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「これで公募に出す気?」と言われたので、泣きながら書き直している

「これで出せると思っているのか」


そう言われて、雨日は固まった。


何度も書き直した公募原稿。


自分では、もう十分に仕上がっていると思っていた。


だが――目の前にいる“削り屋”は、容赦がなかった。


こんにちは。雨日です。


田舎の日曜日は忙しい。


本当なら庭でもいじって、人間らしい生活を取り戻したいところだった。


だが、今日は違う。


家族が、雨日の原稿をチェックしている。


そして、そのチェックが――異常に厳しい。


「これは不敬だろ」

「このセリフ、前の文を読めば不自然」

「誰の視点で書いている?」


次々と飛んでくる指摘に、雨日はしどろもどろに説明を試みる。


「えっと、これはこういう背景があって――」


「それなら書け」


即答だった。


気づけば隣に座らされ、一文ずつ解体されていく。


文字の位置を動かし、言葉を削り、意味の通らない部分を切り落とす。


その作業は、まるで手術のようだった。


そして、雨日は気づいた。


自分の編集は、“編集ごっこ”だったのだと。


雨日が大好きだった家臣同士のやり取りも、あっさりと切られた。


「本文と関係ないよね」


――うん。でも、好きだった。


気づけば、家族はAI以上の削り屋だった。


しかも厄介なことに、その指摘はすべて正しい。


AIなら反論できる。


だが、家族の言葉には理が通っていて、何も言い返せない。


過去に商業出版した原稿も、この人の手を通っている。


つまり――実績付きの削り屋だ。


書くことはできる。


でも、削ることができない。


その差を、突きつけられた。


「この状態では、まだ出せない」


家族は冷酷に言い放つ。


「あと三年かけろ」


家族は、そう言い放つ。


三年って。


……そんなの、無理に決まっている。


それでも、雨日はまたパソコンに向かう。


原稿を書くより、編集している時間のほうが長い。


白目を剥きそうになりながら、指摘された箇所を一つずつ直していく。


ああ、本当に――長い。


果たして、原稿を終えることができるのか。


それは、まだわからない



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― 新着の感想 ―
削るの難しいですよね。 エピソード削ったと思ったら、『じゃあ他の所で整合性を』となって結果、文字数減ってないとか 20万文字で本出したいって思った。
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