ある昼下がりの狂詩曲
天使が窓辺で眠っている。
部屋には天上の調べが響いていた。
小さな体がかすかに膨らんだり縮んだりを繰り返すたびに、細かな金属音が奏でられる。中身は一体何でできてるんだろう?
なんでもいいが、このお上品な音楽は俺にはちょっと居心地が悪い。
目を覚ませばそれはそれでみ゜ーみ゜ーうるさいが、そっちの方が幾分マシだ。
「早く起きねーかな」
そっと指を伸ばすと、反射なのか天使のプルプルの体がぱかりと口を開いた。中の造りはまあまあグロテスク。
「げ」
慌てて防御プログラムを起動したのと、とぷんと指先が飲み込まれるのは同時。
途端にぶるぶると天使の身体が端末の振動通知よろしく震えだす。
と、いきなりびょんと飛び上がって天井にびたんとぶつかった。
『敵性情報の侵入確認!敵性情報の侵入確認!』
大音量で天上語を叫びながら部屋を跳ね回る。あっちの壁にびたん、こっちの棚にどかん。
「ちょ、まて、こら!」
動きが早くてなかなか捕まらない。どたばた追いかけまわし、格闘してようやく部屋の隅に追い詰めて踏んづけた。
『んき゜ゅ』
「ぜぇ…はぁ…手間かけさせやがって」
ぺたんとなった天使をつまみ上げて聖水瓶に放り込む。
じんわりと取り込んだ情報が吐き出されていく。
「自分で食っといてあほか」
『み゜ぃ…』
瓶を書類の散乱した床に置いて、横に腰を降ろす。
天使にとっては寝起きの風呂タイムといったところか。
瓶の中で気持ちよさそうにふわふわ漂い始めたのを眺めていると、次第に瞼が重くなってきた。
今日はうまく眠れそうだ……




