表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたの使い魔はおっさんです  作者: へるきち
不可視の国のアズキ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/52

042. その列車に飛び乗れ

「なんじゃ、おしっしょさん。生きちょったん? 何年ぶりかいのう?」


 あれだけ前振りしたというのに、梅ちゃんが砕け散って空の星になったりはせず、前世妹だけはぐれたりもせず、迷子にもならず、タマヨンの乳首が増えたりもせず。

 何事も無く、無事にクロスロード世界の女神会館に辿り着いて、女神議長のリーザとやらにもすんなりと面会出来た。

 通常の物語であれば苦労するところで、何の苦労も無い。

 タマヨンが苦労するのは、老害故の偏見と、コミュニケーション不全なのだけど、今回はそれすらも無い。

 この世界は、女神会議の統治下。

 女神が直接統治する珍しい国家、ダメガミシティが中心なので、元女神の梅ちゃんは国賓待遇。国賓どころか神扱い。実際、引退したとはいえ神なんだし。

 女神議長のリーザは、梅ちゃんの弟子だから、面会も顔パス状態で、何ひとつ苦労する要素が無かった。

 もちろん、タマヨンはマゾではなく、むしろ逆なので、苦労したいとは微塵も思っていないから、何の不満もないよ。

 人生、たまにはイージーモードでいいじゃん。

 苦労なら、社会人になってからの40年近くに渡って、充分過ぎる程したよ。

 でも今のイージーモードは、自分で努力して得た環境では無いから、自慢は出来ないし、きっと恒久的なものでも無い。油断は出来ぬ。俺にはナニガシさんがバックに~、みたいな行動をタマヨンは取らない。


「さあ、どやろ? ワイらの時間の観念は捻じ曲がっとるからな? ワイの主観では、3年程度ちゃうか」

「ワシの主観じゃと1万年は軽く経っちょるのう。最後におしっしょさんに会った時、ワシまだ幼体じゃったし」


 女神というのは、コッテコテのインチキ方言を喋る規定でもあるのだろうか?

 リーザとやらは、インチキな山口弁もしくは広島弁。

 ニャアと一緒だ。


「ん-? 怪人ミツバチ幼女がおるんじゃがー。こいつ、ワシの異世界同位体じゃろか?」

「同位体かどうかは知らんけど、女神シリーズの素体使っとるな。シリアナナンバーがあるわ。2号機やで」

 異世界同位体? 女神シリーズの素体? シリアナナンバー? また未知のワードが出て来たなあ。

「女神をキッティングするための素体があんねん。誰が造ったんか知らんけど。しりの穴にナンバリングがあんのよ。全部で10体らしいねんけど、たまに流出すんねんな。ニャアちゃんは、その一体って事やろ。知らんけど」

「ワシのシリアナに刻印? いつの間に見たんじゃ?」

「動物病院の先生がゆうとったで」

「あの先生、守秘義務無いんか!?」

「ワイも雇い主やったし、保護者やからな」

「あ、そうか。じゃあ、シリアナくらい仕方ないのう」

 なんか最近、ケツに星とか、ケツが割れるとか、シリネタ多いなあ。

「なるほどー? ニャっすはガングロ金髪でバカっぽいけど、顔立ちだけならモブっぽいもんなあ。梅ちゃんとリーザにゃんに通ずるものがある。育ったら、こんなんになりそう。女神共って、すっげえモブヅラしてんなあ。全てのアニメの背景に、ひとりかふたり居そう」

 桜子は女神を相手にしても、無礼な態度がブレない。これが、ワシの姉さんかー。

 なお、タマヨンの一人称は、俺とわたしとワシとタマヨンの間で、ゆらゆらとロック・アンド・ロールしています。ロックンローラーなので。

「女神は目立ったらダメなんじゃろ。知らんけど」

 逆な様な気もするけど、女神って、副業で忍者か探偵でもしてんの?

 タマヨンは昔、そういうなろう小説を書いたことあるけど。

「んー? もしかしてリーザの神話って、なろうにあったりしない?」

「神話がラノベなの? それも異世界で素人に公開されてんの? バカじゃないの?」

 アズキにストレートに罵倒されたけど、うん、タマヨンもそう思うよ。

 でもなあ、リーザって名前とか、いろいろ一致しちゃってんだよなあ。

「いや、タマヨンの言う通りやで。地球の巫女が、ゆんゆん女神電波を受信して書いたはずやで。その巫女ゆうのは、他ならぬタマヨンの事やけど」

 あー、マジかー。アレってそういう?

