はあれむ。
ホラー注意
高端和至 ……いったいアイツは何者なんだろう。
なんかやることがセコイような。しかも、「勇者」とか呼ばれてるって。
「勇者」……笑った。勇者つーのは魔王が食べる物に毒なんて入れやしないよな。
んっ…?まてよRPGなんかだと毒の攻撃とか普通に浴びせるよな。
じゃあ、あの腐ったサンドイッチも戦略の一つだから卑怯では無いって?
勇者なら正々堂々戦えよ。と思う。
てか、勇者は毒攻撃を基本しないから誰か別の人物が策略した可能性がある!?
……先は長そうだ。
夕日が沈みかけている。街に影を齎しってるとゆうか夜が来るのを教えているって感じだな。実にロマンチックだ。けれども、その下で醜い争いごとが起きてると考えたら、萎えてしまうのだ。いくら夕日が綺麗でも。
「ねぇ、どこへ行くの。」俺は聞いた。
倭斎隗はスタスタとロマンチックの下をひどくつまらなそうに歩いている。
「ラーメンでも食べようかと思って。」
この姿でなければ首肯だった。されど、この姿だとラーメンも食べられないのか。ガックリして、頭を下げた。
頭がよいと頭を下げるらしいけど、ぬいぐるみに頭の良さとかあるんですか。
「そんなガックリするなって。若しかしたら、大丈夫かもしれない店が有るんだよ。」
励ましてるつもりらしい。バックからちょっとだけ出てる俺の頭をぽんっと軽く叩いた。
そんな店ある訳ないだろ……と否定的に落ち込んでいた。
「よう、酒屋のおっちゃん。息子は元気か?」
誰かに話しかけた様だ。
「おっ!倭斎隗か。相変わらずかっこつけた服着てんな!そんなことしても顔の怖さは変わらんぞ〜。」
「だから〜これは制服なんだって〜。顔が怖いのは関係ないだろよ〜。」
随分と楽しそうに話してやがる。混じりたい……
「じゃ、仕事頑張ってな〜。」
楽しそうな話が終わったようだ。また歩き始めて暫くたった時、一件のラーメン屋が見えた。それは、見る人によっては懐かしいとも思えるし、ボロいと言っても、分からなくは無い見た目をしていた。青い屋根に、硝子戸はひびがはいっている。店名には「たかのり」とだけ書いてあった。
倭斎隗がその「たかのり」と白い文字で書いてある戸を開けた。その時、中から「いらっしゃいませ。」
と元気な声が響いた。あれが店主なんだな。と認識した。
店内に客はいないみたいだ。幸運と云うべきだろうか。
だが、いきなり倭斎隗は店主にこう言った。
「所でマスターはぬいぐるみが喋るっつたら、信じるか?」
ええー!!な、何言っちゃてんのー!馬鹿!阿呆ー!この頭筋肉ー!!と思った。
「君は嘘を付くのが下手だ。だから、それも嘘じゃないんだろう。やれやれ。で、注文は?」
「あ、ラーメンの小さいの一つとチャーシュメンのメンマと葱増したのを一つ、あと餃子一皿。」
「はいはい。半ラーメンとチャーシュメン葱とメンマ増しね。あと餃子っと。」
店主は振り向いて、ラーメンを作り始めた。俺はまだどきどきしていた。
「ちょっとちょっと!何言ってんの!バレちゃうよ!」
「大丈夫だって。ここの店主口固いから。」
「そうゆう問題じゃなくて!噂が広まったら、大変な事に……」
こんな話しをしてる内に、ラーメンが置かれた。これを"着丼"と呼ぶらしいが、まあどうでもよい。
「!!」
店主が驚いている。そりゃ動くぬいぐるみを見たら…
はぁ、仕方が無い。俺は観念した。
「ぬいぐるみがっ!ぬいぐるみが動いている!?」
驚く店主に倭斎隗は説明した。
「な、分かったろ。こういう事なんだ。ある日、突然喋って、動いたんだ。名前は鐘道弓雄 《かねみち
ゆみお》ってらしいんだ。ほら、自己紹介しろ。」
こうなったらやるしかない。思い切って
「僕は鐘道弓雄にゃん!よろしくだにゃん♪」
と自己紹介した。恥ずかしくて、気持ち悪い……
「ま、驚いたってしょうがねーか。とりあえずよろしくお願いします 。鐘道 弓雄 さん。」
いつの間にかチャーシュメンと餃子がテーブルに並んでいた。プロだな。と感心する。
「よ、よろしくお願いします!だにゃん。」
にゃん口調はやっぱり恥ずかしい……
ラーメンでも食べて、気を取り直そう!
