表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/191

第36話 宇軍との戦

 世間的には皇帝は連合軍に討たれた事になっている。

 一方で一蓮率いる江軍は戦後の事後処理が評価され、その名声は一気に高まっていた。



 蓮が椿姫や黒ローブの女性からの助力を得て、修行を続けている間も一蓮の裏工作は密かに進行していた。

 そんな中、彼女達の元へ吉報が届いた。

 五虎が二人の妹達の居場所を割り出し、二猫が救出作戦を成功させたのだ。

 これで一蓮は心置きなく宇軍との戦を始められるようになり、全軍を出撃させた。

 迎え撃つ宇軍も全勢力を導入し、最初で最後の戦に乗じたのであった。



「卑劣な手段で我らから自由を奪った宿敵を打ち滅ぼす!」


 一蓮からの号令に大声で応えた兵士達の半数以上は一蓮がこの日を待ち望んで必死に鍛え上げた者達だ。

 残りの半数は新たに迎え入れた者達だが、いずれも士気は高かった。



 突出する敵部隊と戦闘を開始した前線部隊の指揮は二猫が執り、遊撃部隊は四蘭が指揮を執っている。

 勝ち続けた事で蓮の出番はなく、後方の兵糧部隊に身を寄せていた。

 現在も江軍の勢いは凄まじい。

 一蓮は油断している訳ではないが、これからの全体指揮を七杏に任せると言い出した。

 兄妹達は反論を唱えたが、この場で一蓮の代わりを務められる人材は七杏以外に居ない。

 二猫、四蘭は攻撃の要であり、五虎は江軍の頭脳だ。

 よって総大将代行は七杏以外に任せる事は出来ないというのが一蓮の判断だった。



「一姉様はどこに行くおつもりですか?」


「敵大将の首を取る事、それは私にしかできない役目かな」


 いつもの語尾といつもの笑顔で妹を激励しながら、後方に居る蓮を呼び寄せた。



「この戦は私達の戦だから君は手を汚さなくて良いかな」


 一見すると冷たくあしらわれたようだが、蓮は何も言わず後方で兵糧部隊の護衛と救護部隊の手伝いに従事した。



「一姉、あいつを出せばもっと早く事を進められるのよ」


「あの子は自分を守る為に戦う。それが結果的に私達を守る事に繋がるかな。そうならないように私達でこの戦を終わらせてみせるかな」


 七杏の指揮の下、順調に敵の前線を切り崩した江軍は勝利を目前にしていた。



「やった。一姉様、我らの勝利です!」


「気を抜かない!私は敵の懐に突入する。蓮を呼び寄せ、七杏の護衛をさせなさい。私の護衛はいらないかな」


 飛び跳ねる勢いの七杏とは裏腹に蓮の顔は浮かないものだった。



「一蓮さんは宇軍大将を斬るつもりですよね」


「まさか、この期に及んでッ!"叔母様"を許す事は出来ない!私を監禁し、幼い妹達を幽閉したのだ!この恨みは簡単には晴らせない!」


 先程とは打って変わり、怒りを露わにする七杏は口を滑らせてしまった。



「…叔母?」


 咄嗟に口を隠した七杏を見て、やるせない気持ちになった。

 蓮は部外者であり、口を出す事は出来ない。

 それでも、血の繋がる叔母を殺して、全てが解決できるとは思えなかった。

 もしも、宇軍大将も操られていて、この戦も仕組まれた物だとしたら、という疑念が晴れない。

 一蓮が蓮を前線に出さなかった理由は、このように重大な事に気付き、何かを勘ぐってしまう事を恐れたからかもしれない。

 或いは本当に身内の揉め事に関わらせたくなかったのかもしれない。

 一蓮の考えは定かではないが、今の状況では蓮に出来る事は何にも無かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