教師陣の苦悩
会議室には今日来ている全ての教師が揃っている。
「それではこれより、新入生のテスト結果の会議を始めます」
「新入生というよりアロイス君ただ1人の為の会議だね」
誰かがボソッと呟いた。それを聞いた、アロイスのテスト結果を知っている人は全員頷いていた。
「えー、今回この様な会議を開いたのには訳があります、ある1人の生徒のテスト結果が今回新しく入学する人、いや在校生、教師含めて全ての人よりも優れているからです」
「待ってくれ、我々よりも優れているとはどういう事だ?」
「そのままの意味です」
「たかだか10歳の子供に我々が劣るというのか⁉︎」
「その通りです。貴方は今回のテスト内容を見ましたか?」
「いや、見ていないが、例年通りの内容だろ?」
「いえ、今回はこのある生徒の為に最後の問題だけ、今まで誰も答えられない魔石についての問題にしました」
「何故そんな事をする必要があったんだ?誰も分からないなら出題する意味がないだろ」
「ええ、だからこそ出したのです」
「意味が分からん」
「件の生徒なのですが。名はアロイス、ベルク伯爵家の次男だそうですが、何でも5歳の時に高等部主席と同等の知識を持っていたとか、そして今回の難問を見事に答えました。まだ検証した訳では無いのですが、回答を見る限り矛盾点はありません」
なおアロイスはこの問題に対しても難しいとは一切思っていなかった。前世の知識と魔法の神による知識のおかげで当たり前の知識になってしまっていた。
「はぁ?何を言っているんだ、そんなわけないだろ!」
「いえ、これは確実な証拠もありますし、国王陛下もお認めになっています」
「なっ!陛下が認めているだと⁉︎」
「はい。何より、現在保存の魔道具が増えつつあるのは、彼が魔道具作成に貢献している事も明らかになっています」
「そ、それほどの子なのか⁉︎」
「ええ、だからこその会議です。私達は彼にある一つのこと以外は教える事が出来ません」
「その一つとはなんだ?」
「魔道具を作る時に使う模様です」
「なるほど確かにあの模様は学園以外では魔道具師に習うしか方法は無いな、だが魔道具製作に関わっているのなら、その魔道具師に習えば良いのでは?」
「それをしてしまうと、彼がこの学園に通う意味が無くなってしまいます、なので魔道具師には教える事を禁じたそうですよ。まぁ彼自身教えてくれとは言わなかったそうですが」
「そうだったのか、それで、どうするのだ?入学して早々に教科別授業をするのか?本来は2年次になってからだが」
「それをこの場で決めようと思っております」
「そうか、いや、悪かった。何も知らないとはいえ、怒鳴ってしまって」
「いえ、彼の話を聞いて実際に見ないと分からないのは貴方だけではないので気にしていませんよ」
実際今話している教師も、今日のテスト結果を見るまでは全く信用していなかった。いや、この教師だけではない、全ての教師がだ。
「それでは本題に入りたいと思います。さて彼の処遇ですが、私は他の生徒と同じで良いと思っております」
「何故だ?他の生徒と同じでは彼には無駄な時間になってしまうぞ?」
「ええ、授業はあまり意味が無いのですが彼だけを特別にしてしまうと、他の生徒による反発も大きいと思います。何より友達が出来なくなってしまいます」
「そう言われるとそうだな、貴族にとってこの学園は人脈を作ることも一つの課題になっているしな」
「ええ、なので彼にとって授業は友達作りを並行させようかと思います」
「?それはどういうことだ?」
「例えば、クラスの中でいくつかの班に分かれて1つの課題に取り組ませる、彼には最低限の助言のみにしてもらい、他の生徒達とコミュニケーションをとってもらおうと思います」
「それは良いな。私はその案に賛成だ」
他の教師達の反論もない。
「皆さんが賛成ということで、彼にはその様にしてもらいましょう。以上で会議を終わりにしたいと思います」
結局アロイスの事しか話し合っていない。
そしてアロイスの知らないところで彼の学園での授業スタイルが決まった。




