勇者だもん!
いつも通り目覚め、いつも通り学校に行く。もう、慣れた行動だ。
異世界の生活も随分と慣れて、バックの中で揺れるのも慣れたな。と油断してると頭をぶつけた。
マンガみたいにたんこぶなんてでやしないけど、痛いっちゃ痛い。
頭もモフモフな筈なのに何故なんだ。ま、それはいいとしてね。
昨日のあれには驚いたな。膳鵞尹 里寝安 があんな人物だったなんて。
ま、人には意外な一面があるからな。漱石しかり、毛沢東しかり、倭斎隗 しかり。
倭斎隗 は血を舐めた光景を見てもびくともしなかった。慣れているのか?高校生で?改めて恐ろしき男なり……
────ん〜。むにゃむにゃ。
はっ!寝ていた…… ダメだな。暇すぎるなんて。
「昼だぞ。起きろ!鐘道!」バックを突然揺らされた。
「言われなくても起きてるよ!」
「嘘つけ!目擦ってるし!さっき起きたんだろ!」
倭斎隗なのに図星だ!まさか別人なのか!?
「ほら、昼食いにいくぞ。」ん。やっぱり同じ人だ。
やれやれと呆れていたそこに人の気配がした。そっーとそっと隠れる。
「ちょっと良いかな?一緒にお昼でも。」
訳あって姿は見れないが、声で男だと思った。
「なんだよ。俺、お昼持ってないぞ。」
しかし、男らしき声は言う。
「大丈夫。君の分も作ってきたんだ。サンドイッチ。」
明らかに怪しい。と思った。だが、単純な倭斎隗 はほいほいとついてしまったのだった。
「ここだよ。」と男は立ち止まった。
「おい、ここ屋上じゃねぇか!パスワードかかってるぞ!」
「いや……」二人がドアに夢中だった隙に顔を出した。背中しか見えない。背丈は170cmほど。筋肉はあまりないようだ。
「え〜と、"Those who turn evil into justice"と。」
ボタンを押した。ドアが開く。って!なんで
「なんでお前がパスワードを知ってるんだよ!!」
あ、聞きたい事は勝手に聞いてくれた。
「ちょっとね。あ、それより早く食べよう。」
ちょっとがちょっとじゃないんだが。
結局、端っこのベンチに座った。
───旨いな!このサンドイッチ!
卵とハムのサンドイッチを齧り、ご機嫌である。
なら、食べさせてくれたって……
「あっ!扉から誰か入ろうとしてる!!」
扉に向かって倭斎隗は指差した。
「あれ?誰だろう。」男は扉を確認しにいく。
その間にコソッとサンドイッチをバックに入れた。
「ほら、今の内に。」小声でそう倭斎隗は言った。
顔に似合わず優しいなぁ。俺はちょっとだけ感謝した。
「誰も居なかったよ。さて、サンドイッチを……あれ?」
カラになった容器を見て、呆れたようだ。食べるのに夢中で気づかなったけど。
「最後の一つ、君にあげるよ。」と言ったらしい。
うまいサンドイッチに俺もご機嫌だった。
「おう。あ、あ〜れ?落としちゃったよ〜。悪いねぇ!」
わざとだ。言い方で分かった。
「そりゃ、残念。また作るよ。」
だが、 聞こえないようにした舌打ちを聞き逃さなかった。
「じゃあ僕は行くよ。最後に名前を言っておこうか。」
「鶯谷 倭斎隗だ。よろしく。」
「そうか。僕はね、高端和至って名前なんだよ。こちらこそよろしくね。」
二人はその場を去った。扉が閉まる前にみた屋上はなんだか寂しけで、青春を求めていた。
「じゃ。」高端 和至 は先に進んでいった。
姿が見えなくなった所で気になってた事を言う。
「なんでサンドイッチを落としたんだよ。」
それに理由を添えて
「腐ってたんだよ。あの一つだけな。まともじゃないぞ。高端 和至…… 」
なんて事だ!舌打ちは怪しいと思ったが、そんなセコイ男だったとは。幻滅したぞ。高端 和至 !!
はぁぁ……と呆れていた俺達に、モブキャラが来た。
「おい!魔王!」モブキャラはそう呼んだ。
「ああっ!?ぶち殺すぞ!ゴラァ!!」すぐさま拳を振り下ろしたが、モブは受け止めた。
「へーんだ!勇者である高端 和至くんがすぐにお前なんて倒しちゃうんだから〜!」
随分と嬉しそうな言い方だ。モブじゃないのか?
「和泉灑思は勇敢な覇者となるんだ!分かったか!」
ははははっとそのモブは消えた。覇者だの勇者だの意味が分からん。和泉灑思 ……奴は何者なんだ。




