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Sicut et ego ad te inclinabuntur,


起きたら、目の前にベーコンと玉子が置いてあったんだ。多分女神が置いていったのだろう。

(じゃあ料理置いてけばいいじゃん……)

だから、それを焼いて朝ごはんにしようと思う。 俺がやるのではないが。

そんな理由で倭斎隗を探したら、庭で寝てた。周りにタライやらバケツやらが落ちている。女神よ……やっぱあんたアホだわ。

そこで何か落ちてくるかと思ったのだが、何にも落ちてこなかった。身構えた俺が馬鹿みたいじゃないか!

……ま、それは置いとくとして。とりあえず倭斎隗を起こさなければ。

揺すってみるか。俺は腕をゆさゆさと揺すってみた。

「朝だよ〜!お~い。」呼びかけもしてみる

。すると、倭斎隗の手が俺に振り下ろされた。だが、不思議とゆっくりに見えてしまうので簡単に避けられた。

そして、拳は地面にめり込んでしまった。

「ん……朝か。」

目が半分程開いた。

「あれ?なんで俺の右手埋まってんだ?」

「寝ぼけて振り下ろしたんだよ。危険すぎるぞ。全く」

「そうか。ずっと女神の攻撃を受けてたらから反応しちまったんか。悪かったな。」

めり込んでいた右手を引き抜いた。

「そいや、地面に寝たのは中三以来だな。あん時は喧嘩のし過ぎだけど。」

「いや、それも気になるけど今は朝ごはんの支度だよ!ほら、ベーコンと目玉焼き作るよ!」

俺は倭斎隗の腕をぐいと引いた。ところが俺の事をひょいと持ち上げて脇に挟んだ。

「おっさんが不等号みたいな目しながら手を引っばるんじゃないよ。たく。」

結局、俺はシンクの端っこに置かれてしまった。割とコンロまでは遠いので少し歩く。

「え〜と。とりあえずフライパンに卵を落とせばいいんだろ?」

一つ卵を取り、片手で割る。が、物の見事に黄身と白身が潰れてしまった。

「え〜柔らかすぎじゃね。卵って……」

違う!お前が力を入れすぎてるんだ!決して卵が悪い訳ではない!!とツッコミの代わりにシンクを叩くと、少し凹んだのだった。

「やっぱスクランブルエッグにしようか……」

と、塩を崩れた卵に振りかけた。

「いや、それも無理か……とりあえず焼こう。」

卵はだいたい固まっていたので、ベーコンを焼く事にした。ベーコンは綺麗なピンク色をしており、白い部分が不健康かつ美味に光っていた。フライパンにベーコンを落とすと、みるみる内に縮まっていく。

「なんだ。簡単じゃないか。」

そう言って腰に手を当てて、余裕ぶってる内にベーコンは黒くなり始めた。

俺は慌てて、「火を止めて!」と命した。

なんとか全部が焦げるのは防げたが、半分が黒くなってしまった。

「焼くのって難しい……」と倭斎隗は焦げた、ベーコンを見て言った。その姿を見て、思ったのだ。子供とゆうのはこうして覚えてゆくのか。とね。


「美味い!苦いけど!」ぐちゃぐちゃの卵とベーコンをご飯と一緒に食べて嬉しそうに言う。

「もう一杯食べられそうだな!食べよう!」

炊飯器に向かって行った。

俺は苦いベーコンを食べて、またいつも通りに窓を見た。晴天だ。


それからご飯を食べ終わり、俺達は夏だからと単純な考えで出掛ける事にした。

行先など決まっていない。だって夏だからね。(連休特有の意味不明理論)

しかし、やる事がないからと言ってある方の様に踊り出すとかゴルフクラブを折るとかはやってはいけない。それが一線なのだ。

「天気が良すぎる。夕立になるかもな。」

不安そうな表情で空を見上げた。俺はそれに対して

「暑くて誰かが倒れるよりはずっといいや。」

と返した。熱中症は怖い。ぬいぐるみだとしても。

「そういや、お前肩に乗るの慣れたな。」

ん?と俺は足を下に伸ばした。

「そりゃまあね。いつまでも慣れない訳にはいかないからね。」

倭斎隗は頭をわしゃわしゃした。不覚にもそれは嬉しくなっとしまった、わしゃわしゃだった。

それから暫く進むと、複数人が何かしてるのが見えた。驚く事にその一人は浜辺で会ったあの子だった

「ちょっとバック置くからその中で待ってろよ。」

俺は急いでバックの中に隠れた。

倭斎隗は少年の元へと歩み寄っていく。

たった今状況が理解出来たが、多分あの子は周りの人間にいじめられてるのだ。いじめの理由は良くわかんが……

「おい!お前ら何してんだ!」

少年達はすぐに逃げようとしたのだが、

「逃がすか!」二人の服を掴んでひょいと持ち上げた。

「いいか?これからすっごいいい所に連れてってやるからな……」

倭斎隗は人差し指をくいっと引いた。どうやら着いてこいのサインらしい。

あの少年は流していた涙を右手でこすり着いてきた。

バックが持ち上げられたので、奥に隠れた。周りの匂いは浜風だ。空からは鳥の鳴き声がした。


揺れているバックがピタリと止まったのが分かったので、そっと顔を出してみた。

そこから見えたのは黄金色の向日葵畑である。

少年の一人が「凄い……」と発した。

他の二人は声も出ないらしく、目をまん丸にして広大な畑を眺めていた。

「な。虐めてるよりずっと良いだろ。」

向日葵畑に風が吹いた。揺れる黄金は金貨の如く輝いていた。

「同じもん綺麗だって思えるんだから、お前らだいたい同じ様なもんだよ。だから、誰が違うとか気にするのはやめろ。」

顔に似合わずなかなか良い事をいうな。関心した。

「なんかごめんね……」

「俺も…ごめん。」

少年は涙を目に貯めて謝った。

「大丈夫だよ。でも、許してあげる代わりに一つお願いがあるんだ。」

「何?」

ニッコリと笑って

「友達になろうよ!名前教えて!」と言い表した。

二人の少年は「なんだ……」と笑った。

「いいよ!名前はね、雀隆典すずめたかのりってゆうんだよ!」

「う〜んと……俺はね来森榑井らいかくれいだよ!」

「よろしくね。隆典くんに榑井くん!」

三人は手を重ねた。空はいつの間にか曇っていて、夕立が振りそうだな。と思ったら降ってきた。

普通の人なら、雨宿りするだろう雨を僕ら四人は笑顔で受け止めていた。その雨は優しく、恵そのものだった。

暫くして雨は止み、びしょびしょになった体を見て少年三人は笑った。

その様子を見ている倭斎隗は何故か泣いていたのだった。



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