チャーシュメンの半分ぐらいの器に入った。ラーメンを食べた。うまい!涙の味がする!
結局、餃子まで食べてしまった。
──「ありがとうございましたー!」
店主の声がする。それに「また来る。」と倭斎は言った。
なんか納得したのかよく分からかったが、まあ影響はないだろう。
それからしばらく歩き、家の門についたのだが、そこに四人の女性が待っていた。あらら、まさか告白か?笑いながら、バックの中にそっと隠れた。
「鶯谷倭斎隗ね。ちょっと話聞いてくれるかしら。」
一人の声だった。話ってあれだな。
「何だよ。告白ならお断りだぜ。」と倭斎隗は期待を込めて言った。だが、
「だーれがあんたみたいな野蛮人に告白するのよ!
ま、好きって報告には変わりないけどね。」
「みんな同じ目的なんだよ。」
「そうよ。私達のお願いは一つ!」
声を揃えて言った。
「あなたの持っているネコのぬいぐるみが好きです!譲ってください!!」
バックの中で転がり落ちた。しかし、声は出さない。驚きであたまから煙が出そうだったが、声だけは抑えた。
「一目惚れしたの!」「探したけど、どうしても見つからなくて……」 「大事にするから!」 「あ…あの……」
四人はわーわーと騒ぎ出した。うるさい!とにかくうるさい!!五月の蝿みたいだ!
しかし、騒いでた四人は急に黙ったのである。
「あんた達、それでも私より年上なの?」
目の前に現れたのは矢藺菜だった。
「言っとくけど、そのぬいぐるみは何処を探してもありませんよ。なぜなら、私が特注で頼んだんですもの。お兄ちゃんのためにね。」
そうだったのか……初めて知ったなぁ。と思ってるのも束の間だった。急にチャックが開けられて、矢藺菜の中学生とは思えない手で俺は体を掴まれた。
「このぬいぐるみはねお兄ちゃんの物でも私の物でもあるの。だからね、貴女達の様な人に渡す訳にはいかないのですよ。ね、お兄ちゃん。」
急に話を振られて困惑したのか、
「お、おう……」と倭斎隗 は情けない返事をした。
俺は肩に乗りなれてないので、落ちないようになんとか頑張っていた。だが、矢藺菜が片手で支えてくれたのでいくらか楽だった。
「お帰りなさいよ。さあ早くね。」
強気な態度で四人の女を睨んだ。その態度に恐れをなしたのか、四人は帰っていった。
「まったく……これだから平民は。」矢藺菜は俺を渡した。
「怖かったね。バスニャン」と甘え声で俺に言った。別に怖くは無かったのだが……
「お兄ちゃんももっとぬいぐるみを……」
突然、矢藺菜が黙る。
「私、先にお家に入ってるね。それじゃ。」
逃げるように矢藺菜は帰った。なんだろうと思ったが、その理由はすぐに分かった。
「せ、膳鵞尹里寝安 !何故お前がここに?!」
膳鵞尹 里寝安 は電柱の影に隠れて見ている。
「まさか?あいつまで鐘道を!?」
その目つきは恐ろしかった。そして、急いで家に駆け込む。
ヤバイ……さっきの女達が霞んで見えなくなる程の恐ろしさだ。
それに、ちらっと見たのだが、口の動きはこうだった。
「あなたが好き。」
かなりホラーになってしまいました。すいません。次は多分明るいお話になるかと……




