番外編 リリィの出会い
もう、うんざりだった。
「なんで、いっつもあの2人はああなんだろう・・・・」
はぁっと溜息をついて庭をぶらぶらしていた。
今日は、マナーの先生が来る予定だ。
毎日毎日歴史の勉強だ!淑女たるものダンスは必須だ!なんて次から次にやってくる先生達にうんざりしながらも、それとなくこなしていた。
やる事はやっていたはずだ。
それなのに、急にあんな事を云うものだから・・・・。
『あれ?いってなかったけ?お前にはもうすでに婚約者がいるぞ?』
聞いてない!!
しかも、いってなかったっけ?ってどういう事?
ひょうひょうとした彼の顔に腹が立ってので思わず彼の一番嫌がる言葉を吐いてしまった。
「・・・お父様なんて、きらい」
そのひと言に彼・・・お父様はあわてふためき私へのご機嫌取りを始めた。
そんな、父を無視していたら、お母様が呆れたように父の首根っこを掴みぽいっと執務室へ放り投げていた。
「・・・リリィ。あなたに教えるのはまだ早いから黙っていたのよ。お父様をあまりいじめないであげてね」
そう言って微笑む彼女の笑顔は私の大好きな笑顔だった。
「・・・大好きだけど・・・・・言う事を聞くかどうかは別の話よね!」
そう!
いつもいつもいい子でなんていられない。
お父様の言った事が本当なら私は既に婚約者がいる。
いつか、好きな人が出来てその方と結婚する事を夢見ていた私の夢を一瞬にして、しかも、軽い調子で砕いてくれた父。
「お父様なんて嫌いよ!!私にだって選ぶ権利があるはずだわ!!」
ぷりぷりと一人で怒りながら歩いていたら、どこからかそれを笑う声が聞こえた。
「ぶっ!・・・っく・・・ははは!」
その声に周りを見渡すが誰もいなかった。
「だっ、だれよ!!」
そう叫んでみても笑い声が聞こえるだけで、周りに誰もいなかった。
「・・・・お、おばけ「んなわけないだろう」
人の言葉にかぶせてきた声は姿とともに頭上から現われた。
「きゃぁぁぁぁあ!」
思わず頭を抱えてしゃがみ込むと再び笑い声が聞こえた。
「ははは!悪い!驚かせてしまったか?」
そう言ってそっと目を開けるとそこには私と同じくらいの男の子が立っていた。
「・・・・あ、あなた誰?」
そう聞いてハッとした。
ここは王宮の庭なのだ。ここにこんな子供がいていい筈がなかった。
「だ、だれ・・・ふごっ!」
叫ぼうと思うといきなり男に口をふさがれた。
「っちょ!さけぶなよ?俺だって今ここにいる事が見つかったらやばいんだから」
そう言ってふさがれた手は以外に大きく口だけでなく鼻にまでかぶさっている。
そんなもんで、息ができなくて苦しくなってきて思わずふさいでいる手を叩く。
「あ・・・。すまない。だけど、手を離しても叫ばないでくれよな?」
そういう男の言葉にとにかく頷いた。
それを確認した男はそっと手を離した。
私はその瞬間思いっきり息を吸い込んで再び叫ぼうとした。
「だっ・・・!!!」
・・・・・そして、再び口をふさがれた。
「だから!叫ぶなって!!俺は怪しいものじゃないから!!リリィ姫?」
男の手をはがそうともがいていた私は、彼の口から私の名前が飛び出し思わず固まった。
「ふふん。なんで知ってるのかって顔だな?そりゃ、知ってるさ。この国の可愛い可愛いあまったれの姫君だろ?」
男の言葉にカチンときて思いっきり脛を蹴ってやった。
「いってぇぇ!!」
思わぬ攻撃に男の手が緩みそのすきに男から距離を取った。
「あ、貴方誰なの!!どうして私の事知ってるのよ!」
私が逃げた事などこれっぽちも気にせずけり上げた脛をさすっていた。
「いってぇ・・・・。とんだじゃじゃ馬姫だな・・・。噂とは大違いだ」
呆れたように溜息をつきながら男は立ちあがった。
「・・・はぁ。まぁ・・・お前の事は昔から知ってるよ」
「私の事を昔から知ってるですって?」
私は目の前にいる男の事を睨んだ。
「あぁ。まぁ、知ってるって言っても直接会ったのはこれが初めてだけどな」
そういって男がニヤリと笑う。
「私は貴方なんか知らないわ!」
「そうだな。おこちゃま姫様にはなーんにも知らされてないもんな」
男の言葉にまたカチンときて声を上げる。
「何よ!貴方に何がわかるって言うの!?貴方だって子供じゃない!!」
「お前と一緒にするなよ。そうやってただ怒鳴っているだけなんて子供の証拠だろ?さっきもぷりぷりと怒りながら一人で歩くなんてまったくもっていい身分だよな?大事に大事に育てられた姫そのものだ」
そういって吐き捨てる男は冷たい視線で私を見ていた。
「な!なんなのよ!貴方には関係ないでしょ!!」
「あぁ・・・。まぁ、そうだったら良かったんだけどな」
そう言った男の瞳は先程までの冷たい目ではなく飄々とした、どこかの誰かを想わせるような瞳に変わっていた。
「まっ!そのうちまた会うだろうからとりあえず今は消えておくよ。次、会う時までにはもうちょっと成長しておけよ?」
そういうと男は私の額を弾いてどこかへ行ってしまった。
「何?なんなの?」
あの冷たい目をした男に一瞬背筋が凍る思いをした。
それでも、どこか温かい、何かを求めているようなそんな感じがした。
「・・・・次って・・・・・」
男の言葉に引っ掛かりながらも、首を横にふった。
「もうあんな失礼な男に2度と会いたくないわ!」
再びぷりぷりと怒りながら庭を歩く私を遠くから男が見ていたなんて気づかなかった。
「・・・・まだ、後少し・・・・・」
そう呟いて、王宮に戻っていく男。
のちに、男の言っていた通り再開するのはもう少し後の話。
ローズと殿下がまったくと言っていいほど出てません(笑)
2人の娘リリィが10歳になったとある一日を思いつきでかきました。
相変わらず拙い文章ですみません。
そのうち、リリィの続きをかければな・・・・(@_@;)