29.依頼が大変な理由
ガシャーン。ガラスの窓が割れる大きな音と共に、いきなり殺し合いが始まった。家の中に入って行った4人がまずは、自分達が殺す相手を全員外に投げ出す。その後は、個人で、自分の相手を追い込めばいいらしいと今さっき隣にいるロットに教えてもらった。
マスカ達が、部屋に入って数秒後には、中にいた人達が窓から飛ばされて来る。ものの十数秒で、中にいた7人は外に出せれた。各々、自分の相手との戦闘が始まる、と思いきや家の中に入った4人の相手は、どうゆうわけかすでに気絶しており、残りの3人も落ちた衝撃で、皆うずくまっているのだ。
マスカ達4人は、ただ首根っこをつかんで光の柱まで連れていくだけだ。あれ?おかしい。エリックは直感的にそう感じた。こんなにも簡単な依頼なら自分は、ここにいないはずだが…と。エリックの違和感は後で分かるのだが、今はそんなことを考えても仕方がないし分からないと思い、自分がやらないといけない仕事に集中することにした。エリックが連れて行く相手を一瞬でみつけそいつの首根っこを掴み連れて行く。
他人の家の屋根を走りながら、エリックはふとロットは、どこに行ったのかと周りを見るが見当たらない。まあ、後から来るだろうと思いそのまま走る。
5分ぐらい走ると、だんだんと家が無くなっていき森になってきた。そろそろ王国の外に出るので、地面へと降りる。
すぐに森になり木々の中を通って行く。もう少しで、王国の外に出るというところまできた時に、遠くの方で何故か火魔法が発動していたがまあ、関係ないのでそれを気にする事なく進みエリックは、王国の外に出た。
キンキンキン何重にも重なって聞こえる、すごい速度で剣と剣がぶつかる音が近くで鳴り響いてきた。音が聞こえる方を向くと、マスカらしき人がおそらくは、女であろう誰かと火花を散らしながら戦っていた。何故マスカらしき人なのか…それは速すぎて残像が何とか見えるぐらいの速度だからだ。これは、勝てない。一瞬で理解できるほどの速度だ。これは関わらない方がいいと思ったので、その場からすぐに離れさっさと光の柱に向かう。
そろそろ着く頃だ。誰も見えなくなった森を走り、王国の外に出て1分もしないうちに、光の柱の元までたどり着いたエリック。柱の近くには、5人の気絶した人達が積まれておりエリックも自分の持っている、5番のやつをその上に積み上げた。その時だった。どこからともなく現れた、3人の剣を持った人達。1人は、ロングソードで後の2人は、レイピアを持っており顔は、フードを被っているので分からないが雰囲気的にあまり強そうではなく、おそらく全員男だろう。
「お前は、今ここにいる殺し屋達の仲間だな。お前を処分する」
いきなり真ん中のロングソードを持ったやつが、そんなことを言ってきた。
「処分ってどういうことなんだ?というか、お前達は何者なんだ?」
「ふっ、そんなことをお前に説明する必要なんかない。死ね」
といきなり襲いかかってきた。エリックは、懐から短剣を取り出し一旦後ろへと下がり相手と構える。とさっきまでいた、レイピアを持った2人がいない。どこに行ったのか周りを見ると、後ろから2人が襲いかかってきた。間一髪のところでかわしその2人から距離をとり冷静に考えてみる。まずは、どうしてこんな状況なのかを。そして、さっき攻撃してきた3人は、殺してもいいのかを。まあ、この際相手を殺す殺さなというのはなしで、できるなら殺さずに相手3人に勝とうと決めた。
また、さっきと同じように3人と向き合うエリック。先に動いたのはロングソードを持った男だ。剣と剣がぶつかり合い戦いが始まる。ロングソードを持った男が、攻撃をしそれをエリックが受け流す。2、3回剣を交えて分かったことは、どうやらエリックの方が相手より何倍も強いようだ。
余裕があるエリックは、相手の攻撃をしっかりと見極めきれいに膝蹴りのカウンターを入れ、1発で動けなくさせた。レイピアを持った男2人は一瞬呆気にとられていたがすぐに、正気に戻りエリックに攻撃を仕掛けてくる。
2人同時に攻撃してくるので、さっきよりかはやりにくいが、攻撃がそこまで速くないので簡単に対処できる。レイピアは、相手を刺すのに特化している剣なので、相手から距離を詰めてくる。なので、剣の軌道をずらしすれ違いざまに膝蹴りを腹に入れれば、簡単に相手を動けなくさせることができる。今ので、1人膝蹴りが入ったのであとは1人。さっきと同じように入れ3人を倒した。倒した3人も光の柱のそばに積み上げた。
周りには、人の気配がないので下手に動かずここにいた方がいいと思いったので、少し休憩しようと座れる場所を探そうと歩き始めたその時、空の上からロットが飛んできた。
「びっくりした。なんだ、エリックか」
急に空から飛んできたロットは、2人を持っていた。
「これで、全員かな」
「ロットは、どうしてこんなに遅かったんだ?」
「あー、それはね、少しこいつらの仲間に絡まれたからだよ」
「こいつらの仲間?」
「そういえば、エリックは初めてだから、分からないよね。時間ないから簡単に説明すると、こいつら人を殺せない魔法が解けてるんだよ。ほら、支援魔法と同じでその逆の魔法も1種類しか効果発動しないから。この人達は、魔道具を使って解けた人達なんだよ」
「でも、どうして襲ってくるんだ?」
「それは、魔法が解けてるからだよ。それと、昔から仲が悪いんだよ、この人達の組織と。まあ、だから向こうから手出してきたら、別に殺してもいいよ」
「そうなのか。けど、この依頼は7人しか殺さないんだろ。それなのに、どうして俺やマスカが呼ばれたんだ?そこまで大変そうじゃないけど」
「いいや。この依頼って、今までで1番大変だよ。この国の王は、魔法が解けた人間を片っ端から、殺してるんだよ。この国は、特殊でね、魔法が解けた人達が、大きな組織を作ってるんだよ。で、今回の依頼は、その中でも立場が上の人達を、殺すからね。勝手に、組織の人達がその人を守ろうと湧いて来るんだよ。それを、王は分かってるからね。確かに7人しか殺さないなら楽だけど、その7人を殺すところを見た人達も、殺さないといけないでしょ。だって、7人を殺す場所に誰も居ないわけがないじゃん。ここ、組織の拠点だよ」




