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「海が言いたい事は、この表(※第五章 13参照)を見ればよくわかる。問題解決の際にこれらを基本的に包括的かつバランスよく見る必要があるのも頷けるし。本当はひとつの共有する問題の側面でしかないものを、意図的に分割されて互いに疎外し、反目し合うように、不毛な無駄な争いに誘導されて、本来の問題解決への力を分散されたり削がれている事が本当に沢山あると思うから」


 私がそう言うと、聖一さんも頷いた。


「それこそが、僕らのかつての故郷である惑星を破壊した支配構造が使っていた手法だしね」


 私は彼に尋ねた。


「本来はバランスよく支え合う関係にあって切り離せないはずのものを分割して、矮小(わいしょう)化して、互いに疎外し合い、反目し合うようにさせる──これは逆に言えば、支配したい側からは必須項目になるのかな?」


「必須というより、一番手っ取り早いんじゃないのかな。その方が騙しやすいから」

「なるほど」


 ──確かに、包括的にひとつの事象の異なる側面を見て行けば、ある側面では通用する虚偽も他の側面では通用しない、という事が起こりうる。それらを意図的にばらばらにして、互いに反目し、疎外し合うように誘導しておけば、その分本来共有されるはずの情報も遮断されてしまうから、騙したい方からはとてもやりやすいだろう。


「一人一人の個人のバランスが達成されていけばいくほど、外界に投影される問題もバランスを取り戻していく(騙しよりも真実が選択される)から、先ず僕らは自分自身のバランス達成に真摯に努めていく事が大切だし、その為にもこの表は役に立つと思うよ」


「なるほど。自分自身のバランス達成に向けたアプローチの為の地図として使うわけね」

「そう」


 私と聖一さんがそう言っている間も海はその本の開いたページをじっと見ていた。


「気になるなら、本(これ)を借してもらったら?」

「ここに持って来た分を持って帰る?」

「うん、ありがとうございます」

 

 言って、海は「魂の航法診断にもこの表が使えないかなと思っていたんだ」そう言いながら指で描かれている表をなぞった。聖一さんが「そうだね」と頷き、海が彼を見て「一般的にそれは左上の項目に集中されるけれど、他の側面もきちんと見ていくことで、よりバランスの取れたアプローチが出来るようになるんじゃないかな」


「さっき聖一さんがしてくれた仏教でいう仏法僧の説明と同じ感じ?」


 ──仏教の三宝(仏・法・僧)で言うなら、


 【仏(ブッダ)(覚醒した心、スピリットの眼、全てを照らす内面の光)】(左上)、

 【法(ダルマ)(認識されたスピリチュアルな真実、真如(suchness)、如実性)】(右上+右下)、

 【僧(サンガ)(スピリットにおける私達、霊的修養の共同体)】(左下)


 これに相当する──


「そうだけれど、もっとそれを具体的に」そう言って、海は「この表にある様に、一つの側面(チャンネル)にも色々なアプローチ方法があって様々な取り組み方が出来ると同時に、異なる側面(チャンネル)にも同様のアプローチが可能だから」


「それぞれに合った方法を選択する事も可能だしね」


 聖一さんがそう言って、海が頷く。聖一さんは続けて言った。


「僕らは先ず自分自身のバランスの達成に真摯に努める必要があるけれど、それには段階もあって、当たり前だけれどその段階に相応しい達成課題があるから、それをひとつひとつ達成していく事が大切で、鍛錬や訓練に耐えられる身体づくりをしないでいきなりオリンピック選手級の課題に取り組む人はいない様に、いきなり高度な霊的修養に入るのではなくて、その為の健康的な精神性、身体性、関係性の実質づくりとそのバランスの達成を自分自身の足元からこつこつと取り組む事が必要だから。


 瞑想の修行に入るなら、その前に先ずは少なくとも健康的な強度のある自我境界や倫理性(それに耐えうる健康的な自己愛や自尊心)も確立している必要があるし、ヨガなんかの本格的なエネルギーの身体操作に入るなら、その為の身体性や精神性づくりや思想哲学を学ぶ必要があったりするでしょう。安易な方法で利益をすぐに得ようとするものには必ず危険が伴う事をよくよく心しておくべきだからね。


