5/6
5
高校生の頃、一度だけセツとカラオケに行ったことがある。
合唱曲を選曲する自分に反して、彼女は西の彼方などの流行りの曲を選曲していた。
一緒に歌ってくれる彼女に対して、彼女が歌った曲に合いの手すら入れることが出来なかった。
それからか、後の三年間はリンゴレコードのランキング上位の歌を毎日聞いていた。
「400億?!」
「うん、400億」
「結婚式を挙げた次の日にね、一族総出でのパーティーがあったの。私はパーティーに来ていた紅い髪の女の子にお願いされて近くのコンビニに案内したの。女の子が買い物を終えた後、コンビニの前でふたりでチキンを食べてたら空が赤くなってね。…………それで火事の後始末の後、総資産の十分の一が私のところに来たの」
「お、おばさんには……セツの家族には伝えたりしたのか」
「も、もう、いないよ。みーんな死んだんだよ」
「すまない」
「ばーか」
「それでどうして自分のところに?」
「頭が真っ白になっている時に、ただ一人、思い浮かんできたのが貴方だったからだよ」




