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ネコのぬいぐるみでも学園支配できるかな?  作者: 水井時零
旧生徒会陥落そして新生徒会誕生 編
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わかんねぇ

屋上騒ぎから何ともなく一日は終わり、

俺達は帰ろうと思って下駄箱を見た。

ふと、手紙が一枚入っている。

ラブレターかな?とか思ったけどそんな事は無かった。


「商店街にあるカフェ“クロス“で待つ。か

行くしかねぇな……行くか。鐘道」


俺が頷くと肩からバックに突っ込まれた



カフェクロスは最近、商店街に出来た店らしい。

特に変わった所は無いが、ケーキが美味い

と、倭斎隗は歩きながら言った。

相変わらずの商店街。八百屋、魚屋に布団屋やガス屋まである。


「あ、倭斎隗!久しぶりだね!」


聞こえたのは、アクセントが柔らかい声だった。


「あ、東普遍ひがしふへんの泣き虫じゃん。久しぶりだな!」


東……普遍? 多分街の名前だろうか


「いつの話よ!大体今は西遍蕗にしへんろよ。引っ越したの」


に、西……? 俺は頭の回路がぐちゃぐちゃになった。


「で、今は中学だっけか?」


柔らかい声は語尾が微妙にあがる様な言い方をして


「そうだよ!もう来年は高校だけどね

あ、そういえばさっき変な集団がいたよ」


変な集団?まさか……


「変な集団がどうした?」


「なんか~私に会うなり いい目をしているな

お前野犬団に入らないか? とか聞いてくるんだよ。でも、私は言ってやったんだ。お断りだっ!てね!」


やはりだった。てかそこら辺にいる中学生まで仲間にしようとするってプライドとか無いのか


「……ねぇそのバック何が入ってるの?」


「ああ。これはな……」

不意に身体の横に手が当たる。持ち上げられたらしい


「ほら、ネコのぬいぐるみ!かわいいだろ?」


突如外に出され、困惑した。せめて一言言ってくれれば……


「ん?今、顔が変わったよ。どうなってん?」


あ、ほら。まずい事になったじゃん


「これはな……あれだ人工知能ってゆーやつだよ。なんかよくわからんけどな」


それが誤魔化しだったらしい。……苦しい


「そりゃすごいや!じゃあ喋ったりするのかな?」


俺は頑なにぬいぐるみの振りをした。既に手遅れの気がするのだが……


「こんにちは!お名前はなんてゆーのかな?」


女の子はにっこりして話しかけた。


「喋らないじゃない!何よ!このかわいいだけのポンコツ!」


人で言えばおでこの辺りを人差し指で パチンと弾かれた。つまりデコピンを喰らった訳なんだ


「はい。そんな事する女の子には見せませんから。全く……お前は昔っからそうやって物の扱いが雑なんだよ」


さっとバックの中に俺をしまってしまった。


「そのぬいぐるみの名前は何ていうの?」


女の子が聞くと


「鐘……いや、ベルードって言う名前だよ。

はは……」


と、倭斎隗は困った言い方で答えた


「べルードって呼びにくいからベルでいいや。じゃね」


どうやら歩いていったらしい。久々のデコピン痛い……


倭斎隗は言った



「野犬団は一体何がしたいんだろうな……」


「俺に聞かないで」



しばらく歩くとカフェに着いた。看板には白文字で クロス と大きく書いてあった


「いらっしゃいませー」


女性の声である。店員だろう ひどく棒読みだ

倭斎隗は奥の席に歩いていった。


「遅かったじゃないか。何をしていたんだい」

「そうだよ!大事な報告があるってのに!」


二人の声が聞こえる。俺は気づかれないようにこっそりと顔を出してみた。

そこに居たのは 高端和至 と 和泉灑思 そして謎の男だった


「なんか一人増えているがまあそれより報告って何だ?」


倭斎隗は頰杖を付きながら聞いた


「それはこれだよ」


高端は腕を倭斎隗の方に伸ばした


「切れてるな。誰にやられた?」

確かに袖は数センチ切れていた


膳鵞尹里寝安せんがいんりねあに間違いない。奴は普段のイメージからだとあんな事するとは思わなかったから油断していた」


「 里寝安か……確かに奴は危険だと思っていたがまさかそんな事をするとは」


「ま、お前も気をつけろつーこった。奴は殺人鬼かもしれんからな」


その時、頭に思い浮かんだのは前に俺が連れ去られた時の事だった。そう言えばあの時助けてくれたのは……


「違うっ!!!」

「あの子は殺人鬼なんかじゃない!!」


なぜか叫んでいた。何故だろう?


