模擬戦?
そのあとは、何のトラブルもなくデート兼王都案内を楽しみ、王城まで帰ってきた。
「今日は一日ありがとう。とても楽しかったよ」
「こちらこそ、とても楽しかったです。それと、イヤリングもありがとうございます。一生大切にしますね」
「喜んで貰えたなら良かった。じゃあ僕は行くね」
「あ、…」
どうしたのかな?何か言いたそうにしてるけど。
「ん?どうしたの?」
「いえ、またデートして頂けますか?」
「勿論だよ。エリナさえ良ければ喜んで」
「はい!ではまた今度。お手紙も書きます」
「僕からも書くね、じゃあまた」
「はい、お気をつけて」
迎えの馬車に乗り込み屋敷へと帰っていく。
「「お帰りなさいませ」」
メイド達が出迎えてくれる。
「アロイス、お帰りなさい。どうでした?」
「とても楽しかったです」
エリナも可愛かったし。
「そう、なら良かったけど、変なのに絡まれたみたいね」
⁈何故知ってるんだ?
「何故その事を?」
「屋敷に衛兵が来て色々説明してくれました。王女殿下を守るのは良いのだけど、貴方は5歳なのよ?何故あんな無茶をしたのかしら?」
これは怒ってますね。
「いえ、護衛もいましたのでそこまで危険な状況にならないと思いまして…」
「そう言う問題かしら?護衛がいるのなら護衛に任せるのが当たり前です。それなのに自分で対処するなんておかしいと思わないかしら?王女殿下にも心配をさせた様ですし?」
ヤバイな口調はまだ優しめだけどめちゃくちゃ怒ったるな。
「それについては、申し訳ないありません。ただ、訓練の成果の確認と言いますか、試し打ちと言いますか…」
「ほぉー、訓練の成果ですか。それなら私とアーガスが存分に相手をして上げます。明日は楽しみね」
ひっ!早まった!こ、殺される。
「は、母…行っちゃった」
明日が僕の人生最後の日かな。この世界に生まれて5年、記憶が戻ってからは2ヶ月位短かったな。でも魔法使えたり、エリナみたいな子とも知り合えたし、楽しかったかな。神様申し訳ない。あまり楽しめなかっただろう。せっかく知識ももらったのに。
「アロイス?どうしたんだい、今にも死地に行くような顔して」
「兄上、今日までありがとうございました。僕は兄上の弟で良かったです」
「え?本当にどうしちゃったの⁉︎アロイス死ぬの?」
「はい、明日母上に殺されます…」
「あ、怒らせたんだ」
「今日、ゴロツキに絡まれてそれを訓練の成果の確認と称して魔法を使った事を言ったら、母上と父上が、明日…ぼ、僕を」
「アロイス、今日まで楽しかったよ。アロイスみたいな弟を持てて僕は幸せだった。一生忘れない」
「あ、兄上〜」
「と、まぁそんな事にはならないから大丈夫だよ。流石に手加減してくれるから、死ぬまではいかないよ」
「死ぬまでは?」
「うん、死ぬまでは。間違いなく大怪我はするだろうけどまぁ、頑張れ」
「兄上、僕はまだ死ねないので生きて戻ってきます」
「期待してるよ」
その日の夕食で父上にも楽しみにしていると言われてしまった。やれるだけの事はやろう、もしろこっちが2人をヤってしまおう。
ついにその時が来てしまった。だが大丈夫だ、今日は絶好調に身体が軽い。これならいける。……とその時は思っていた。
「アロイス、今日は良い天気ね」
「そうですね、母上。父上も今日はよろしくお願いします」
「うん、アロイスの成長をしっかりと見るよ。じゃあまずは私とやろうか」
「はい!」
「では、私が審判をしますね。ルールは殺さない事。以上」
それだけ?もっと何かあるんじゃないのか?
「それだけですか?」
「それ以外に必要なことはありませんよ?アロイス」
「わ、わかりました。ではお願いします」
「2人とも用意は良いわね。始め‼︎」
父上は様子見をしている、こっちから仕掛けるしかない。
「シャドーバインド!」
「甘いね、そんなのに捕まらないよ」
は、早い。これは捕まえられないな。
「なら、アースフォール」
地面に穴を作って相手の動きを制限させる。
「残念」
う、浮くの⁉︎それは反則だろ。
「なら、エアーカッター×10」
無数の刃で逃げ道を塞ぎ、さらに。
「フラッシュ」
目潰し。
「おっ、中々良い感じだ、でもね遅いんだよね」
えっ⁉︎父上がブレたと思ったら、僕は気づいたら地面に倒れていた。何が起こったんだ?
「まったく追いつけてないね。こんなんじゃ爵位を得るなんてまだまだ先だね」
くっ!舐めるなよ‼︎
こうなったら本当に殺すつもりでやってやる。
「遅いと言うなら、これならどうだ。サンダーレイ」
「なるほどね、雷の速度は確かに速い、けどそれだけだ」
「グハッ‼︎」
まただ、父上がブレたあと地面に倒される。
「はぁ〜アロイスにはまだ早すぎたね。これで終わりにしようか」
父上が喋った瞬間、僕の意識が途切れた。
「んー、ん⁉︎な、何が⁉︎」
「やっと気がついたのね」
「は、母上。僕は何故倒れたのでしょうか?」
「殴られただけよ」
な、殴られた?全く分からなかった。
「全然分かりませんでした」
「まぁ、貴方には理解出来なくても仕方ないわ。アーガスのスピードはこの国一なのですから」
この国で最速は父上なのか。正直速すぎて、何がなんだか分からない。
「じゃあ次は私とやりましょうか」
も、もうやるのか。出来れば休憩が欲しい。
「もうですか?」
「もう休憩は十分でしょ?」
「わ、分かりました。よろしくお願いします」
「ええ、よろしくね」
「じゃあ次は私が審判だね。2人とも用意は良いね、始め‼︎」
父上が一番早いのなら、母上はそこまで速くないはず、ならまずは。
「アースフォール」
「さっきと同じね」
まだだ。きっと母上も上に上がるはず、ならその前に下に落とす。
「エアープレッシャー」
「なるほどね風の力で下に落とそうと言うのね。中々考えてるじゃない。でもね全然ダメよ」
え?効いてない?
「なら、行け!ゴーレム」
「土遊びなら他所でやりなさい」
な、何もしてないのにゴーレムが崩れた⁉︎
「だったら、シャドーニードル」
影による無数の針で串刺しだ。
「はぁ〜本当ダメね。貴方魔力操作の練習していたのでは無いの?お手本を見せてあげる」
なっ!僕の影がこっちに向かってきた⁉︎魔力切っても変わらない!不味い本当に死ぬ。
「グハッ‼︎」
手足に無数の針が刺さる。
い、痛い。なんで、自分の魔法が自分に返ってくるんだ。こんなのおかしいじゃ無いか。
「魔力操作を極めると相手の魔法を奪えるのよ」
それが僕が最後に聞いた言葉だった。




