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キッチンの怪

 かさこそとかすかな音が響く。さては天使のやつ、また盗み食いを企んでるのか?

 と振り向いたが、『み゜?』と天使はクッションに埋もれてふくれた腹を見せつけている。

『み゜ぅみ゛ーーー』

 視線を感じたのか、天使は肘をついてセクシーポーズ?を取った。メタボな腹が強調される。

 ……やっぱりメシ減らそうか。

 しかし天使が大人しいなら、さっきからの音は……

「ん?こんなところにケーブル引いたっけか」

 床に散らばったケーブル類をまとめてまたいでキッチンに行く。

 かさこそ。

「また……!」

 ばっと振り向く。視界で動いたものが一つだけある。

 ……ケーブルだ。

 何の変哲もない白くて細長い……つかみ上げると、ほんのり脈動している気がした。

 クッションの上の天使を見る。

『み゜……』

 冷や汗書いてるように見えるのはなんでだろな?

 ぐっと握ると、『ぴゃ!?』と天使が鳴いた。

「おい」

 びくりと天使が震える。視線そらしてんじゃねえよ。

 俺は「ケーブル」を引っ張った。

 すると、天使が勢いよくクッションの隙間から滑り落ちる。

 俺の引っ張った「ケーブル」は、天使の足元のあたりに繋がっていた。

 つまり、尻尾だ。

 伸縮可能なのかこれ?

 長く伸びた尻尾は俺の手元からさらに伸びてキッチンの方へ続いていた。

 先端が冷蔵庫のドアに張り付いている。

「盗み食いの現行犯で確保ー」

『き゜ゅい……』

 哀れっぽく泣いても検察兼裁判官の裁定は覆らない。

「夕飯抜き!」

『み゜ああぁ~』

 ぱたりとくいしんぼうの尻尾がころげ落ちた。

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