ジゴロ?
「アロイス様私の我が儘で済みません」
「いえ、私は気にしていませんよ、むしろ本当に私で良かったのですか?」
俯きがちなエリナ王女に笑顔で答える。
「はい。さっきも言いましたが、私はアロイス様なら別に大丈夫ですので」
「エリナ王女殿下にそう言われるのは光栄にございます」
「あの、もしよろしければエリナとお呼び下さい、あと敬語も不要です」
いやーそれは無理だろ。色んな意味で僕は終わる気がする。主に物理的に。
「エリナ王女殿下に無礼は許されませんので」
「私が良いと言っているのだから良いのです」
少し頬を膨らませてる姿が可愛い。ではなくて、いくら本人に言われてもご家族が許さないだろ。
「流石にそれは私の一存では決められないと思うのですが」
「むー、では2人きりの時だけでもお願いします」
それならギリ大丈夫だとは思うけど、本当に良いのかな?
「御者の方に聞かれます」
「今回の御者は私専属だから大丈夫です、誰かに告げ口したりしませんよ。ねっ、ベクター」
「そのように言われると何も言えないです、王女殿下。アロイス様、どうぞ王女殿下のご指示にお従い下さい」
これ完全に言わせてるよ。はぁ〜なるようになるか。
「分かりました。では、エリナ。これで良いかな?」
「ハイ、えへへー。私もあ、アロイス、と呼んでも良いですか?」
めっちゃ嬉しそう。この顔を見れただけでも呼んだ甲斐があったな。
「勿論だよ、そもそもエリナは僕に様に付けをする必要は無いのだから」
「そ、そうですよね。あ、アロイス、えへへ」
本当嬉しそうだな。
「そうだよ、ところでエリナは僕に敬語なの?」
「あ、すいません。私敬語以外で喋ったことが無くて」
王女の立場なんかそんなもんか。
「そっか、エリナが無理してないならそれで良いよ」
「はい!アロイスは優しいですね」
「そんな事ないと思うよ?」
「いえ、そんな事あります。私の我が儘に付き合って頂いてるじゃないですか」
「あの程度の我が儘ならいくらでも聞くよ、それは僕だけじゃないと思うけど」
「いえ、純粋な気持ちで聴いてくれるのはアロイスだけだと思います。みんな私が王女だからとか、何かしらの下心がありますから」
少し暗い気持ちにさせちゃったな。まぁ、政治の世界だとそうなるよな。その上でこんなに可愛いのだから自分のお嫁にしたくなるし、さらに地位も手に入る。違う視点で見ると最良物件だものな。あまり我が儘を言って相手にスキを見せられないよな。
「そっか、じゃあ僕がエリナの我が儘を聴いてあげる」
これくらい許されるだろ。しっかりとフォローしておかないと。
「ありがとうございます、アロイス」
顔を真っ赤にしながら、笑顔でお礼を言われる。やっぱり可愛い子は笑顔が1番だな。
そんな事を思っていたせいか。
「エリナみたいな可愛い子の役に立つならいくらでも」
あれ?なんで僕はこんな事を言ってしまったんだ。
「か、可愛いだなんて」
ボフッと煙が出ているように錯覚してしまう程顔が真っ赤になってしまった。
「アロイス様ってたらしなんですかね?」
御者からもそんな事を言われる始末。
「あ、いや。その可愛いのは本当ですが深い意味があった訳では。その何というか、純粋にそう思ってしまったのが声に出ていたと言うか」
こっちもテンパってしまう。
「天然のジゴロですかね?」
もうそれ以上言わないで、何も言えなくなってしまう。
そのあと馬車の中では顔を真っ赤にして何も言わないエリナと何も言えなくなった僕の異様な光景が続いたまま、次の町の宿に着いてしまった。御者は楽しそうに笑っていた。
「お二人とも宿に着きましたよ」
「「は、はい」」
息ぴったり返事をしてしまった、余計に気まずい。
と、とりあえずさっきのことは忘れよ。
僕が先に馬車から降りエリナに手を出す。
「どうぞエリナ王女様」
「あ、ありがとうございます」
まだ顔を赤くしたまま僕の手を取る。
そんな光景を目の当たりにした僕の家族が寄ってくる。
「アロイス、貴方やっぱり何かしたのね」
「は、母上!僕は何もしてはいません」
母上に変な疑いをかけられる。
「では何故王女殿下はあんなにも顔を赤くしているのかしら?」
頬をピクピクさせながら母上が聞いてくる。
「誓って手を出した訳ではありません」
「ユーリ様!アロイスは私に何かしたわけではありません。ただ可愛いと言われて恥ずかしくてなってしまっただけです!」
「エリナ!ちょっ何を言ってるの⁉︎」
「ほぅ呼び捨てで呼び合っているのねアロイス。敬語も無いようですし」
やばっ、エリナが変なこと言うからつい僕もさっきの感じで呼んでしまった。
「いや、それは、その。何と言いますかえーと」
なんて誤魔化そうか考えていたらエリナが先に答えてしまった。
「ユーリ様。これは私の我が儘なのです、私がそのようにお願いしたのです、ご迷惑をお掛けしました」
「あら、王女殿下は何も悪く無いのですよ。貴方は王女なのですから、アロイスには何なりとご命令を」
「ちょ、母上⁈」




