王城・謁見
「いきなり王城に行っても大丈夫なの?」
「先触れを出してありますから大丈夫ですよ。それに、恩人方を何もせず返したとあっては王家の威信に関わりますから」
あー。確かに、助けたのに何もなかったじゃ、王家どころか貴族にも不信感が出るよね。
「そう言う事ならしょうがないけど、僕達着替えてないから旅服だよ?失礼にならないかな?」
「王城で用意させて頂きますから、お気になさらず」
至尽せりだな。
「分かった、じゃあお言葉に甘えさせて貰うね」
「はい!」
嬉しそうだなぁ、本来はこちらが名誉ある方なんだけど。
「もうそろそろ王城に着きます」
御者のそんな言葉に緊張して来た。
「アロイス、そんなに緊張しなくても何もありませんよ?」
苦笑いされた、そんなに態度に出ていたか。でも緊張しない方がおかしいと思う。
「だって王城だよ?王様いるんだよ?王族の方いるんだよ?緊張するなって方が無理あるよ」
「私も王族の1人なのですが」
「エリナとだって最初は緊張したんだよ?」
「では、今は緊張していないのですね?」
「もう2日近く同じ馬車に乗ってお話ししてるんだから緊張も取れるよ」
「なら大丈夫ですよ、お父様もお母様もお兄様も優しい方ですから」
そう言う問題でも無いんだけど。
「まぁ、頑張ってみるよ」
「はい!頑張って下さい。アロイス達が準備している頃にある程度はお話ししておきますので」
「うん、宜しくね」
「任せて下さい」
良い笑顔だな、良い笑顔なんだけど、何故か嫌な予感がするのは気のせいだろうか?
「王城に着きましたよ」
凄い‼︎これが王城か、白亜の宮殿だ。
「「「「「お帰りなさいませ、王女殿下」」」」」
沢山のメイドに迎えられて王城に入っていく。
「王女殿下、私室にて国王陛下がお待ちです。アロイス様はこちらへ」
「ではアロイス、また後でお会いしましょう」
「はい、王女殿下」
エリナと別れてメイドの後について行く。外から見ても凄かったが、中はもっと凄いな。広いし、白い壁に合った装飾、壁に描かれた絵、どれをとっても美しさに感銘を受ける。
王城内に見惚れながら歩いていると前を歩いていたメイドから声がかかる。
「どうなされました?」
「いえ、とても素晴らしい意匠だと思いまして」
「ええ、確かにこの王城はとても素晴らしい意匠をされています。何でも当時この王城を建てた王様が色々な国から出向いて頂いた芸術家方に直々にお願いをしたと言われているほど、芸術を好いていらしたそうです」
「なるほど、だからどれ一つとっても素晴らしいものなのに、全てが合わさるともっと素晴らしいものになる様、計算されているのですね」
凄いな当時の王様。
「良くお分かりになりましたね、アロイス様は優れた目を持っていらっしゃる」
「その様に言われると少し恥ずかしいですが、ありがとうございます」
「いえ、本当にそう思いましたので。それではこの部屋でお待ち下さい。直ぐにご家族も連れて参りますので。失礼いたしました」
そう言ってお辞儀をして部屋から出て行った。
「この部屋もなんか凄いな、触って壊さないようにしよ」
「コンコン」
「はい」
「ご家族方をお連れしました」
「アロイス待ったかい?」
「いえ部屋を見ていたので待っていた様には感じません」
「そうか、なら良かった」
「父上、それでこの後はどうなるのでしょう?」
「呼ばれるまでここで準備をしながら待機して陛下の元に赴くんじゃないかな?予定より早いけど多分謁見も一緒に済ませると思うよ」
「謁見も今日してしまうのですか?」
「流れ的には謁見をしてから私室に通されてかな?」
「コンコン」
誰だろ?
「どうぞ」
父上の言葉を聞いてメイドと執事みたいな人が部屋に入って来た。
「ベルク伯爵様、並びにご家族方。突然の訪問に対し準備が間に合わないとのことで、こちらで全て用意させて頂きました、もし宜しければご準備のお手伝いをさせて頂いても宜しいでしょうか?」
「ご配慮感謝する、それでは宜しく頼む」
「はっ、かしこまりました。ではこちらへどうぞ」
母上と別れ隣の部屋へと移動する。
「なんか凄く煌びやかな服だね」
着心地は悪くないけど見た目派手だな。もっと落ち着いた服とかないかな?。
「本日はアロイス様の謁見もするとお伺いしましたので、それに相応し服をご用意させて頂きましたが、ご不満がおありでしたらおっしゃって下さい」
やっぱり謁見するんだ。予定がかなり早まるけど大丈夫なのだろうか?
「では遠慮なく。もう少し落ち着いた服はありますか?僕には少し派手過ぎると思います」
「そうですか?良くお似合いですが、アロイス様がそうおっしゃるなら直ぐにご用意いたします。少々お待ち下さい」
そう言って部屋から出て行く執事。
「確かに派手だったね、流石にあれは着たくないね」
苦笑いしながら父上も賛同してくれる。
「コンコン」
「お待たせ致しました」
はやっ!まだ1分くらいしか経ったないのにもう来たよ。やはり執事と言うのは全てを完璧にできてこそなのかな?家のセバスも相当おかしな動きしたたからな。呼んでもないのに、呼ぼうと思ったら既に隣にいるとか、小腹が空いたと思ったら軽食の準備が出来ていたとか。恐らく執事と言う職業は相手の心を読まないと出来ない仕事なのだろう。こわっ!
「わざわざありがとうございます」
「いえ、こちらの不手際ですから。アロイス様こちらはどうでしょうか」
さっきよりも落ち着いた色合いだな、黒地に青のラインが入っていてワンポイントとして小さめの刺繍が金色で施されている。
「ありがとうございます、これが良いです」
「ご満足頂いて何よりでございます、準備も終わりましたのでお時間まで先ほどのお部屋でお寛ぎ下さいますようお願いします」
「分かった、ありがとう」
「いえ、これも仕事ですから。それでは失礼します」
扉の開閉の音も足音すらもなく消えて行く執事。
やはり執事はおかしいと思ったのは僕だけでは無いはずだ。
それからしばらくすると。
「コンコン」
「はい」
「お時間になりましたので、こちらへどうぞ」
「ありがとう、ではみんな行こうか」
「はい」
案内されたのは一際目立つ装飾をされた扉の前。
「こちらが謁見の間にございます」
そう言うと、今度は扉に向かって。
「ベルク伯爵家の皆様をお連れしました」
大きな声で僕たちが来た事を知らせる。
「うむ、入れ」
「それではこちらへ」
中から入室の許可の声が返ってくるのを聞き扉を開ける。
中には赤い絨毯が敷かれておりその先には、王冠を被った父上と同い年ぐらいの男性が椅子に座っていた。
「ベルク伯爵良く来た、入れ」
「失礼します」
父上に続き僕たちも謁見の間に入っていき赤い絨毯の切れ目で立ち止まり片膝をつく。




