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不可視空間

「ファレント公国、たしか元帝国貴族が独立した国でしたよね」


「その通りだ。元は辺境伯だった父の後を継ぎほぼ開拓不可能だった樹海をたった数年で開拓し終え、その褒美に独立したと聞いた」


たった数年で樹海を開拓って凄いな、僕も魔法をフル活用すればなんとかなるかもしれないけれど、僕の場合は神の力が働いてるから、純粋なこの世界の人の力でそこまで出来るなんて。


「凄いですね。よほど自分を鍛えなければ出来なそうな事ですね」


「ああ、そうだな。いや、だからこその今回の件なのかもしれないな」


「不穏な動きがあると言ってましたね。もしかして戦争でも起こそうとしているのですか?」


「だろうな、軍の動きが活発になっているらしい。しかもここ5、6年ほどファレントは不作らしいからな。独立したとはいえ奴の忠義はまだ皇帝にある、そうなると自ずと狙いはこの国になる」


いや、戦争なんて起こさずに普通に言えば良いのに。


「はぁ、迷惑な話ですね、しかし何故戦争なんて起こそうと思っているのですかね?素直に帝国やこの国に言えばどうにでもなると思うのですが…」


「プライドが高いのだろ。独立してまだ数十年しかたたない内に弱みを見せるのが許せないのだろう」


はぁ、本当に迷惑な。


「それで、何故それを私に話したのですか?」


「ふむ、まだ貴様のことを認めたわけ…いや、アロイスの力を借りようかと」


王妃様とエリナ両方に睨まれて冷や汗をかく陛下を見て苦笑いしか浮かばないけど、なんだか可哀想に見えてきた。


「父上や母上ではなく私のですか」


「ああ、正直こちらは戦争などしたくない。戦争は金がかかり過ぎる、そんな金があるなら別の事に使いたい」


「では、戦争になる前に手を打てと」


「まぁ、そうだな。出来るか?」


「そうですね。直接向こうに乗り込んで最速で王を捕らえれば終わりですね」


「そんなこと出来るのか?アロイスの力を甘く見ているわけでは無いが、城に乗り込むのはそんな簡単な事ではないぞ」


「実は、とっておきの秘策があります」


「ほぉ、秘策とな?」


「ええ、今ここにいる人だけの秘密にして欲しいのですがよろしいですか?」


「ん?後ろの護衛も見てても良いのか?」


「今見せておいた方が私に何も思うところが無いと思っていただけると思うので」


「なるほどな。まぁここにいるものは其方の事を疑う者をわざわざ集めたから丁度良い」


「あー、まぁこんな子供に何が出来るのかと思いますよね」


「そっちでは無いな、エリナの婚約の方に対して疑念を抱いてる様だ」


そっちか。まぁそれだけ慕われているわけだな。


「なるほど、分かりました。婚約の事に私が言えるは、王女殿下ではなく、エリナと言う1人の女性を愛しているからとしか言えません」


「…はぅ」


ん?あ、エリナの顔が真っ赤だ可愛い。


「ぐぬぬ。ま、まぁ今はそんな事はいい。早速その秘策とやらを見せてくれて」


「分かりました」


実はイビルタイガーを倒した後に密かに練習していた認識阻害の魔法、上手くイメージ出来なかったから空間魔法で不可視の空間を作って似たような効果を作ってみた。まぁ認識阻害よりも断然便利だから良いんだけど、なんとなく悔しい。


「インビジブル」


「むっ!アロイスが消えた」


「アロイスが見えなくなりました」


「こ、これは‼︎」


皆驚いてる。ちょっと悪戯してみようかな。


「きゃっ、か、髪が‼︎」


ふふ、可愛い。


次は護衛の後ろに回って姿を現してみよう。


「チョンチョン」


「うわっ!」


おっと想像以上に驚かしてしまった。


「す、すいません。そんなに驚くとは思わなくて」


「い、いや、気にするな」


「しかし、陛下これはとてつもない魔法です。誰にも気づかれずに何処へでも行けて、なおかつ暗殺も容易」


「そうだな。そしてそれを我々にしっかりと教えた。お前らが疑うのは無理もないが、少しは信用しても良いのではないか?」


「そのようですね。アロイス様ご無礼を働き申し訳ございませんでした」


「いえ、それこそ気にしないで下さい。護衛としては立派な働きだと思いますので」


「そう言って頂けるとありがたい」


「と、このように私は姿を消せるので城への侵入も容易いかと」


「そうだな。頼めるか?」


「かしこまりました」


「アロイス」


「エリナ、そんな不安そうな顔しなくても大丈夫だよ」


「はい、分かってはいるのですが」


「じゃあ、怪我一つしないで帰ると約束するよ」


「分かりました。お気をつけて」


「うん」


「アロイス君頼みましたよ」


「勿論です、王妃様」


そうして僕は学園が始まる前にファレント公国に向かうことになった。

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