ファレント公国国王
宰相っぽい人の部屋から出て行き国王陛下がいるであろう部屋を探す。
「…はぁ……で…事に」
ん?国王っぽい人の声が聞こえる。ここかな?
僕は声が聞こえた部屋を覗いてみる。
正解みたいだ。
「こんな事ならこの森を開拓するのではなかった」
「こんにちは」
「こんにちは」
この国の人ってノリが良いのかな?
「誰だ⁉︎」
おそっ!
「メイガス王国からやって来ました、アロイス=フォン=ベルクと申します」
「メイガス⁉︎何故⁉︎いや、当たり前か。ワシが戦争を企んでる事くらい知っているか」
「はい。その為国王陛下を拘束しようかとここまで来ました」
まずはこちらの目的を正直に話そう。その後にこうなった理由を聞けばいいかな。
「ふんっ、そう言われて分かったとでも言うと思うか?」
「まさか、その様な事は考えておりません」
「なら何故わざわざ姿を表した?ここまでバレずに来たのならそのままワシを捉えれば良いものを」
あぁ、この人は僕が子供だからと言って侮る人ではないのか。
「少々お聞きしたい事がありまして」
「ほぅ?ここまで来た褒美に答えてやろう」
「ありがとうございます。では早速、何故戦争など起こそうと思ったのですか?」
「そんなのは決まっている、ワシの国土を拡げようと思ったまでのこと」
「それだけですか?」
「あとはワシの国の力を知らしめる為と言ったところか」
本当の理由を話すつもりはないのか?
「本当にそれだけですか?」
「それ以外に何がある?」
「例えば、この国がもう人の生活するには適さなくなったから」
「ふむ、何故そう思う?」
「ファレント公国はここ何年も不作が続いているので、作物が育てられなくなってしまった」
「まぁ、ある意味正解だ。だからメイガスから良さそうな土地を奪おうかと思ってな」
あくまでも悪人になりきるつもりなのか。
僕はあまり駆け引きが得意じゃないからなぁ、もう直接聞いちゃおうかな。
「申し訳ありません、実はある程度の事は宰相らしき方からお話を聞いてあります。あなた方が勝つつもりがない事も」
勝つつもりがないのは皆んなの反応を見て僕が勝手に思った事だけど。
「!そうか、聞いてしまったか。はぁ、ならもういいか。すまないな、君の様な子供までもが駆り出される事になってしまって」
あぁ、やはり悪人ではないんだな。
「いえ、それに関しましては私が1番適切な人員だっただけなのでお気になさらず」
「子供とは思えないな。そういえばベルクと言ったか、なるほど君が噂の神童だね」
「メイガスではその様な事は1度も言われなかったので分かりませんが、多分そうだと思います」
「そうか、とりあえず座って話をしよう。そこに掛けたまえ」
「それでは失礼して」
僕は促されるまま、国王と対面する形で椅子に座った。
「何処から話せば良いか」
「出来ましたら、詳しく知りたいと思います」
「そうか。では何故この国が不作続きなのか、からだな」
「理由がお分かりなのですか?」
「ああ。帝国の専門家は栄養が足りないと言っていたから私達は色々試した、他の土地から土を貰い、肥料を撒き、試せるものは殆ど試した。しかし意味が無かった、専門家も含め私達は勘違いをしていた」
「勘違い?今の土地がダメなら他の土地から土を貰えば解消しそうなものですが?」
「ああ、普通ならな、しかしこの土地の場合は違った。この土地に必要な栄養は魔力だった」
魔力⁉︎作物を育てるのに魔力が必要などと聞いた事が無いぞ?
そもそも、魔力は空気中を漂っている筈、土にも行き渡りそうな気がするんだけど。
「作物を育てるのに魔力が必要なのですか?」
「本来なら必要はない、しかしここは元は開拓不可能とされていた森、他の所と違っていても不思議ではない」
なるほど、もしかしたら昔の人は開拓をしたら土地がダメになると知っていた、しかし年月が過ぎて失念してしまったのか。
「昔の書物を色々読み荒らしたら魔力が必要不可欠と書いてある一文を見つけた、他の部分は滲んでいたり欠けていたりと読めなくなっていたが、多分この土地は魔力が必要不可欠だから森を開拓してはいけないと書いてあったんだと思う」
「そうでしたか。しかしそれなら土地に魔力を与えれば良いのでは?」
「それもやった、だがダメだった。一時的には良くなった様に見えたが、すぐに元に戻ってしまった」




