第二の支配者
午後の授業を終えた俺達はさっさと帰ろと思って、準備をしていた。
「おい、校則違反!」
妙に高い声が聞こえた。
「何だよ。校則違反なんてしてないだろ!」
声の方向には美形の男が居た。
「その顔自体が校則違反なんだよ。このヤクザ男!!!」
随分とハッキリ言うもんだ。大体合ってる気もするけど。
「そーよ、そーよ!」
ん?声だ。後ろに何人か女が居た。
「早く帰りなさいよ!維人君が命令してるでしょ!」
ギャーギャーと喚くその女達はうるさい。さすがに嫌になったのか倭斎隗は離れようとした。だが、
「ちょっと待ちな。バックからぬいぐるみがはみ出てるぜ。」と玲本 維人は引き止めた。
直感的にバレそうだ。と思い、バックの中に隠れた。
「あ、今ぬいぐるみが隠れたぞ!ちょっとそのぬいぐるみ見せろ!」
「あ!何するんだ!」
バックが引っ張られた。そして、強引にチャックが開けられて、その美形顔を眺める事が出来た。眺めたくも無かったがな。
「ほら、ぬいぐるみだ。しかも、三毛猫か。」
ぐいと首のあたりを掴まれて、取り出された。
「中学最強と呼ばれたお前がぬいぐるみを持ち歩くとはな。今更そんな事でイメージ変わるとでも?」
なんとかぬいぐるみの振りをしているが、結構この男力が強くて痛い!早く離してほしい。
しかも、女達が眺めてくるので恥ずかしくてしょうがない。
「かわいいー♡」その声と共に男からは解放された
がしかし、
今度は女の方に囲まれてしまった。しかも、ベタベタと触ってくるのでくすぐったい。
「モフモフだー♡何このぬいぐるみー!欲しい〜!」
頬を擦り付けられたりするのも勘弁して欲しい。中身はおじさんなんだから。
と、急に頭を掴まれた感覚。そして、バックに入れられた。倭斎隗が取り上げたのか。助かった。
「いくらぬいぐるみが可愛くたって、お前の中学時代は変わらないならな!」
倭斎隗はそれをガン無視。そのまま歩いていった。
ぷはっ!あ〜苦しかった。何であんな目に……
気づいたら、学園の門にいた。
"ディアニシス学園"門にはそう彫ってある。厨二病か。そんな事を思った。
揺れていたバックがピタリと止まる。何かあったのだろうか。ちょっと見てみた。
「あっ!里寝安が!」
路地裏に里寝安と男が五人程いる。明らかにまずい。
「おい!倭斎…」と言ったら「分かってる!」と言い放ち路地裏に走った。そして、囲んでいた男達に校舎言った。
「おいおい?それでも脅しかよ?はぁぁ……これだから厨房は。」
そんな煽り文句で怒らない訳が無く、一斉に襲いかかる男は達!だが、
「脅しつーのはこーやんだよ!」と攻撃をかわし、頭を引いて頭突きをした。一人はそのまま気絶した。
それに慄く他、数人。そして、その場から逃走しようとしたのだが、
「待ってね……」と一人転んだ。足を掴んだのは里寝安だった。
男は頭から血を流す。そして、その血を里寝安は舐めた。信じられないが、確かに舐めたのである。
「んん……汚れた血。素晴らしいぃです…」
笑っていた。それは、学校で見る姿とは別人の様だった。
「な、なんだよ!この化け物!」舐められた男は側にあったパイプで殴り、逃走した。
「助けてくれて、有難うございます。それじゃ。」
何事も無かったの様に里寝安はその場を去った。
狂っている。だが、まだまともだ。と密かに思った。




