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第47話 結束

 蟠りが解消され、吹っ切れた爽やかな笑顔を向ける一蓮は蓮と共に城の大広間に向かった。

 扉を開くといつもの面々に加えて、軍師や名のある武将が顔を揃えていた。

 下座に一諾の姿を見つけ、会釈した蓮は一蓮と別れ、一諾の隣の席についた。



 壇上では一蓮が演説を始めた。

 名目上は宇軍からの独立という事になっているが、一諾の手前、大々的に宇軍の名は出さなかった。



「私達の門出な訳だけど、新しい仲間…ううん。家族を紹介しておくかな」


 大袈裟に突き出された一蓮の指先は一諾を指し示していた。



「私の義姉であり、私達の叔母。一諾ちゃんかな!」


「ちゃん付けするなッ!小娘でもあるまいし!」


 勢いよく立ち上がり猛抗議しているが、ただ戯れあっているようにしか見えない。

 まるで姉妹喧嘩を見せられているような感覚だった。



「一諾には元々、管理していた領地と部隊を返納し、政務と軍務に当たらせるかな」


 他者に意見させるつもりはないが、言うまでもなく誰からも反論はなかった。



「そして、凰花 蓮かな」


 ご指名を受けて、一蓮の隣まで移動した蓮は頭を下げた。

 大広間へ向かう道中、一蓮から自分の能力について打ち明けるように指示された蓮は脳内で作り上げた文章を読み上げた。



「僕は両眼に特殊な能力を持っています。ですが、その能力を扱いきれず、一諾さんの貴重な時間を奪ってしまいました。正直、いつこの眼が暴走するか分かりません」


 更に椿、黒ローブの女性の眼についても大まかに説明したが、椿の瞳術については以前と同様に隠しておいた。



「君の能力については理解できたかな。それで、これからどうするか…」


 一蓮は七杏だけを見ていた。

 その視線に気付いた七杏は静かに立ち上がる。



「これまで通りでお願いします」


 きっぱりと断言した七杏を満足そうに眺める一蓮は盃を高々と掲げた。



「よろしい!じゃ、祝杯をあげようかな!」


 宴は大変賑やかに催された。

 宇も江も関係ない。

 元の一つの軍の形に戻った。

 兵士達も様々な場所で語り合い、新生江軍は結束を強めた。



 宴も終盤に差し掛かった頃、蓮の隣に腰かけた一蓮は小さく耳打ちした。


「大切な話があるかな」


 周りの騒々しさに掻き消されてしまいそうな一蓮の声を聞き漏らさないように耳を澄ます。



「次は阿の鏡華と伊の九条 幾斗が動くかな。その眼を使用せずに悪魔と天使、そして天の住人に勝てるなら良いけど、無理そうなら何か考えないといけないかな」


「…分かりました」


 この時の蓮は阿軍には椿が居るのだから大丈夫だろうと、楽観的になっていた。

 しかし、この甘い考えが後に最悪の事態を招く事をまだ知らない。



 本来の目的を忘れた訳ではないが、この特別な夜が終わらないで欲しいと願いながら乾杯を繰り返した。

 無慈悲にもその望みは叶わず、時は進む。

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