 クンダリーニ覚醒という手法を、以前カルトテロリズムの問題を起したヨガの修行を実践していたカルトが使っていたんだけれど、これも、本当はとても危険なものなんだ。段階をきちんと踏んで行なわれるべきものを、その段階を飛ばしていきなり効果や利益だけを手に入れしてしまったら、それの管理が正しくできないでしょう。核のエネルギーを扱うにはそれだけの知識や訓練、相応の健康的な強度を持った精神性や身体性に加えて健全な倫理性も必要だし、厳重な管理も必要だし、それに耐えうる器も必要なんだよ。どの道にも、その本格的な本質の部分に切り込むには、それ以前の修養期間が長くあるものだし、それにはそれなりの意味がちゃんとある。


 なんでも一朝一夕(いっちょういっせき)にはいかない。時間も力(エネルギー)もかけて地道にこつこつと育んでいくものが、本物なんだよ。本当にその人の実力になるのは、こうして育まれたもので、安易に利だけを得るようなやり方は、騙しやトリックの詐術に長けていく事はあったとしても、それは真実性を伴わない虚構でしかないから、本当に実力が試される場面では役に立たないよ。むしろ思わぬ危険な問題を孕(はら)んでいるものだし。


 地道に時間をかけるそのやり方は、騙しや詐術が横行するこの世界では損をする事が多いかもしれないけれど、でもそれも受け入れて地道に取り組むからこそ実力が育まれる。


 騙し(trick:裏技、計略、策略、卑怯なやり方、盗み、秘訣、犯罪、幻覚)よりも真実性(truth)を選択する事の繰り返しが、本当の魂の喜びを生きる道であって、それこそが魂の航路そのものなんだよ」


 海は少し考えてから言った。


「現世的な取り組みの中に、もう既にその人に必要なバランス達成の取り組みが入っているから、魂の喜びに沿って真実性を選択する事をひとつ、ひとつ、と重ねていくうちに、必要な心身の筋肉がついて行くようなものだよね」


「そうだね」


「それは現実からの逃避ではなくて、【地に足をつけて、そのまま上方に開いていく】様な在り方だと思うけれど、こうした精神世界への関心を示す人達の中には、現実世界からの逃避やその超越的価値を得ようとする(不健全な自己愛や自尊心の満足の為に)人達も少なくないから、カルトをはじめとした詐欺なんかに引っかかってしまう様に見えるんだけれど」


「カルトやマフィア、政治的なマニピュレーションでも、そうした人の取り込みを得意とするからね」


「そうだよね。でも、そうした人たちが起こす問題も深刻なわけで、特にカルトテロリズムやスパイ工作なんかにそうしたある種の危険性を抱えている不安定な人がどんどん動員されてしまうのも困った問題だし」


「特にカルトは神秘現象の捏造(ねつぞう)を得意としていて、その諜報(スパイ)活動から不正に得た情報を使ったり、テロリズム実践などを通してそれを創り出していくから、引っかかってしまう人が多いのも仕方ないところもあるかもしれない。でも、それは安易に利を得ようとするその当人の心が招くものであって、もし本人が真摯に取り組んでいこうとするなら、魂の喜びやその真実性を尊んでいくのであれば、そうしたものがもつ虚偽性にも気が付くはずだよ」


 二人のやり取りをそれまで聴いていた私は、彼等に尋ねた。


「神秘現象の捏造(ねつぞう)って、どんなものなの?」

「超越性の演出みたいなもの」

「たとえば?」


 聖一さんが詳しく説明してくれた。


「神や仏や天、その他の超越的存在による奇跡や罰、力なんかの顕現(けんげん)を騙(かた)って、そうした演出をするんだよ。カルトテロリズムの実践を使うなら健康加害テロなんかが代表的かな。何らかの傷害や障害、病、症状を被害者に意図的に作為的に負わせていく。実際の殺人も、もちろんその中には含まれている。