「だってあの子は……あの子はっ……」


「……ぬいぐるみが叫んだんだがどうなってんだ?」


周りのざわめきが聞こえる。


「……人工知能の覚醒だよ。ちょっと外出ようぜ」


「あ、ああ……」


バックが動いた。どうやら移動したらしい


「随分と寂れた所に連れてきたじゃないか。じゃあさっさと教えて貰おうか!そのぬいぐるみの秘密」


ガシャっと音が聞こえると同時に高端の声が世界から消えていった

残ったのは声では無く紛れもない 助け だった


「その事なんだけどさ 黙っててくれねぇか?この通り」


気になってバックから顔を出そうとしたら、頭を押さえつけられてバックの中に押し込められた 気遣いって感じだろう。少々強引だが

その時、バックが動いた。そしてどこかで止まった。これもまた気遣いだろう。


「っはぁ ……てめぇ!なんて事しやが」


腹部に拳が沈む音がした


「もう一度聞く。黙っててくれねぇか? 」


「分かった!分かったから!なんでそんなに隠したいのかは気になるがまあいい。だから殴るのは止めてくれ。お願いだ」


高端はかすれた声で言った


「お前なら勝てるかもな。あの殺人鬼に」


俺はそれを聞いて あっ となった 嫌な予感は的中。またまた高端は攻撃を喰らったらしいのだった


高端の殴られる音がしばらくして、急にしんとなった。 恐る恐る顔を出してみると

そこには顔が腫れた高端と息を荒らげ、高端に馬乗りになっている倭斎隗が居た

声も出ない。俺は何を怖がっているのか?自分のせいであるのでは? 頭の中がそんな疑問でいっぱいになっていた


「ふざけた野郎だ。同級生の事を殺人鬼なんて呼びやがって……いや、これで良かったのかな?鐘道」


笑いながら俺の方を向いた。口からは少し血が垂れ、頭からも血が垂れていた。高端が抵抗したのだろう


「……斎隗」


不意に聞こえたのは和泉灑思(いずみれいじ)の声だった。ヤバい。直感的に感じた俺は叫んだ


「逃げろ!!倭斎隗!!」


え? と そんな顔だった。その時、和泉が倭斎隗に飛びかかった


「倭斎隗!殺す……殺してやる!」


見ていられなかった。倭斎隗は必死で殴ったり蹴ったりしていたが、次の瞬間にはその二倍の攻撃が来る ただひたすらに恐ろしかった


「もう止めろ!!止めてくれ!!それ以上やったら死んじまう!」


この声はあの三人目だ。そういえば名前を聞いていなかった。そんな事は今、どうでもいい 助けてくれ!それだけが願いだった


「ぐはっ……」


三人目は無謀にも止めようとして殴られたらしい。鼻から垂れた血は手を染め上げ、痛感を機能させる


「……どうすれば」


「そうだ」


「悪く思うなよ……」


三人目は落ちていた鉄パイプを持った まさかと思うより先に向かっていく そして、殴った! 力の限り!


しかし


それはいとも容易く捕まれ、鉄パイプは真っ二つに折れた

三人目に拳が飛ぶかと思ったその時、

和泉はその場に倒れた


「……わけわからんねーよ。何なんだコイツらは」


三人目は頭を掻きながら何処へと歩いて行った


冷たい何かが俺の頬を流れた。雨かな?と思ったらそれは 涙 だった。 ぬいぐるみの涙なんて可笑しくて笑いたかったわけど笑えなかった。倒れている三人を眺めているとなんだか。



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