049. 不思議の国のアズキ:序
Pythonと夢を見て
Javaで現実を知り
Rubyに逃避した
COBOLは老後を保障する
自作の詩を刻むことで、この物語を占拠した証とするわ。
私は、アズキ。
タマヨンと共に旅をする、17歳の座敷童。
半年前まで3歳児だったけどね。
プラチナドラゴンだから、時空の流れに縛られないのよ。
この物語は、タマヨンの日記なのだけど、今日は私の日記をお送りしましょう。
私が参加した以上は、出版化して1億部を目指すわよ。
ガンダムとかトヨタとか許諾をとるだけでも大変だろうけど。
ほんとタマヨンはろくでもない事しか書いていないわよね。
そんな困ったタマヨンだから、私達の誰かが面倒を見る必要がある。
ニャアとアンが家出した今、その役目は私が担うしかない。
今も、せっかくニャア先生が車で送ってくれというのに、指輪を探すと急に言い出したから、一緒にお風呂まで戻ってきたところ。
ニャア先生は、梅ちゃんだけ乗せて帰ってしまった。
明日また、迎えに来てくれるそうよ。
「あー、やっぱり流れちゃったのかなぁ」
「もう諦めなさいよ。ただの記念品でしょ。そんなもの、これからいくらだってあげるわよ」
「でもアレ、ワシの肋骨なんじゃけど」
「その髪飾りは、頭蓋骨らしいわよ」
「え!? あいつ、わやへるのう。タマヨンの頭、穴開いてんの!?」
「過去から取り寄せた、折れた前歯だったかも?」
「そんな事できんの!?」
現実のタマヨンは、一人称がワシになったり、ニャアみたいなお国言葉が混ざる事もあるのよ。
この物語の中では、ラノベの流儀に則って、キャラごとに話し方の特徴を持たせてるんだって。
確かに、テキストにすると、ニャアが戻って来たのかしら? ってなるわね。
「本当はね、タマヨンの指輪は、尿管結石だったのよ」
「タマヨンの血尿が止まったのって、アンが結石をとってくれたからって事?」
「そうみたいよ」
「じゃあ、要らんわ……」
やっと諦めてくれたわね。
もちろん、結石なんて嘘よ。
たまにタマヨンは、くだらない事を気にして、脳がスタックしちゃう。
そういう時は、意図的にエラーを割り込ませて、タマヨンを再起動させる。
だから、憤怒を取り上げたとか、これまでにもいくつか嘘を伝えている。
ヒトの感情なんてものは、薬物で一時的に抑えられたとしても、取り上げたり出来るワケないのにね。
きっとこれを読んでも、勝手に深読みするから信じないとは思うけど。
もう飽きたから、タマヨンに返すわ。
どうせ1億部なんて無理だし。
哀れに思ったアナタは、私にいいねをつけるのよ。
いいわね?
お分かりのように、今度はアズキに日記を乗っ取られた。
アンの次はニャアだって言ってたのに。
しかもタイトルに「序」ってつけて3部作かと思わせておいて、途中で投げやがった。
それこそ、勝手な深読みなんだろうけど……。
梅ちゃんだけが、ニャア先生に送ってもらった翌日。
猫バスみたいなミニバンに乗って、ニャア先生が来てくれた。
保育園の送迎バスだったそうで、猫柄のラッピングがされたミニバン。
タイムリープ回路搭載、無敵のドングリウム合金製で大気圏突入も可能。
高度AIで自動運転まで出来る。
アクセルとブレーキに足が届かないニャア先生でも、安心だね。
SFなのかファンタジーなのか、分からなくなってきたけど。
「バカ共に車を与えるな、の最新の回答がコレじゃ」
「へい! 彼女! 俺に乗ってかない! いい喫茶店知ってるんだぜ」
「昭和のナンパみたいなAIだね。ミニバンでナンパはしなかっただろうけど」
最近の若い世代は、ナンパなんて分かんないかもな。
マッチングアプリってやつがあるからね。
もちろん、老害SEのタマヨンは、使った事なんてないよ。
今は、14歳の乙女だもんね。
「じゃあ、神聖カワサキ帝国の喫茶ヨミランドまで行ってちょうだい」
自動運転なんて大丈夫なのかな?
なんて心配だったけど。
神聖カワサキ帝国では、自動運転が義務化されたんだって。
つまり、路上はAI同士が連携して協調する平和な世界なのだ!
自動車が危険なのは、運転席にバカを搭載してるからだもんな。
なんだ、こっちの方がずっと安全で安心じゃん。
って事で、猫ミニバンに乗り込んで行き先を告げたのだけども。
「ヨミランドっすか? そんな店、もうねえっすわ」
猫ミニバンの自動運転AIは、そんな返事をしたのだったー。
どういう事だ?
神聖カワサキ帝国に、一体何があった!?
つづく
予告
「ワシに、アジャイルは無理じゃったかー」
次回 不思議の国のアズキ:破




