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少年と汚れた人



目はぱちりとして、ぬいぐるみみたいな振りをしている。人々は楽しそうに泳いだり、砂に埋もれたり、ボールを叩いたりしていた。

しかし、なぜかこの親子は人々のやってる事をやろうとはしなかった。なぜかは分からない。海が嫌いなのだろうか?聞こうにも聞けないのに、聞きたかった。

その時、母親らしき人物が「じゃあ泳いでくるかな。」と立ち上がる。

なんだ泳ぐのか。とちょっぴり安心した。

「ぬいぐるみ見ててね。まこくん。」実に母親らしき優しい声で少年に言った。

「うん!」少年は明るい声で返事をする。俺はその声を聞いて、いつまで純粋でいられるのかなぁ。等と悪い事を考えたりした。


未来を見つめる様な目で少年は椅子から海を見ていた。そんなにも綺麗な目で、この浜辺を見れるなんて「少年」だな。と思う。少し心が汚れていると、この人混みも海も何かあるのでは無いか?と思ってしまうかもしれない。それに比べたらなんと「少年」なのだろう。にんまりと見えないように笑った。

暫くすると、少年は俺をひょいと、自分の椅子に持っていった。

ここから見える景色は不思議と少年に近い気がする。

「かわいいなぁ。でも、人の物は盗んじゃだめだってママが言ってたからな……」

少年は俺をなでなでしながら、ひどく悲しそうな表情をした。出来るなら、俺は少年の物になってもいいかもな。と馬鹿みたいな考えも生まれたりした。

しかし、少年の前に高校生らしき女性が来た。その中の一人は見覚えが確かにあった。

白犬と名乗っていた気がするが、よく覚えてはいない。間違いなく「野犬団」である事は分かったのだが、どうも二人が分からない。

と、右に居た女は少年に言った「ねぇ、そのぬいぐるみちょっと貸してくれる?」

その願いに少年は首を振った。

更に左の女は言う「あれぇ?教えて貰えなかったの?歳上には逆らっちゃだめって。」

依然として少年は俺を離そうとしない。それどころか力が強くなってく。

と、その時だった。真ん中の女が強引に少年から俺を奪おうとした。どうやら、強硬手段に出たようだ。痛い!引っ張られるので、痛い!しかも、少年も引っ張るので更に痛い!

もうダメだ……と思ったその時、

「あ!ちょっと!何してんのよ!」母親らしき人物が戻ってきたのだった。

女達は光の如く何処かへ逃げていった。

「ねぇ、何かいじわるされたの?」少年は肩を掴まれて「うん。でも、悪い子たちからまもれたんだよ。」と言った。

安堵したのか溜息を付いた。母親だな。と勝手に思った。心配だったのだろう。相手がいくら高校生だからといってね。

するとそこに倭斎隗の声がした。

「有難うございました。あの、焼きそば買ってきたんで食べませんか?」

母親は「もちろんですとも」と言う。

海を見たら、波はやはり荒かった。だが、サーファーは次々と荒い波に挑んでゆく。俺はそれを「人生」と形容した。


「歳は幾つなんです?」倭斎隗に母親は聞いた。

焼きそばが口にまだ付いてたが、「高校一年なので、

十五ですね。」と反応した。

「まあ、高校生なんですか!で、なぜ此処に?」

「母親に騙されました。曰く四日間一人で過ごせと。」

「それは大変でしたね。」

「いえ、金だけは有りますから。」

楽しそうに談笑する二人を余所に少年は焼きそばを食べていた。一心不乱にだ。その姿を見て、そうか。こうだから子供は純粋なのか。と思ったりした。

その後、暫く話して俺達はその場を後にした。



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