全てを憎まないの?。教えてよ。君はどうして…変われたの?」
最後の方は凄く哀しく弱々しい儚い少女の声で、そうフレイに問いかけた。
そして、数瞬の間を置いて、
「ねぇ、フレイ。君は…もう壊さないの?壊して…くれない…の…?」
炎の色が少女の感情を表している様に、哀しい蒼色一色に変化した。まるで泣いているように炎は揺らぎ、何故だろうかさっきとは打って変わって、フレイに怯えている様な気がした。
フレイは、それを聞き瞳に色が戻って行く。空気が穏やかになって行く。今まで睨んでいた場所に、フレイは微笑みを向け
「もう、壊さないよ。気に入ったものができたから…」
少しだけ複雑なフレイの笑顔。決して見下していない。哀れんでいない。少女に向けて、ただただ質問に対しての回答のみを返した言葉。
そんなフレイの回答を聞いて
「そう。変わったね。皆…。また、会おうよ。フレイ…。次は、もっとちゃんとして」
少女の言葉は哀しく、途中から少し掠れたものになり、炎の色が蒼から藍色に変化して行く。
そして、炎の揺らぎが小さくなって行く。まるで、動くのに疲れたかのように。
そんな様子を見て、フレイは
「そうだね。また、会おう。そしたら次は、昔話をしよう?そして、褒めてあげる。一緒にいてあげる」
「本当に…?約束だよ?」
「もちろん。約束ね」
フレイの言葉に、少女が少しだけ微笑んだ気がした。
そして、炎が今までで1番大きく揺らぎ藍色から、オレンジ色へと変化して、空気に熔け消えて行った。
〇◇
「で、フレイ。誰だったんですか?あの子供は?」
「あー、えーと、昔からの友達、かな?まあ、気にする事はないよー」
ノンの質問に、曖昧な回答をするフレイ。まあ、あまり知られたくない事であれば、深くまで探るのはあまり褒められた事ではない。
それぐらいは、ノンも理解している。
「そうですか。なら、気が向いたら話して下さいね?」
「はーい。分かりましたー」
そんな会話を聞きながらエリックは、上を向いた。どうやらもう夜になったらしい。空には、星が輝き月が登っている。
「よし、帰ろっか」
フレイが燃えた家々を一瞥してそう言った。それにエリックとノンは
「そうですね。帰りましょうか」
「そうだな。もうやることもないしな」
そう言って3人で歩き出す。と、そんな時
「「キャー」」
どこからか、そんな悲鳴が聞こえて来て大きな爆発音が辺りに響いた。さっきの爆発音よりも少し大きな音。
「また、ですか?」
ノンが少しだけだるそうに辺りを見渡すと、少し遠くの方で赤色の炎が上がっている。
さっきも爆発音がしてここに来たのだが…次は違う場所で起きたらしい。そう、エリックが考えていると
「いや、違うよ。さっきの炎は、爆発音なんてしなかったんだ。私達が勝手に勘違いをしただけだよ」
「もしかしてそれって、重なってたんですか?炎が」
「たぶんねー」
フレイがそう言いながら炎の方へ走って行った。それにエリックとノンは、慌てて付いて行くのだった。
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「ふぅー。殺し屋さん達は、まだみたいだね」
「そうだね。少し遠くで別の炎が色を変えていたから、そっちの方に行ったのかな?おねーちゃん」
姉のマヤと妹のラプ。さっき仕事を終えて帰ろうとしたのだが、少し追加で仕事が入って来た。
その仕事内容は、火事を起こす事。なので、火魔法で火事を起こさせたのだが、
「どうして、ここは燃えないの?」
「さぁー。変な魔法でもかかってるんだよ。たぶんね。もう仕事は終わったから、帰ろう」
「そんだね。おねーちゃん」
そう言ってラプとマヤは歩き出した。
さっきラプは、燃えない家を少し躍起になって燃やそうとしていたのだが燃えなかった。理由は、分からないがあまり大きな家でもないので、諦めることにしたのだ。
外壁は白く、扉は濃い茶色の家。たが、そんな事はもうどうでもいい。
「今日の夜ご飯は何かな?」
「んー、シチューがいいな」
「おねーちゃんと一緒ならなんでもいいけどね」
そう言ってラプは、姉の手を握りながら2人で仲良く炎の中を歩き帰って行くのだった。
今回のサブタイトル、結構良くないですか?自分的に結構気にいっております。
サブタイトル考えるのって楽しいですよね。(*^^)v




