あと一歩
「それでも、アロイス殿には迷惑をかけたのは事実。それに対して謝罪いたします」
「分かりました。謝罪をお受けします」
こんな子供にもしっかり謝罪をしてくれるんなんて、良い人達だな。
「それでは魔道具を起動します」
「頼む」
上手くいってくれ!
ブォンブォンと音を立て魔力が地面に流れ始める。
「「「おぉぉ」」」
目に見えて分かるほど大地が蘇るのが分かるが……
「これは…」
「そうですね」
「ええ…」
確かに見違えるほど大地は良くなっている、しかし範囲があまりにも狭い。魔道具を中心に直径で50mほど、ファレント公国に広がった不毛地帯を考えると微々たるもの。
「流れる魔力が少ないのか、もしくはこの範囲までしか回復を出来ないのか」
「一応出力を調整出来ますので、最大出力にしてみましょう」
出力を最大にすると音がより大きくなったが、広がった範囲はたいして変わらず。
「ダメですね、多少広がりはしたもののこの程度では意味ないですね」
「この魔道具を大量に置かないと国全土を賄うのは不可能ですな」
「この魔道具にはドラゴンの魔石を使っていますので、大量に作るのは難しいかと」
「ド、ドラゴンでしたか。それは難しいですね」
「やはりこの国はもうダメなのだろうな」
王と宰相は諦めた様に呟いている、しかしこれで諦めたらこの国に留まらないかもしれない。
「諦めるのは早いです」
「そうは言うがここまでして駄目ならどうしようもないではないか」
まだ何か他に解決策があるかもしれない。方向性は間違っていないと思う。地面に魔力があればなんとかなるのは分かったのだから。ただ問題は魔力量にある、生半可な量だと意味はない。もっと大量にそれも常にある状態じゃないとダメ。何か、何かないか。あと一歩の所まできているんだ、何か手があるはず。こういう時に前世の記憶が役に立てば良いのに、前の世界だと魔力なんて無かったから何も思いつかない。
「例えば魔石を地面に埋め込むとか?」
「いや、魔石自体は何も加工しなければ魔力を外に出す事は無い」
「ですよね」
あれ、でも魔石って砕いたらどうなるんだろ?昔母上から魔道具は壊れない限り使えるって言ってたけど…
「あの質問なのですが、魔石って砕くとどうなるのですか?」
「魔石は割れると魔力が無くなって塵になるな」
「無くなった魔力はどこに行くのでしょうか?」
「⁉︎確かに、もし空気中に霧散するのならその魔力を地面に流せれば何とかなるか?」
「そうですね。小さい魔石でも魔力保有量は莫大だからこそ半永久的に魔道具として使える訳ですからね」
「ただ魔力を流す方法が見つかりませんね」
魔石を割った瞬間に魔力が霧散するんじゃ地面には行かずに空気に漂うだけになる。魔石を箱に詰めてその中で割れば外には行かず箱の中に残りそれを地面に埋めるか?
「例えば、箱の中で魔石を割りそれを地面に埋めれるのはどうですか?」
「箱から魔力が漏れないなら地面に埋めても意味は無いのでは?そもそも箱の中でどうやって魔石を割るのだ?」
確かに、穴を開ける?それだと埋める前に空気に漂うか、箱の材質を魔力が浸透する様な物にする?いや、魔石を割る事が出来ないか。
「んー、中々思いつきませんね」
「そうだな。ひとまず今日の所は戻ろう」
「そうですね、ここで考えても良い案が出ないのなら魔道具師に相談しながら考えた方が良さそうですね」
「分かりました。では私も一度国に帰り考えてみます」
「すまんが宜しく頼む」
「アロイス殿、宜しくお願いします」
「はい。何か解決案が出ましたらまたこちらに伺います、それでは失礼します」
そして僕はファレント公国を出て、メイガス王国に戻ってそのまま王城までやって来た。
「すみません、至急国王陛下に謁見をしたいのですが」
僕は王城の門番にアロイスが例の件で話があると伝言してもらう様に伝える。
「アロイス様ですね、陛下よりアロイス様は登城次第応接室に通す様に言われておりますのでこのままお進み下さい」
どうやら陛下は僕が来る事予想してた様だ。
「分かりました、ありがとうございます」
門番にお礼を言い応接室に向かう。
応接室にで暫く待っていると陛下が入ってきた。
「良く戻ってきた、してどうだった?」
「ただいま戻りました。それでファレント公国なのですが、結論から言いますと、失敗に終わりました」




