表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/46

米の炊き方を覚えよう。その一

「とりあえず米と塩と醤油買ってきて。」呆れながら俺は言った。

なんだか良くわかってないようだが、「米と塩と醤油だな!分かった!」

と別荘を飛び出していった。

しかし、ぬいぐるみが料理なんて考えた事も無い。幸い何故か炊飯器やオーブンに電子レンジはあるし、フードプロセッサーまである。きっと、昔来た時に、使ったのだろう。

俺はキッチンの水道に何とか登った。

間近で見ると、広い。人間である時は気にしないがとてもぬいぐるみになると、広く感じる。何しろこの大きさだからな。

これじゃ俺は動けない。仕方ない。倭斎隗に教えるか。はぁ……


暫くして倭斎隗が帰ってきた。片手に米の袋、もう一方の手に袋を持っている。

俺はその袋から塩を取り出そうとしてみた。しかし、袋の口は狭く、取り出せない。

「ほら、無理すんなよ。20cmぐらいしか無いんだからさ。」

そうなのだ。俺の大きさは20cmぐらいしかなく、出来ない事も多い。今更、それに気づいた。

「で、塩をどうするんだよ。」

倭斎隗は塩の袋を不思議そうに見ている。

「その塩はとりあえず置いといていい。まず、米を炊く。」

俺はそう言った。袋から抜け出せたのでまだ床だった。

「炊く?炊くって何?」

倭斎隗は俺をテーブルに掴んで置く。ちょっとだけ掴む力が弱くなった気がする。

「とにかく!とりあえずやるぞ!ほら!」

と、炊飯器を指さした。

「蓋を開けて、釜を取り出す!早く!」

言われた通り、料理初心者は釜を取り出した。

「その釜にさっきの米を半分ぐらい入れて!」

言われた通りに米の袋を開けて、中の米を釜の中に入れた。真っ白な米粒が黒い釜に入ってくる。早く炊きたい。そう思った。

しかし、俺は気づいたのだ。

「って!その米、10kgじゃないか!そんなにどうするんだよ。」

米の袋にはしっかりと"10"の数字が書いてあった。紛うことなき10kgである。

「持ち帰ればいいんじゃないか?うち使用人多いしさ。」

「そうしたら、逆に10kgでは足りん。30kgは無いと。」

「ふ〜ん。難しいんだねぇ。」

釜をまだ持ってる。次の作業が分かんないとは……

つくづく呆れる。

「そしたら、その釜に水を入れて。」

すぐに水を入れた。

「そしたら、その水で米を洗うよ。濁るまでね。」

でも、倭斎隗 は洗うと言ってもピンと来ないらしい。水が入った釜の前で困った顔している。

「ちょっと。持ち上げてくれる?」俺は言った。

ひょいと持ち上げてくれると、台所って高さがあるなと知ることが出来る。ぬいぐるみに不親切な設計なのだ。

「よっと。さて、洗い方なんだけどね。」俺は釜を指さした。

「洗うとゆうか一般的には研ぐって言うんだ。だからこうして切るように掻き回すんだ。」

手をぐるりと回してみた。説明がしにくい……

「なるほど。」と倭斎隗 は米を研ぎ始めた。うんうん。初心者にしてはなかなかじゃない。

「研ぎ終わったら、その水を捨てるんだ。もちろん、米は捨てちゃだめだよ。手を当てて、流れないようにするんだからね。」

偉そうに言ってみる。基本で威張れるなんて幸せなんだろうか。なんだか心がほわんとした。

倭斎隗 は米を長さない様になんとか頑張っている。懐かしいなぁ……俺が初めて一人暮らしした時。

ん……一人暮らし?あれ?なぜか思い出せない。そもそも一人暮らしなんてしてたっけかな?

「で、流し終わったらどうすんだ?」

あっ!つい変な事をしてしまったようだ。

「また水を入れて、四回ぐらい繰り返すんだ。面倒だけどね。」

めんどくせ〜みたいな顔しながら、米が半分ぐらい入った釜にまた水を入れた。意外と真面目である。

「五回目の水は捨てないんだよ。米よりちょっと多いぐらいに水入れてね。あと、俺を窓に置いてくれない?」

今、してる作業をピタリと止めて倭斎隗は俺を窓に置いた。

窓からはもう、星空が見える。生きててよかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