パーティだー!
パーティは少し変わっていた。それは各人が魚を持ち込むというルールだった。
勿論、魚を持ち込まなくても良いですよ。的な緩い面もありながら、手は絶対に洗わせる等の厳しい1面もあった。
「ぬいぐるみちゃんはどうしよっか~」
「あ、大丈夫ですよ。バックにぶち込んどきますから」
「ダメよ。かわいそうじゃない。」
「しかしですね……」
揉めているのは俺をどうするか。らしい。
逃げられないのだ。逃げる理由も無いが。
困った事に俺は倭斎隗では無くこの女性に持たれている。何か色々あって離さなくなってしまったんだ。
それってつまり俺を気に入ってしまったらしい。
「まずそのぬいぐるみを返してください!」
「いやよ!返したら、パーティ中止にするから!」
「そ、それは……」
話し合いは泥沼だ。底が見つからない。てかこれはハーレムって奴何だろうけど、嬉しく無いのはなぜだ?
やはりぬいぐるみだからかなぁ……
困っていたその時、一人の女性が現れた。
「そのぬいぐるみ。良ければ私が預かりましょう。」
その女性は若い女性の様な格好をしていた。チェックのシャツに白のロングスカート、化粧はしていない。
「良いんですか?」
「良いんですよ。私、あそこの椅子に座ってますから。」
「すいません……」
こうして俺は別の女性に預かって貰う事になった。
パーティは盛大だった。近所どころか観光客まで入り込み、もはや誰が誰だがも分からん状況になっていた。
そんな中、俺は端っこの椅子に女性と……
「何か変な事考えたら、ぶん殴るよ。」
ん?何かこの口調……何処かで
「忘れたの?私の事を」
その一言でこの女性が誰だかを思い出した。この女性は……
「女神様だよ。もう分かってるんでしょ。」
「そうだ。女神だ。ハッキリした。帰っていなかったのか……なぜかにっこりと笑っている」
「こら!心の声がばれるからって口で言わない!余計気になるから!」
パーティにはあの子達も来ている様だ。随分と仲良くなり、談笑したりもしている。
「……無視しないで。」
「はいはい。わかりました。で、何しに来たんですか
?」
「色々と話しをしようと思ってね。」
「色々?」
「そう。例えば……あなたの前世とかね。」
これには驚いた。前世なんて言葉が女神から出るとは思っていなかったからだ。う~ん、前世か……確かに気になってる。記憶を探ろうとすると、遡れないからな。でも……
「怖いでしょう?大丈夫。その話はしない。まず、質問を一つするね?」
ほっとして、尻尾が下がった。
「その体、不便?」
「不便ですよ。でも、慣れてきてはいるかな……」
「そう。良かった。」
「質問はそれだけですか?」
「うん。それだけ。それにしてもこの世界は良いわね~ずっと居たいぐらいだわ。」
「俺にとっては全然良くありませんよ。ぬいぐるみには不便な世界です。」
その時、女神はそっと俺の頭に手を当てた。撫でる訳では無く、ただ当てた。それは優しさを良く感じられた当て方だった。少し……照れてしまう。
「不便なら頑張れば良いだけだよ。君は出来る子なんだから。それで、学校はどう?」
「変な人達ばかりって前も話しませんでした?これからどうなるんでしょう。俺には全く分かりません。」
「強大な権力はいつか壊れる。そして、新しい何かが繰り返す。私はそう思うけど?」
「権力ですか……まさか、倭斎隗が!?」
俺は倭斎隗の方を見た。寿司を食べながら、誰かと話をしている。楽しそう。羨ましい程に。
「いや、倭斎隗くんはとってもいい子だから大丈夫。
でも、問題は維人くんだね。」
「維人?玲本 維人が何かするんですか?」
「それは言えないや。言ってもしょうがないし。」
「その言い方余計、気になります。」
急に静かになったな。と思ったら、女神は寝ていた。気楽なもんだ。しかし、寝顔がやけにかわいいのも問題なのだ。ああっ!俺がぬいぐるみじゃなければ理性が崩壊しているかもしれない。
「鐘道。ほら。」.
目の前に皿を持った、倭斎隗が居た。俺はその皿から赤い刺身を一枚取って食べる。
「バレないよね?」
「バレないだろう。あっちは食べるのに夢中だ。」
確かに人々は食べるのに夢中でこっちなんて気づいちゃいないようだ。しかし、壁に耳あり障子に目ありだからあまり油断はしないようにしないと。
俺がきょろきょろと周りを見回してたその時、倭斎隗 は寝ている女神にデコピンをしたのだった。
「この間のお返しですよ。俺、負けず嫌いなんですから。」
「痛い~気づいてたのね。仕方ない、今回だけは負けにしといてあげる。う~ん……いつ気づいてたのよ。」
「最初から気づいてました。あんな都合良く現れる女なんて一人しかいないから。」
「あちゃ~都合良すぎたか~。」
「それよりこれ終わったら家に来ませんか?ビールぐらいは用意しときますよ。」
「ビール!分かった!行くね!あ、ほらパーティ楽しもうよ!」
「そうでしたね。」
パーティは夕方まで続いた。




