第56話 二つ目、三つ目の依頼
『それともう一つ頼まれて欲しい事があるの。こっちへ来て』
『お仏壇ですか?』
『私の親友が眠っているの』
『綺麗な人ですね。…百合さんに似ていませんか?』
『えぇ。百合の姉よ。生きていたら、私と同い年。彼女は凰花の眼を持たなかった。だから、百合も"眼"を持たないの」
『それが…誰から産まれたか…』
『そう。彼女達の母…鬼百合さんはこの子の代わりに百合を産んだの。でもダメだった。そして私達も我が子をダメにした』
『私達…先代の梔さんですね』
『お母様は自分の力を私にだけ与える為に次の子を産もうとしなかった。それが今に繋がっているのよ。私も二人目は考えていなかったから、お母様の事は言えないけれどね』
『それで、百合さんのお姉さんですが…』
『殺されたの』
『…え?』
『殺された筈なの。あの子が自ら命を絶つとは思えない。あの子は私の息子を可愛がってくれたわ。会いに行けない私に代わって、よく遊んでくれた。でも、突然消えた。そして、訃報を聞いた。蓮の者、さくら様に掛け合って、あの子についても調べて欲しいの。お願いできないかしら』
『この人の名前は何ですか?』
『姫百合。凰花 姫百合』
『分かりました。善処します』
『頼もしいわ。じゃあ、もう一つだけお願いしても良いかしら?』
『いくつ出てくるのですか。今日はさくらさんが帰って来る日なので、一緒に食事をしなければいけません』
『蓮の者は絵が得意だと子供達から聞いたわ。是非、私の絵を描いて欲しいの』
『何故ですか?』
『次の当主が決まったら、貴方が描いた私を額に入れたいの』
『初代当主様だって写真なのに、鈴蘭さんだけ絵になってしまいます』
『良いじゃない。九代目当主が描いた、八代目当主の肖像画なんて素敵じゃないかしら』
『僕が九代目にならなかったら、ただの肖像画ですよ』
『それでも良いのよ。…今の私を描いて欲しいの。お願い』
『…では前金を頂きます。その書物を少しだけ見せて下さい』
『ありがとう。どうぞ。それにはさくら様の歴史が刻まれているわ。勿論、特異体質の事もね』
『………確かにそのようですね』
『さくら様はお母上…初代当主様から呪いを受けていると書かれているわ。その呪いは解けないとか。でなれけば考えられないでしょ。だってさくら様はもう百二十歳を超えているのだから…」
『これって、最初は誰が書き始めた物ですか?』
『裏に名前があるでしょう。さくら様のお父上、そして初代当主様の旦那様』
『九条…幾斗?』




