初めてのジャンクフード
「まずは何処に行こうか?」
兄上といっしょに町を散策しに外に出る。
「そうですね、最初は屋台で少し小腹を満たしたいです」
「じゃあ広場に行こうか、あそこはいつも屋台を出してるみたいだから」
「分かりました」
領地にも屋台なんかはあるけれど、僕は屋敷の外に出なかったから食べたことなかったんだよな。
「ところで兄上。屋台はどんなのがあるのですか?」
「そうだね、何処の町、村にでもあるのが串焼きかな?冒険者が取ってきたお肉なんかを焼いてたりしてるよ。
あとは、そこの特産品なんかを使った物とか、甘味類だね」
魔物の串焼き!味は知らないけど、見た目は美味しそうなやつだ。
「串焼きは、美味しいのですか?」
「場所によるよ、美味しいタレで焼いてるところもあれば、塩しか振らないで焼いてたり、これはお肉の質が悪いと非常に不味い」
食べたことあったんだな、思い出しているだけなのだろうけど顔が歪んでる。
「当たり外れは食べないと分らなさそうですね」
「まぁそれも食べ歩きの醍醐味とでも思って、楽しむと良いよ」
楽しいのかもしれないけど出来るなら、美味しいものを食べたい。
「あそこが広場だよ。なにがあるか見てみよ」
この世界に来て初めてのジャンクフード。ちょっと楽しみ。
「美味しいものありますかね?」
「どうだろうね、ここでは一度しか食べてないから分かんないや」
「その時は何を食べたのですか?」
「あの時は母さんと一緒に回ったから、甘味だったかな」
「甘味も食べてみたいですね」
「不味くはなかったよ」
不味くはって、決して美味しいわけではないのか。
うーん、まぁ食べるだけ食べてみるか。
「そうですか、じゃあまずは兄上も食べてない串焼きからにしましょう、丁度あそこにありますし」
「そういえば、アロイスって言うお金持ってたっけ?」
お金?おかね?オカネ?お・か・ね。
「………」
「だろうと思ったよ」
「…宿に戻ります」
「大丈夫だよ、僕が持ってるから」
神はここにいた。
「お兄様、私は貴方に一生を捧げます」
「大袈裟だなー。これは、父さんが持たせてくれたものだからお礼は父さんに言いな」
「分かりました。それでもお金を持ってきて頂いた事には感謝します、ありがとうございます」
「どういたしまして、アロイスはたまに抜けてる事があるね」
「そうですか?自分ではそんな事ないと思うのですが」
抜けてる事なんかあったかな?
「自分で分からない時点でもう抜けてるよね」
笑いながら兄上がそう言いながら屋台に向かっていく。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。では早速」
「「頂きます」」
「「ぶっっ」」
これは酷い。ちょっと涙目になってしまう。
「あ、兄上」
「アロイス」
兄上を見ると、兄上も涙目になっていた。
「「屋台の串焼きはやめよう」」
2人の意見が一致した。嬉しくない。
「口直しに甘味を食べよう、凄く美味しい訳では無いけど、不味い訳ではないから」
「そうします」
口の中の不快感を我慢しながら甘味の屋台に向かう。
「はい、アロイス。これは食べたことあるから大丈夫だよ」
「ありがとうございます。頂きます。あっ、本当だ美味しくはないけど、不味くもない。これなら食べられます」
前世で言うりんご飴みたいなものだ、飴の中はリンゴではないけど。
「良かった。これならさっきの串焼きの味が忘れられるね、むしろ前食べた時より美味しく感じるよ」
「不味いものを食べた後だからですかね、ところでこの飴の中に入ってる果物は何ですか?」
「飴?この周りの奴のことかな?この中に入ってる物は、この町の特産品でオイプルだよ」
オイプル?変な名前だな。まぁ異世界だし変な物があってもおかしくはないか。
「あそこの果物屋に売ってるから買ってきてあげるよ」
「いや、まっ…」
止める間も無く行ってしまった。
「はいどうぞ」
「ありがとうございます、食べてみますね。」
別に食べたいわけでは無かったが兄上の好意は無駄に出来ない。
「あむ、もしゃもしゃ、んー?微妙?」
美味しくないけど食べられないこともない。それにしても名前の由来が分かってしまった。これは、オレンジと苺とリンゴを一緒に食べた様な味がする、しかもどれも甘くない物同士。
「だよねー、まぁだからこのオイプルの砂糖固めが微妙な味なんだけどね」
飴って砂糖固めって言うんだ、まぁ砂糖を溶かして固めたものだから間違いでは無い、けど名前になんの捻りもない。
「でも食べられないことは無いですよ」
「そうだね、食べられなくは無いけど好き好んで食べたいとも思わないよね」
それはそうだ。
「でもこの町の人達には無くてはならない果物ですよ」
「特産品にもなってるほどだものね。っとそろそろ宿に帰ろうか。父さんと母さんが待ってるよ」
「分かりました」




