そして
気がついたら、またいつもの様にバックの中だった。
どうやら寝てしまってバックに無理やり詰め込まれたらしい。
しかし……ダメだな、この体は。ちょっと呑んだだけなのに頭が痛い。情けなや……
「倭斎隗様、五日間はどうでしたか?」
「楽しかったよ。モルディブよりずっといいや。」
倭斎隗と誰かの会話が聞こえる。ここはどこなんだ?
俺はバックの隙間から顔を出した。
見るとそこは車内だった。どうやら話していたのは運転手だったらしい。
「あ、鐘道。びっくりしたか?いきなり車内で。」
倭斎隗は小さな声で俺に話しかける
「うん。けど、分かってたかな?」
「そりゃ良かった。」
すると、突然運転手は車を止めた。
「おい、どうした。」
「す、すいません!道に人が倒れているようで。」
「人?」
運転手と倭斎隗は車を降りた。俺は声しか聞けない。
しかし、それは誰だか聞けばはっきり分かった。
「お前……なんで道に?」
「……兄と妹に殴られましてね、このざまですよ。」
そう。それは膳鵞尹 里寝安 《ヘンナオンナ》だった。どうやら色々あって道に倒れていたらしい。
「知り合いですか?」
「ああ。一応な。」
「どうします?」
「決まってんだろ。乗せてく。」
決まっていない。ふざけるな。あんな怪しい女乗せてどうするんだ。
「乗せてくれるのですか。人に頼るのは好きではありませんが、この際仕方ないですね。」
こうして膳鵞尹 里寝安 《せんがいんりねあ》とのドライブをする事になった。
たまにぬいぐるみの振りをしながら、膳鵞尹 里寝安 の方を見ているが、特に何も無いようだ。不思議だ。
いつもなら俺を奪おうとするのに。
と、同時に倭斎隗も喋らない。ただ、外を見ているだけだ。なんなんだろうこの2人……
そんな時、車内電話が鳴った。
「はい。もしもし。あ、矢藺菜か久しぶりだな。」
「久しぶりだな。じゃないでしょ!!」
車内に矢藺菜の声が響いた。その声に思わず耳を塞ぐ。はっきり言うまでもない。うるさい!
「お兄ちゃん、バスニャン持っていったでしょ!!!!殴ったりしてないよね??」
「してないよ……てかお前うるさいから切るわ。じゃ。」
「あ、ちょっ……」
電話は切れた。強制的に終わらせたのだ。
「いい妹さんじゃないですか。私にもそんな妹が欲しかったなぁ。」
「殴る様な妹よりはマシだ。つーかお前兄弟に何した。」
「なあんにもしていません。あ、ここで降ろしてください。」
彼女が降りたのは何にもない草原だった。やはり分からない。彼女が何者なのか。
ドライブは続く。あの街まで




