王女の訪問③
「じゃあ、そろそろ出かけようか」
「はい!」
とは言ったものの、どこへ行こうか。家の領地本当に何も無いんだよな。
「エリナは何か見たいものとかある?」
「そうですね、自然豊かな所を見てみたいです」
自然かぁ…ならあそこがいいか。
「分かった。じゃあ軽く街を案内したらとっておきの場所に案内するよ」
「よろしくおねがいします」
そうして僕達はベルク家から2人、エリナの護衛として来たもの達から2人を連れて街に散策に出た。
「アロイス、ここの特産品はなんですか?」
「家の特産品?無いよ?」
「え?何も無いのですか?」
「うん、家ではこれといって珍しいものは何も作って無いからね」
「それなのにこんなに栄えているのですか?」
そう、ベルク伯爵家の領地は本当に何も無いのにとても栄えている。
「それはね、領地の近くってわけでは無いけれど特殊な森があって、冒険者が沢山いるからなんだ」
「冒険者がいると街が栄えるのですか?」
「そうだね、冒険者はいつ何があるか分からないから、依頼の報奨金や素材の買取金なんかはその街に落としていくから冒険者が沢山いる所は裕福な所が多いよ」
「そうだったのですね、冒険者は貯金なんかをしないのですね」
「多少はするだろうけど、例えば依頼中に思わぬ強敵が現れて亡くなったら貯金は意味無くなってしまうからね、家族のいない冒険者なんかはあんまり貯金しないね」
「家族のいる冒険者が沢山いたらあまり街には関係無いのでは?」
「そうなんだけど、家の場合はちょっと特殊でまずそういった冒険者は来ない。そしてギルドの紹介がないと家の冒険者ギルドは制限がかけられるんだ。その代わりギルドから紹介を受けた冒険者は他の場所よりも2倍、3倍は儲かる」
「凄いですね。その特殊な所を教えて頂けますか?」
「うん。さっき特殊な森があるって言ったけども、そこが儲かる場所になるんだ。その森は他の場所にいる魔物よりも2段回くらい強いんだ、だから入るのに最低でも全員がBランク以上の冒険者の4人パーティーじゃないと行けないんだよね」
「恐ろしい場所ですね」
「うん、だから尚更貯金することがない」
「アロイスは入ったことがありますか?」
「あるよ」
あそこはいい魔法の練習になるから僕としてはありがたい場所なんだよね。街の住民からしたら嫌な場所だろうけど。
「では、アロイスも誰かとパーティーを組んでいたのですか?」
「ううん、僕は1人で入った。僕の場合はちゃんと許可があるからね」
「やはりアロイスは凄いのですね」
「んー、どうなんだろ。家の家族、使用に含めて全員とんでもなく強いから、凄いか分かんないや」
「でも年齢を考慮したら凄いのでは無いですか?」
「あー、確かにそうだね。僕の年齢であの森に1人で行けるのはほぼいないって言われたな」
「ほら、やっぱり凄いではないですか」
「そうなるね。でも家は両親が両親だからね、兄上だって僕と似たような年齢の時に1人で入ってるよ」
「それは、流石としか言いようがありませんね」
まぁ、きっと家は少しおかしいからね。あの2人の訓練についていければ誰でも強くなれるはず。
それから他愛のない話をしながら街を案内して、途中で昼食を食べ最後にエリナの要望に応えるためにある場所にやってきたよ
「着いたよ。ここがぼくのとっておきの場所」
「わぁー、とても心地よいところですね」
僕が連れてきた場所は湖の畔。この湖には危険を察知すると体を光らせる魚がいる。
「ちょっと見てて」
そう言って湖には軽い衝撃を与える。
「湖が光りました!」
「危険を察知すると光る魚がいるんだ。今は明るいから少しわかりにくいけれど、夜になるととても幻想的で綺麗なんだ」
「見てみたいです」
「じゃあ、父上達と相談して皆んなで見に行こうか」
「はい!」
「今日は楽しめたかな?」
「はい!とても楽しかったです。王都は色んなものがあって生活に困る事はないのですが、やはりこうした自然があるのは羨ましいです」
隣の芝生は青いみたいな感じだろうな、ここにいる子供達は都会に憧れがあるみたいだし。
「それなら良かったよ。そろそろ戻ろうか」
「あまり遅くなるのも良くないですものね」
エリナは名残惜しそうにこちらに歩いてくる。
「また見れるよ。それに夜に見にくるんだから」
「そうですね!楽しみです」
寂しそうな顔が直ぐにワクワクした顔になる。良かった。
そうして僕達は屋敷に戻り父上に相談をして許可をもらい夕食を食べた後にみんなで湖に向かった。