 諜報(スパイ)工作を使うのなら、人権侵害や犯罪(盗聴・盗撮も含む)等で不正に情報を入手したり、盗み出したり、被害者の周囲を含めた監視や諜報(スパイやつきまとい等)活動から得た当人や関係者の情報を使うとか、何故それを知っているのか(それは人智を超えた能力や智慧を持つものだから=超越性、超人性、叡智(えいち)性)という状況を演出するのが代表的なものかな。

 

 後は手品みたいな技術的なもの、幻覚とか幻影、錯覚を利用したものとかだね。これは大昔から使われてきているし、そもそもマジックはその為にあったから」


「すごいね、そんなこともしているの?」


「むしろそれこそ、カルトの真骨頂というべきものでしょう。騙しの手口、詐術の基本だよ」


「──そんなことに時間や力を使うなら、もっと建設的な使い方をすればいいのに」


「それだけ旨味があるんでしょう。カルトテロリズム実践者や諜報(スパイ)活動をする彼等や彼女等にとっては。まあ、こうした知識を事前に持っているのといないのとでは少しは違うと思うから(それでも引っかかる人は引っかかってしまうものなので)、知っておくべきだとは思うけれど」


「そんな卑劣な手口を使っていんちきな超越性を演出してまで、そうした高尚な価値があるように自分や組織を見せかけたいなんて、恥知らずもいい所だと思うけれど、それでのうのうと高い倫理性を高説していたり、演技をしていたりする事から得られる利益や快楽は、それだけ大きいという事なんだろうね。ビジネスモデルとしても」


「この国の宗教に関する法律は色々都合よく利用可能だしね。だから、マフィアが活動休止している様な宗教団体を買い取って、教主様ビジネスをしたりもしているよ。弱っている人に付け込むのにこれほど適した美味しいビジネスモデルもないだろうし。こういうのは政治的なマニピュレーションにも利用できるしね。実際に国内外のマフィアがバックにいる大きなカルト集団が政治の世界にも深く食い込んでいるし、そうした裏組織の実働部隊と手を組んで邪魔なものを排除したり、告発者潰しを日常的にしているからね」


「本当に使われるべきところに使わるはずの税金や公的資金の食い潰しの殆どはそこから派生しているものだし」


 海が言って、なるほど、と私は頷く。


「腐敗の侵食には止(とど)まるところがないんだね」


「医療や福祉の分野でもそうだよ。カルトテロリズム実践者やスパイ工作をする人間が入り込んでいるから、高齢者の認知症や精神的な問題を捏造して土地や財産を収奪していくのもカルトやマフィアによる旨味の大きいビジネスにもなっている。それは地方自治体の職員や医療・福祉の専門家、法律専門家、警察なんかも結託した一大利権犯罪ビジネスになっている」


「本来なら人を助けたり守ったりする機関がカルトやスパイ、マフィアに汚染されているとしたら、被害者は本当にどうしたらいいのかわからなくなってしまうし、簡単に追い詰められてしまうよね」


「だから、カルトやマフィアやスパイの工作員をそのまま野放しにはできないんだよ。そうした連中と結託している信用できない危険な一般人も同様にね。彼等は独自のロジックで動いている。快楽殺人衝動や犯罪等の背徳性の快楽やスリルに中毒しているとか。弱い立場にいるものを踏みにじる事に快楽や愉悦を覚えるんだよ。演出された優越性や選民性をそれで感じることが出来るから。基本的にいじめや嫌がらせの加害者や加担する人間も同じ」


「それは本物の異常者じゃないの。それも本当に危険な」


「癌細胞は本来余計なものや要らないものを摂り込んでいくという説もあるんだけれど、まさにそうした現象と同じだと思う。そういうものがそういうものと惹きつけ合う。そうしてカルトやマフィアやある種の政治的集団が出来上がる。いじめや嫌がらせネットワークも同じ。そもそもまともで健全な倫理性を持っている人間はそういったものには加担しないから。目には見えない水面下では、はっきりした選別がそこで既に始まっていたんだよ。誰でもなく、本人がその選択をとる事を通してね。彼等彼女等自身の危険性や人間として信用できないその本性を、そうした選択や行動で現実に顕現(けんげん)している事に他ならないから」




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