再びファレント公国へ
僕は完成した魔道具を亜空間にしまい姿を消してファレント公国の王城にやって来た。
「こんにちはー」
ファレント王のいる執務室に堂々と入り挨拶を交わす。
「はい、こんにちは」
やっぱりノリが良いな。
「アロイス=フォン=ベルクです」
「おお、アロイス殿、どうした?」
「実は先日お約束した魔道具が完成しましたのでそのご報告に」
「ま、誠か⁉︎」
椅子に座っていたファレント王が立ち上がり、アロイスに詰め寄る。
「は、はい。実際に稼働させないとどのような結果になるかは分かりませんが、魔力を流し続ける魔道具は出来ました」
「こんなにも早く出来るとは。なんと礼を言ったら良いか分からん」
「お礼はまだ必要ありません、魔道具が意味を成さなかったら無駄ですから」
「いや、それでも我が国の為にここまでしてくれたのだ。結果は別として礼をしたい。ありがとう」
ファレント王が頭を下げ、アロイスに感謝を告げる。
「いえ、今回に関してはファレント公国だけの問題ではありませんから」
「?と言うと?」
実は魔道具が完成する迄の間に色んな本を読みファレント公国と似たような事が無いか調べておいた。
「メイガス王国にあるあらゆる蔵書読んで分かったのですが。ファレント公国の不毛地帯はどうやら広がっていく様です」
「な、なんだと⁉︎ではこのまま放っておくとどんどん広がっていくと言うのか⁉︎」
「実際目にした訳では無いので確実なものか分かりませんが、どうやらその様です」
400年くらい前に同じような事があったと書いてあった。
どの様にして解決したとまでは書いてなかったから、本当の事か分からない、でもそうなる可能性があるのならそれは決した一国で解決することではなくなる。
その事はメイガス王にもしっかりと報告してある。だからもしこの魔道具で状況が変わらなかったら他の国にも協力を仰ぐ手筈になっている。
その事をファレント王にも伝えた。
「そうか、初めからこの国は建ててはならなかったのだな」
「それは違うと思います」
「いや、もし私が元々森だったこの場所開拓しなければこの様な事にはならなかったのだ。初めから間違えていたのだな」
な、何も言えない、確かに森を開拓しなければ土地が死ぬ事も不毛地帯が広がるかもしれない状況になる事もなかった。
「ですがそれは結果であって、誰にも分からなかったことでは無いですか」
「そうは言っても、私が作り出した状況には変わりない」
「しかし逆に考えれば土地が死んでしまっても解決出来るかもしれない検証が出来るのです、それについてはファレント公国の成果です」
「ふっ、慰めはいい。どの様な理由であれ民を不安にさせてしまった事は許されない事だ」
あー、ダメだ。なんて言えばいいか分からない。
「と、とりあえず魔道具の稼働を、確認しませんか?もし正常に稼働して土地も回復すれば万事解決です」
「そうだな。今嘆いても仕方がないな、すまんが頼む」
「はい」
僕とファレント王は宰相を連れて不毛になった土地へ赴いた。
「ここだ。ここに例の魔道具を設置してくれ」
「陛下、魔道具とは何ですか?」
「宰相様には何も言っていないのですか?」
「ああ、魔道具が出来るか分からないのに言ってもな」
ぬか喜びさせない様にか。
「そうですか。宰相様、実はこの間陛下とお話しした時に魔力を土地に流し続ける魔道具を作って解決を試みようと話合いました」
「なっ!そ、それではもしかしたらなんとかなると言うのか⁉︎」
「まだ確実ではありませんが、試してみる価値はあるかと」
「アロイス殿宜しく頼む」
「はい。それでは設置しますね」
そう言って僕は亜空間にしまってある魔道具を取り出して設置し始める。
「陛下、これでなんとかなるかもしれないのですね」
「ああ、だがアロイス殿も言っていた様に確実ではない。もしかしたらダメかもしれないからあまり期待するな。しかしメイガス王国には凄い借が出来てしまったな」
「民が無事ならそれで良いではありませんか」
「そうだな。民あっての国だからな」
「設置終わりました」
「おお、そうか。これが魔道具なのか、随分大きいな」
「元々の魔石の大きさもありますし、魔石の魔力を無くさない為に空気中の魔力を吸収する効力も付属させたらこの大きさになってしまいました。不味かったでしょうか?」
魔力吸収は僕が勝手に付けてくれと頼んだけど、確認をとっておけば良かったかな。
「いや、当初の予定よりも良いものを作ってくれて礼を言う」
「いえいえ、もしもの事を考えると万全を期さないといけない事なので」
「それはそうか」
「?どう言う事ですか?」
そういえばまだ宰相には何も言ってなかったな。
「実はな……」
ファレント王が不毛地帯が広がって行くことなど僕との会話を説明してくれた。
「な、なんと。アロイス殿本当に申し訳ない。私からも謝罪をさせてくれ」
「私への謝罪は大丈夫です。すでにファレント公国だけの話では無いので当然の事をしているだけですから」




