一夜ならずとも
片付けを手伝ったら、空は白い絵の具をぶちまけたキャンパスの黒い絵の具みたいになってた。
そこでお礼にビールを貰った。(未成年……)
なので、家で女神に飲ませる事にしたのだった。
「いや~しかし、この世界にもビールがあったなんてね~幸運としか言い様が無い。」
「……ぬいぐるみがビールを飲むなんてなぁ。いくら中身はおっさんと言えどもイメージが、、、」
「うるさいよ!女児アニメのマスコットじゃないんだから、自由にさせてくれ!」
俺は女神が来る前にビールを呑んでいた。ストローを刺してすこしづつ。その様子に呆れて倭斎隗は机に倒れ込んだ。
それを気にせすにビールをぴちゃぴちゃと呑む。
しかし、呑んでばかりもあんまりなのでふぅ。とストローから一旦口を離した。
庭を見廻すと、誰も使わない椅子がぽつり出番を待つようにただ並んでいた。
それから、俺がテーブルに疲れて寝転んでた時
誰か来る気配がした。だが、女神だろうと思って
あまり気にしないで寝転んだ。
「こんばんは。初めまして!」
聞き覚えの無い声がした。が、それは女神が遊んでいるな。とはすぐに分かった。夜はこれからのはずが、もう星空は瞬いている。そうか。見て欲しいんだね。
俺は夜空に出来るだけ目を広げて、眺めた。
「あ、ちょ!無視しないで!二人共冷たいな~」
女神はとりあえず椅子に座った。どうやら今日の姿は初めて会った時の姿の様だ。
あった時と言えばパン……痛っ!殴られた……
「残念ね。下にズボンを穿いてるのよ。」
と、スカートの裾を捲りながらビールの缶からストローを抜いた。そして一気に飲む!
「お前ら未成年いじめか!!!」
テーブルを思いっきり上に投げた。
しかし、女神がひょいっと手を翳す。すると、零れたビールは元に戻り、テーブルは何事も無かったかの様に地面に落下した。
「もう。勿体事しないでよ。まったく~」
と、言いながら更にビールを呑む。
「酒、平気なんか?」
と、聞いたら顔が赤くなった。
「ら、らいじょう……ぶ……」
女神は寝た。まさか俺もこれには予想外だった。一杯で潰れるなんて。
「……ねぇ、女神と何話すつもりだったの?」
「いや、話すつもりは無くてな……」
いつの間にか夜は更けていた。そして、俺達がここにいた。ただそれだけだった。
が、その時目の前にまた女性が現れた。女性は
「はぁ…見に来たと思ったらこのザマかい。」
と言った。
いきなりの女性に俺はぽかんと眺める事しか出来なかった。だっていきなりだもん……
「あっ!実験対象174376号!」
いきなり女性は俺を抱きしめた。
「やっと会えた~!確か"実験は中身が転生者に速度チートを与えた場合"だったね。で、どう?速度チートの感想は?」
「はなっ……離してください!とりあえずはなしてください~!」
とりあえず足を振ってみたが、意味を成さなかった。
「しょうがないな~ほら。」
女性は俺を放り投げた。一瞬空中をさまよったあとに
倭斎隗は俺をキャッチした。その掴み方は柔らかく、優しさを良く感じるのだった。
「あなたは鶯谷倭斎隗だったね。中学生の時、中学最強になった。」
「……なぜそれを?てか貴女は誰だ?」
ふっと笑った。そして
「女神の監視役って所かしら。じゃあね。鐘道くん。」
女性は女神を抱きかかえて消えた。
そうか……俺がなぜ倭斎隗のパンチを避けれるのかと思ったら、速度チートとか言うのが効いてたのか。
ならそれを言ってくれれば良かったのに……
「なんか眠いから寝る。お前も早く寝ろ。」
倭斎隗は目を擦って中に入っていった。
いつの間にかもう深夜。子供は寝る時間だ。
でも、俺はもう少し此処にいよう。
考えたいこともあるし。




