残念な美男子
昨日から一夜明け、俺はバックの中で目覚めた。
気持ちいい朝だ。久しぶりにこんな朝かもしれない
そういえば風呂に入ってないな。と言うか風呂には入れないから誰かに洗ってもらうしかないのか。
チャックを開け、外に出た。
「あ、おはよ。鐘道、バックの中で寝たんだね。」
……なんか爽やかになってないか!?おかしい。明らかにおかしい。
「どうしたのよ。その口調は!」
するとこう答えるんだ。
「いやね。あんまりにも清々しい朝だから気分が良くなっちゃってさ。」
この世で最も爽やかさからかけ離れた人物が爽やかになると気持ち悪いのはなぜだ!?分からん。
「あ~そういえば風呂入って無いな。朝シャンでも浴びるか。」そして、服を脱ぎ始めた。
「君には恥じらいとか無いのかね。」
「ぬいぐるみの前で恥じらいを気にする大馬鹿者が何処にいるんだよ。」
納得した様な納得しない様な気分。仕方ないので後ろでも向いてるか。と振り向こうとした時、気づいた。
「背中、傷だらけなんだ。」
「ああ。昔は喧嘩ばっかしてたからなぁ。」
ズボンを脱ぎだしたので、俺は後ろを向いた。
今日も空は青空だな。青空ばかり続くと何か影響が出そうなんだが。
空には鳥が飛んでいる。雲はゆっくりと変化して生き、子供なら形に名付けるんだろうな。と思う。そういえば、女神は普段何をしているんだろう。まさか、ただ下界をぶらぶらしている訳じゃ無かろうし。
「普段は幸せを与えたり、罰を当てたりしてるよ!」
急にだった。女神が現れたのは。姿は20代ぐらいの女性社員の様だ。服は縞のスカートにワイシャツ。やはり女神らし……いや、辞めとく。
「珍しい。初めて会った時にパンツ見られたから、スカートは履かないのかと思いましたよ。」
とりあえず体育座りてテーブルに居る俺に女神は嬉しそうに笑った。
「ほら、下は水着なんだよ!そう簡単に見せるわけ無いのよ!」
そう言って、スカートをチラリと捲って見せた。確かに水着だ。色気の無い黒色。
「そんな事よりですね。この姿どうにか成りませんかね。人間に戻りたいんですけど。」
「無理!それは神様でも無理なんだ。」
また一つため息をついた。
「じゃ!またね〜!」
女神は消えた。暇か。俺がまた空を見ようとすると、風呂から倭斎隗が出てきた。
「あ~久しぶりのシャワーは良いな~。生き返るぜ。」
タオルで髪を拭いた。
「で、この後どうする?」
「飯でも食いに行くか。」
外からは湿気が入ってきていた。もう梅雨に入るらしい。
そして、辿り着いたのは一軒の定食屋だった。
店名には"定食 あかり"とだけ書いてある。
「すいません~。やってますか?」
「あいよ~!」
こんな会話が聞こえた。そういえば若者って「ッス」と使うのにこの人使わないな。存在しないんかな?
中に入ると先客が居た。その隣に座るとニッコリと微笑まれた。
その微笑みは誰かにそっくりだった。確か……
「玲本維人。」
そうだ。玲本維人にそっくりだ。ドッペルゲンガーとか言う奴かな?
「あなた玲本維人と言う人物を知りませんか?」
先客は丁寧に答える。
「知ってますよ。だって兄ですもの。」
その瞬間、倭斎隗は椅子から思いっきり転げ落ちる!
「だ、大丈夫ですか!?」
「らいじょうぶでしゅ……じゃ無かった!だ、大丈夫です!」
何とか立ち上がったのち、俺をバックから引っ張り出した。
そして、置かれたのは反対側だ。
「いやぁ……似てるな。と思ったら兄でしたか。失礼しました。」
「いえいえ。てかその顔は鶯谷倭斎隗さんですか!?」
「はい。何で知ってるんですか?」
その男は天井を見る様に顔を上げた。
「たまに話をするんです。学園には悪魔が居るとね。で、その顔はとても恐ろしい顔をしているらしく
、名前は鶯谷倭斎隗だと。」
「悪魔って……虚偽ですよ。それは。」
「私も今、そう思ってます。あなたはとても丁寧な言葉遣いをしますね。
そんな会話をしている内に外では子供達が遊び始めていた。




