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第14話 雛罌粟の願い 一つ目

 凰花 椿は異世界を救った後に自分の意思でこの異世界に残ると決めて鏡華や九条 幾斗達と共に生きてきた。

 この異世界の異変は凰花 蓮が降り立つよりも前に起きていた。しかし、椿はそれに気付かなかった。

 徐々に空は分厚い雲に覆い隠され、嵐の日々が続いた。忌々しく空を見上げる椿だが、陽の光が無ければ椿姫になることが出来ず、鳳凰眼も使えない。

 嫌な予感を抱きつつも雛罌粟とも連絡が取れず、不安な日々を過ごした。

 


 ある日、何の知らせもなく空間が歪み、浮遊感に襲われた。瞬きするとそこは様々な花が咲き乱れる世界で、和室にはいつものように肘掛けにもたれかかる雛罌粟が手招きしていた。



「いらっしゃーい、椿くん。大変な事をなったわー」


「何が起きているのですか?」


「現世から凰花の人間があの世界に送り込まれてくるわー」


 何故、そんな事になっているのか、この異世界は今や椿の人生となっている。

 間違いなく自分を異世界に誘った女性の仕業だと悟った。

 折角、手に入れた居場所なのだ。誰が相手だろうと、たとえ勝てなくとも抵抗する心持ちだった。

 しかし、誰が来るというのか。凰花を追われた人間は椿ただ一人で、それ以外の女子は良い意味でも悪い意味でも将来を約束されている。

 椿に心当たりはなかった。というよりも凰花の人間で知り合いは一人も居ない。心当たりなどある筈が無いのだ。



「最近、正式に凰花の人間になった男の子よー。詳しい事は分からないから、自分で確かめてねー」


 "男の子"

 椿にとっては驚愕の言葉だった。更に"最近、正式に凰花の人間になった"とはどういう意味なのか。

 次々と疑問は浮かび上がるが、雛罌粟は考える時間を与えてはくれなかった。

 次に瞬きすると椿は自室に戻っていた。



 鏡華に呼ばれた為、玉座の間に向うと更なる異変が椿を待ち受けていた。



「椿、於軍の討伐に行くわよ」


「於軍?いつの話をしているんだよ」


 椿達は於軍討伐はおろか、三軍同盟を達成している。

 しかし鏡華を含め、他の武将達も違和感を覚えることはなかった。

 気付くと、そこには瑠捺の姿がなかった。

 更に仲間になった九条 幾斗や一蓮とは以前の敵対関係へと戻っていた。

 混乱する椿は海璃にあやされたが、事態を飲み込む為に十分過ぎる時間を要したのだった。

 



 

 二度目の初陣にて、於軍大将を早々に退場させる為に奮闘した椿は雛罌粟の言った凰花の人間と相まみえた。

 正直な感想として何の脅威にも感じなかった。それよりも気にするべきは於軍大将を操っていた鳳凰眼の所有者である。

 戦を終えた椿は久々に雛罌粟に呼び出され、とある依頼を受けた。



「椿くん、あの子を壊しちゃダメよー。大切な鳳凰眼の所有者なんだからねー」


 椿の眉がピクリを動いた。そして椿はあからさまに嫌な顔になる。



「二つのお願いの事覚えてるー?一つ目はあの子の鳳凰眼の開眼を手伝って欲しいのー。既に"細工済み"だから、好きにやっていいわよー」


 雛罌粟には大きな借りがあり、その頼みを断る事は出来ない。凰花の人間に良い印象は無いが雛罌粟の頼みを承諾した。



「もう一人の鳳凰眼所有者が居ますね。俺が対処して良いのですか?」


「えぇ、お任せするわー」


 椿には話していない秘密がいくつかあり、雛罌粟はある目的を果たす為に行動している。

 それは椿や蓮を利用する事でしか果たせない事だ。

 一つ目のピースである椿が梦幻鳳凰眼を開眼し、二つ目のピースである蓮がこの異世界に現れた。

 あとは蓮が鳳凰眼を手にすれば準備が整う。

 雛罌粟は死後、感じた事のない幸福感に包まれていた。

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