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サスペンション・5年ぶりの王女殿下

「カイル様、ありがとうございます。それで、乗り心地なのですが、荷を乗せる箱と車輪の間に衝撃吸収材などを入れると緩和されると思います」


この世界で作るとしたら板バネくらいしか出来ないだろうな。いや魔法があるならエアサスなんか出来るのでは?もしくは衝撃完全吸収なんかも作れそうだな。


「衝撃吸収材ですか?例えばどんなのが良いですかね?」


「簡単に作れる物では板バネと言って、板を重ねるだけですね。ある程度の柔らかい鉄板を重ねると箱よりも先に板の方がたわむのでそれで衝撃が緩和されます、けれどこれは劇的に変わるとは思えませんね、何しろ地面が整備されていないとそこまで期待は出来ません。後は魔道具による衝撃吸収ですかね、こちらの方がより乗り心地が良いと思います」


「鉄板を使うとコストが安く済むが乗り心地はあまり期待出来ない、魔道具を使うとコストが高くなる代わりに乗り心地は良い、と。なるほど、どちらも一長一短がありますね。ですが、貴族には魔道具、商人は鉄板が売れそうですね」


お金持ちとそうじゃない人で分かれるか、まぁどちらも作れば需要はあるって事だね。


「そうですね、今持っている馬車に衝撃吸収材だけを取り付ける事も考えればより需要がありそうですね」


「そっちは私の管轄外だから分からないけれど、魔道具に関しては何がなんでも作ってみますよ。因みにもうイメージが出来ていたりします?」


「2つほどあります」


「どんなのか聞いても良いですか?」


「はい、1つ目は空気による衝撃吸収ですね。圧縮した空気を筒の中に閉じ込めると、弾力性が生まれるのでそれを利用します。もう1つは、完全衝撃吸収です。これは衝撃を外に流れるイメージをすれば出来るのではないかと思います」


「やはりアロイス殿の考えは素晴らしい。私では到底思いつきません」


完全に前世の知識だから反応に困る。


「そうですかね?自分もなんとなくで言ってるだけなので、実際はダメかも知れませんよ?」


「たとえ出来なかったとしても、決してダメではないですよ。失敗は誰にでもあります、むしろ失敗してこそそこに成功の鍵があると思います」


良い事言うな。


「なるほど、ではこれからも色々とアイデアを出していきますね」


「よろしくお願いします」



カイルとの話を終えて王城を後にしようとしたら、門兵に呼び止められた。


「アロイス様。お帰りになる前に、王女殿下にお会いしてからお帰り下さい」


エリナとは5年ぶりに会うな、手紙のやり取りは良くしていたけど実際に会うのは久しぶりだ。


「分かりました」


兵士の案内でエリナの部屋に行く。


「王女殿下、アロイス様をお連れしました」


「入って下さい」


「失礼します」


「お久しぶりですね、アロイス」


「お久しぶりです、王女殿下」


5年ぶりに会うエリナはとても綺麗になっていた。まだ幼さはあるけれど、とても綺麗だ。


「もう2人しかおりませんよ」


「そうだね。久しぶり、エリナ。あまりにも綺麗になっていたから見違えたよ」


「あ、ありがとうございます。アロイスもとてもカッコ良いです」


相変わらず褒めると顔が赤くなるけど、それがまた可愛い。


「ありがとう」


それからは手紙にも書いた事や、書かなかった些細な事まで色々話した。


「そろそろお暇するね」


「もうですか?もう少しお話ししたいです」


しょんぼりした顔を見せるので、もう少し居たい気持ちになるがこれ以上遅くなるのはな、屋敷の人達も待っているし。


「僕はこれからも王都にいるし、学園にも通うんだから話す機会はいくらでもあるよ」


「そうですよね、では今日は我慢します」


「うん、それじゃあね」


「はい、また学園で」


エリナと別れて今度こそ帰路に着く。

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