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14.宿屋から宿屋にお引っ越し

 宿屋に戻ってきたエリックは、2階へと上がり自分の部屋へと入る。そして、ベッドに寝転ぶ。殺し屋の仕事は、意外にも簡単でさくっと終わる楽な仕事で良かった、そんな事を思いながらエリックは、うとうとし始めて、やがて眠りについた。


 エリックが起きたのは、朝を少し過ぎた辺りだ。そして今日、この宿屋とはお別れだ。なので朝ご飯は、食べることが出来ない。次は、どこの宿屋にしようか考えながら軽く部屋を整える。さっさと、整え部屋に鍵を掛け、1階へ行き受付へと鍵を渡す。


「ご利用ありがとうございました。次回のご利用お待ちしております」


 エリックは、宿屋を出てまた別の宿屋を探す。ずっと同じ宿屋でも良いような気がするが、エリックは、同じ宿屋だとすぐ飽きてしまうので、いつも2~3泊して次の宿屋に行くようにしているのだ。


「次は、どこにしようかなー」


 そんな事を、言いながら歩き回る。そして、20分ぐらい経ってやっと宿屋を決めて中に入る。


「いらっしゃいませー。この宿屋では、3食食事付きで、1泊銀貨2枚でーす」


 さっきの宿屋より、こっちの方が安いなと思いながら


「じゃあ3泊で」

「かしこまりました。では3泊ですね。ちなみにお部屋に何階がいいかご希望は、ありますか?」

「うーん、できれば一番上の階がいいかな」

「かしこまりました。では、3階の304号室ですね。では、ごゆっくりどうぞ」


 エリックは3階に上がり304号室の扉の鍵を開け、中へと入る。部屋は全体的に少しせまいが、窓はけっこう大きい。部屋の中にはベッドにテーブルと椅子そして、前の宿屋ではなかった数十冊の小説が、本棚に置かれていた。

 エリックは、宿屋の部屋から外を眺めるのが、昔から好きで、だいたい宿屋の部屋に入ったらいつも外を眺めている。3階建ての宿屋は珍しいので、今日は少し長めに外の様子を眺める。

 そしてその後、1階に戻り朝ご飯兼昼ご飯を食べる。出てきたのは、パンとスープそれだけだ。どうしてここは、安いのか気になっていたが、それがなんとなく分かった気がした。まあ、ちゃんと3食出るのは感謝だが…。

 きちんと完食した後、今日は何をしょうか考える。ここから、マスカの家までは、だいたい15分ぐらいで行けるが別に今は、行きたいわけではない。ダンジョンにも行く気にもなれない。本当に、やることがまったくないのだ。こういう時は、決まって散歩だ。今は、昼なので人が一番多い時間帯だ。エリックは、人通りの少ない道を選びながら何か食べたいな、と思ったので人がまあまあ並んでいる屋台を選ぶ。


「いらっしゃい。今日は、焼き鳥がおすすめだよ」

「じゃあ、焼き鳥を2本で」

「毎度。銅貨4枚ね」


 お金を払った後、焼き鳥を受け取り歩きながら食べる。量もありとても美味しい。1本目を食べ終わりかけた時いきなり後ろから声がした。


「やっほー、エリック」


 後ろから声をかけてきたのは、カエデだった。


「あー、カエデか。こんなところでなにしてるんだ?」

「カエデかって、何か文句でもあるの」

「いや別に。で、なにしてるんだ」

「暇だから、ただ散歩してるだけだよ」


 少しだけ機嫌が悪くなったカエデを、エリックは一瞥して相変わらずだなと思いながら、焼き鳥の1本目を食べ切る。カエデとは、特に話すことがないので、何を話そうか考えていると


「ねぇエリック、その焼き鳥ちょうだい」

「えーどうしょうかなー」

「ねーいいじゃん。ね、くれるよね」

「じゃあ、あげるよ」

「おっ、さすがエリック。やっぱり優しいねー。じゃあまたねー」


 エリックは半ば強引に焼き鳥を取られ


「いいことねぇなあー」


 と愚痴を吐きながら今まで歩いて来た道を戻って行く。少し歩き人通りが少ない道に入った時、また後ろから声をかけられた。


「久しぶりですね。エリック」


 後ろにいたのは、なんとヘクトだった。カエデよりも全然かわいいヘクトだ。初めて会った時とは違いローブを着ていないので顔がはっきりと見える。


「ああ、久しぶりだなヘクト」

「元気そうでなによりです。ところで、こんな所でなにを?」

「暇だから散歩してるんだよ」

「そうなんですか。なら少しお話をしませんか?」


 意外な事を言われて、驚いたエリックだったが、エリックは心の中で少しだけ喜びながらヘクトに話しかけるのだった。

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