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王族の務め・人格

いや、僕は何を言っているんだ。300年も前の事をエリナが見たことあるはずがないのに。でも、何故かそんな気がしてならない。


「アロイスには隠し事が出来ないですね。アロイスの言う通りです。私は、いえ、私達王族は『人魔大戦』をこの目で見ています。とは言っても、直接見たわけではありませんが」


やはり見たことあるのか、しかしどうやって?直接見ていないと言うことは、何か映像的な物なのか?


「何となくそんな気がしただけだよ。直接ではないって事は記録された映像を見たという事なのかな?」


「⁉︎アロイスは映像機を知っているのですか⁉︎あれは各国に1つずつしか無いのに‼︎」


やはりそうか、魔道具で映像を残してあったんだな。


「知っていると言うか、前世では当たり前にあった物なんだ」


「そ、そうなのですか。凄い世界ですね、あれは未だにどの様にして作られたか分かっていないのに。もしかしてアロイスは作れたりするのですか?」


「うーん、多分作れるよ」


カメラの動画機能をイメージすれば良いだけだもんな。


「凄いです!あっ、話が逸れてしまいました。すみません」


「気にしないで良いよ」


「ありがとうございます。それで、映像機の中身なのですが、最初から見えるわけではなくて5カ国同盟が可決されてからの映像になります。私達王族は学園に入る前に一度は必ず見せられる決まりになっています」


そうだったのか。でもこんな年端のいかない年齢で見せられるなんて、辛いだろうに。


「だからあんな顔をしながら話していたんだね。とても辛そうだったよ」


「すみません、ご心配をおかけしました。正直見ているのはとても辛かったです。人が次々と死んでいき、皆の絶望をしている顔が目に焼き付いてしまって…」


目に涙を溜めながら話すエリナに申し訳なく思ってしまった。


「エリナ、もう良いよ。辛いなら僕に話す必要はないから」


「いえ、私は大丈夫です。他の貴族の方達に使命がある様に私にもやらなければならない事がありますので、逃げてばかりいられませんから」


わずか10歳なのに、自分が王族なのだとしっかりと理解しているんだな。


「エリナはしっかりしてるね。それに心が強い」


「そんな事ありません、アロイスの方がしっかりしていますし、とても強いと思います」


「それこそそんな事はないよ、僕は未だに自分が貴族なのだと実感してないし嫌な事には目を瞑りたいと思っているからね」


「実感がないのは、前世の記憶があるからでは?それに、アロイスは逃げたりしませんよね?」


「そう言えば詳しく話して無かったけど、僕に前世の記憶があるとは言っても、知識として保有しているだけであって、前世の僕と今の僕は全くの別人で僕はアロイス=フォン=ベルクであって、それ以上でもそれ以下でもないよ」


そう、僕には前世の自分の人格はほぼない、と思っている。だから自分の昔の名前も知らない、知ってしまうと人格が変わってしまうらしい。因みにほぼないと言ったのは、前に人間に対して攻撃した事に忌避感が一切無かったからだ。前世の自分が体験した事も知識としてあるから、一応人格ではなく感覚として分かるだけだと思っている。神も前世の人格でないと言っていたし。

5歳の時、皆んなに前世の事を話してから僕は、ちょくちょく教会に足を運んでいた。魔物の絶滅に対して文句を言ったり、前世の事を聞いたり、名前に関しても聞いた。神曰く「君の昔の名前を言ってしまうと、君はアロイスではなく前世の君になってしまう。名前とは魂な刻まれた人格を成形するのに最も重要なものである。君の魂にはもちろん昔の名前も刻まれている、だから名前を知りたいなら、アロイスではいられない事を覚悟する必要がある」そう言われてしまい、僕は昔の名前を聞く事をやめた、僕はアロイスでいたい、アーガスとユーリの子供でいたい、そう思っている。

その人格についても聞いたが「多分だけど元々の性格なんだと思うよ、君の両親が両親だしね」と言われた。

なんとなく納得してしまった。


「そうだったのですね、てっきりアロイスはこことは違う世界の人間なのだと思っておりました」


「前世の知識だと当たり前の事がここでは当たり前では無かったりするからそう思うのも無理はないよね。僕がたまに常識を間違える事が原因だね」


「いえ、私は気にしませんよ。もしアロイスがアロイスで無かったとしても、きっとす、好きになっているでしょうから」


顔を赤くしながら嬉しい事を言ってくれる。


「もしかしたら、凄い悪いやつかも知れないよ?色んな実験とかもしていた様だし」


「それでも、性格はきっと同じでは無いのですか?」


「んー、ちょっとわかんないかな」


うん、人体実験とか色々やっていた事は絶対に言わないでおこう。間違いなく嫌われる。


「そうですか。まぁ今のアロイスがアロイスなら何も問題ありません」


「ありがとう」


「随分話が逸れてしまいましたね。ともかく私は、あの様な惨劇を引き起こしてはならないと思っております。なのでこれからも王族として頑張っていきたいと思っております」


「うん、応援するよ。僕も貴族として使命を果たすよ。因みに、魔王の現れた原因とかは知ってる?」


「確かな証拠もありませんし、検証できる様な事は無いのですが、当時は魔物を乱獲し過ぎたせいで、現れたのでは、となっています」


乱獲ね、自分の魔力量を上げて、人為的に魔石を作ろうとした実験の副産物になってるんだね。

僕は魔石を作るのを諦めていない。しかし、昔の人の様に魔力量を上げる為に魔物を倒し回るのは辞めておこう、何が起きるのか分からないからね。別の方法で試すしか無いね、まぁ一応考えてはあるから問題ないね。

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