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agapeはハムカツと唐揚げから

「お客さん、注文は?」


厨房からシワが多い男が聞いてきた。多分店主なのだろう。


「ご飯を一杯貰える?」


叶妬はそう言った。


「ごはん一杯ですね。少々お待ちを。で、そっちのお客さんは?」


今度はこっちに聞いてくる。


「ハムカツ定食を貰えます?ってなんですか?顔が近いですよ。」

「なあお客さん、金持ってんだろ?あっちの人に唐揚げ定食奢って貰えないか?」

「はぁ?なんでそんな事を。」

「しっ……!聞こえちゃうから。あの人すごいお金無いかわいそうな人なんだよ。とてもご飯一杯で足りそうにもないのにご飯一杯で済ませようとしてるんだ。

かわいそうだと思わないか?」

「も~仕方ないですね。奢りますよ。唐揚げ定食とハムカツ定食!」

「ありがとう。」


注文を終えると、両手で頬杖を付いた。その顔は高校生とは思えない顔だった。

バックから見てるのもめんどくさいので、少し顔を出した。

と、頭を掴まれた感触。慣れた事である。

倭斎隗は反対側の席に俺を置いたのだった。


「かわいいぬいぐるみですね。どこで買われたのですか?」


退屈らしく、気さくでありながら純粋な聞き方を叶妬はするのだった。


「これ、妹が特注で作らせたんですよ。だからどこにも売ってないのです。自慢みたいですいません。」

「妹さんからのプレゼントなんですね。羨ましいですね。私の弟は目も合わせてくれませんで。」


ははは……と軽く笑う彼と対象的に僕らは言葉が出なかった。目が笑って無かったからだ。

そんな事をしているうちに注文した品が出来た。


「はい。唐揚げ定食にハムカツ定食。羨ましいね。若いって~。朝から揚げ物食べちゃうなんて!」


不思議な顔をしながら唐揚げ定食を叶妬は受け取った。

「いただきます。」と手を合わせた。そして、こちらに「ありがとう」と言った感じの笑顔を送る。

その笑顔は明らかに大人だった。俺達二人よりずっと

そして、無言で俯きながらハムカツを齧った。

俺も腹が減ったので、ハムカツをこっそり齧った。

久しぶりに摂る油はすごく不健康で美味しいのだった


「ふぅ……じゃあ俺は行きますね。」


倭斎隗は箸を置いて立ち上がる。


「待ってください。これをどうぞ。」


叶妬はバックから何か取り出した。それはバラのブローチであった。青い薔薇だ。花言葉は夢 かなう。


「大切な人にでも渡してください。それじゃあ、唐揚げ有難うございました。」


倭斎隗はブローチを受け取ると、さっさと会計を済ませ、店を後にした。


道で誰に渡すかをずっと考えていた。大切な人にでもと言われても……

が、急に何か思い出した様で別荘に走った。

ちょっとー!急に走らないでー!バックに当たるー!

家に着いた倭斎隗は冷蔵庫から弁当箱を取り出した

。そして、一気に中身を食べた。

ああ!後で俺が食べようと思ったのに!なんて事をしているんだ!と俺は思った。

倭斎隗は弁当箱の蓋を閉めて、また走った。走った!

ここで大体誰か分かった気がする。黒犬だ。


街中を走り回って辿り着いたのはあの別荘だった。

別荘の前には黒い車が止まっている。

すぐに駆け寄った。


「おい!黒犬!」倭斎隗は叫んだ。


「何よ。そんなに疲れて。」


黒犬は懐疑的にこっちを見た。


「弁当箱……返そうと。あと、これ。」


倭斎隗は弁当箱の上にブローチを置いて渡した。


「……かわいいブローチだけど、私はそのぬいぐるみじゃなきゃ満足しないんだからね。」


黒犬は車に乗った。と、そこに走ってきたのは黄犬こと黒瀬夜衣虎だった。


「遅れるー!あれ?鶯谷だー!何でこんな所に?もしかして私に会いに来てくれたとか?」


自分中心論を展開する。頭にきたのか倭斎隗は一歩前に出たのだったが……


「好き……」と呟いた黄犬に突然、倭斎隗 は唇を奪われた。


「じゃあね!最後にぬいぐるみちゃんにも」

バックの隙間から顔を出した俺の額に唇を当てた。

それは柔らかく、温かさがある不思議な感触だった。


「ちょっとー!遅れるよー!」と急かされたのか急いで車に乗り込んだ。あっとゆう間に車は走り出し、

何処かへ去っていく。


「もしかして一番ビッチなのはアイツなのでは?」

「……中学生だぞ。」

「温かかったな。キスってやつは。」

「確かに。」


ウブな俺達は頬を暫く赤らめてこんな会話をした。


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