王妃様・婚約
「私達も今聞いたばかりなのですが。どうも王女殿下がアロイスを好いている様でして」
「アロイスと言うのはそこにいる男の子の事でよろしいかしら?」
「はい、我が家の次男で、今日謁見を済ました子です」
「お初にお目にかかります、アーガス=フォン=ベルク伯爵が次男、アロイス=フォン=ベルクになります」
「ご丁寧にどうも。私はカレン=ヴァン=メイガスこの国の王妃よ。貴方はエリナの事をどう思っているの?」
「大変な好ましく思っております」
ここは包み隠さず正直に言わないと変な誤解を受けるかもしれないからな。
「そう。エリナはどう思っているの?」
「お母様、私は是非アロイスと結婚したいと思っております」
「なるほどね。2人の気持ちは分かったわ」
「では、お母様!」
パッと明るい表情のエリナに王妃は。
「でもね。そんな簡単に、じゃあ婚約しましょうとはならないのよ」
「そ、そんな」
エリナは悲しそうにしているが、僕は分かっていた。所詮僕は伯爵家の次男だ、家の家格に不満がある訳では無いが王女との結婚を考えると低い。公爵家なら大丈夫だろうが、伯爵では駄目だろう。
「ベルク伯爵には失礼かもしれないけど、流石に伯爵家の次男とでは釣り合わないのよ。せめて子爵家当主でも無い限り無理ね。そこはどうするつもりで?」
「アロイスは私達に言ったね。もし王女殿下がその気なら努力すると」
「はい、父上。王妃殿下、もし結婚を前提と考えて頂けるのでしたら、私の知識、全てを使ってでも王女殿下に相応しい男になるつもりです」
「5歳の子供に何を期待しろと?」
「その事については、先ほどここにいる皆様に説明しましたが、私にはこの世界で生まれる前の記憶があります」
「それを信じろと?」
「はい。信じられる様な事では無いのは重々承知です、ですが私の知力、知識を目にすれば信じざるおえないと思います。まず知力については、母ユーリから聞いていただければと思います」
「王妃殿下、ご無沙汰してます。息子の学力に関して言えば、この子はすでに高等部主席と同等の頭があります」
「それは本当なの?」
「ええ、私が作った最難関のテストを、わずか5分で解きましたので」
いや、あれは簡単過ぎた。あれが出来ない人は前世ではいないだろう。
「学力については分かったわ。でも知識は?」
「そうですね。では作り方が秘匿されている保存の魔道具のイメージを説明して、実際に作ってみてはどうでしょう」
「あの保存の魔道具が作れると?でもすぐには検証出来ないわ、他に何かないの?」
「そうですね。では自動馬車と言うのはどうでしょうか?」
自動だから馬は要らない、要は車だ。
「自動馬車?馬要らずで走ると言うの?」
「はい。もし僕のイメージ通りに魔道具が出来ましたら間違いなく出来ます」
「魔道具師を呼んでちょうだい」
壁に控えていたメイドに指示を出す。
「アロイス、もっと簡単に婚約出来る言葉があるわよ?」
「ん?そんな魔法の言葉があるのですか?まさか魔法ですか⁉︎」
「違うわよ。貴方が使徒なのだと言えばすぐにでも許しが貰えるわ」
「使徒とはそんなに凄いのですか?」
「それはそうよ。神様の名代なのだから」
あ、そうか。この世界で神の名代と言えば人類で一番神に近い存在になるのか。でもな。
「なるほど。理由はわかりました。けど僕は使徒という事をあまり広げたく無いので」
「まぁそうよね、教会にバレたら即監禁よ」
思っていたより最悪だ。
「なら、尚更隠したいです」
「あ、貴方使徒様なの⁉︎」
バレた…
「いや、あのー。…はい」
「これは失礼しました。使徒様」
膝をつく王妃。
あーこうなるのか、ヤダな。
「王妃様どうか顔を上げてください。僕は使徒なのかもしれませんが、その事を広げたくは無いので」
「分かりました。使徒様のご要望にお応えします。本来婚約なら今すぐに決めても良いのですが、使徒の立場を隠すのならやはり、爵位は必要になります。どうしましょうか」
「そこはしっかりとこの国に認められる功績を出しますよ」
「手取り早いのは、武功ですね」
「でも今は戦争なんて無いですよ?」
「戦争ではありません、魔物です」
魔物か。確かにそれなら僕が強くなれば出来そうだ。
「どんな魔物を倒せば良いんですか?」
「ドラゴンですかね?あれなら誰もが納得しますよ」
ドラゴン!やはりいるのか見てみたいな。でも見つけた瞬間殺されそう。
「流石に5歳児には無理です」
「そうですか?前世の知識?があれば出来るのでは?」
「生物形態が同じなら倒し方はいくらでもありますが、多分魔力量が足りません」
「失念していました。いくら使徒様と言っても5歳児の魔力量では無理ですね。因みに今はいくつですか?」
「今の魔力量は2000です」
「……もう一度宜しいですか?」
「?2000です」
「多過ぎませんか?」
「まぁ、そうですよね。そこは使徒だからとでも思って下さい」
「はぁ、分かりました。ところでいつまで固まってるつもり‼︎」
「バシッ」と陛下を叩く。
「はっ!ん?幻聴か?どうしてここにカレンがいるんだ?」
「エリナの婚約についての話をしに来たの」
「何を言っている、エリナに婚約など早…ゴフッ」
「何か言ったかしら?」
な、殴った。思いっきり腹を殴りましたよ。
「いえ、なんでもありません。それで婚約者は誰でしょうか?」
やはりどこの家庭も女性が強いのか。家も母上には誰も逆らえないからな。
「目の前にいるでしょ」
「この拐かした小僧の事を…グハッ」
…今度は顔面、王妃様怖い。
「誰が小僧なのかしら?」
「いえ、アロイス君がエリナの婚約者であっていますか?」
自分の妻にめっちゃ敬語なんですけど、この国大丈夫かなぁ?陛下の立場弱くないかな?
「当たり前です。この方は使徒様なのですよ?エリナも好いてる様ですし良いでは無いですか」
「でもエリナはまだ5歳だぞ?早くないか?」
「王族なのだから早めに婚約者が出来るのは当たり前です。貴方は私と婚約したのはまだ物心着く前ですよ」
はやっ!自分の意思関係なしで決められるのか。なんだか可哀想そうだな。でもそれなら尻に敷かれるのも頷ける。