 なんか急に使命感に駆られて、書いたんだよね。

 コンテストの1次審査すら通過しないし、PVも評価も伸びない神話、ウケる。

 途中で突然終わらせちゃったけど、あれは電波が切れちゃったのかな。

 混信してたのか、複数バージョンが存在するし。

 今でも、なろうに残ってるよ。


「ほんでー、何の用なん? 女神会議なら、次は千年後じゃったかな? 知らんけど」

 知らんけどを多用するのも、女神の仕様なのだろうか?

 そういえば人類に試練を与えるために、ほんとの事は3割しか言わないんだっけ?

 めんどうな生き物だなあ、まったく。

 システムエンジニアには絶対しちゃいけないタイプだわ。

 クライアントを怒らせてでも、過酷で無慈悲な事実しか言わないのがシステムエンジニアだ。駄法螺ぶっこいて、後で泣かすよりは、普段からちょっとづつ怒らせておいた方が、ずっといいからね。

「会議に用は無いわ。会報だけは送っといてや。アレは、世界の真理がさらっと暴露されとっておもろい。事実は3割しか書いてへんけど。んでー、本題はやなあ、異世界鉄道のチケットが欲しいねん。7人分で、無期限パスが理想やな。無理なら回数券でもええけど」

 異世界鉄道を利用するのは、この7人にした。

 ギョニソはまた失踪したし、ミヨちゃんは神聖カワサキ帝国で生涯を終えるそうなので。

 ギョニソは、悪魔の湯の効能で若返ったのか、突然ソバと陶芸の夢から醒めて、どこかへ旅立ったらしい。老人はソバを打ち陶芸を始める生き物だけど、若者は旅に出る生き物だからね。あいつは、人生の3周目に突入してしまったのだ。

 少しだけ羨ましいと思うタマヨンである。

 でも、戦国異世界で旅立っちゃったから、もう死んでるかもね。

 あの世界では、ヒトの命なんてチェスや将棋の駒みたいなもんだから。


 少し話が逸れたから、戻そうー。


「ワシの枠で無限パスを融通出来るから用意せちゃろう。他に、なんかあるん? さっさと用済ませて帰ってくれる? おしっしょさんには騙されてばっかじゃけえ、ワシの方は何も用が無いんじゃけど」

 案外、弟子に大事にされていない梅ちゃん師匠だった。

「なんぼか女神ドルが欲しいんやけどな」

「ん-? 日本円は最近雑魚じゃけえ、両替出来んよ」

「え? そうなの? 米ドルならどうだろうか? 160億ドルあんだけど」

 日本円は、異世界では雑魚通過に成り下がったかー。地球では、まだまだメジャー通貨なんだけどな。国債だって、金利は上昇してるけど格付けは落ちてない。

「まあ…、米ドルなら。地球の通貨自体が雑魚扱いになったからしてー、使うなら今のうちじゃぞ。160億ドルなら、7人分の無限パスにちょーっと足りんのじゃがー、今なら特別に160億ドルでええっちゃ」

 さすがに、異世界間を移動出来る鉄道だけあって、高いなあ。

「ひとりあたり30億ドルくらいかしら? 日本円なら4500億円。子供料金と大人料金が違って、団体割引もあると仮定すれば、それくらいになるわよね。地球だと、社員40人連れて宇宙ステーションまで研修に行ける程度の金額だから、異世界間移動の無限パスとしては格安でしょうよ」

 アズキの脳は浮動小数点演算ユニットでも内蔵してんの?

 それとも、タマヨンがアホ過ぎるのかしら?

「ん? ワシのどんぐり勘定じゃよ。通常なら100倍でも買えんよ。黒帽子の魔女に魂を売っても、少年一人が限界。しかも片道切符」

 どんぐり勘定ってなんだ? すっぽこ達も、どんぐり好きだけど、女神もなのかな?

 いちいち突っ込んでると話が進まないから、放っておこう。

「ともかくお買い得って事だな! この支払は、姉ちゃんに任せな、タマにゃん。あ、VISAかアメックス使える?」

 そういって、ちいかわのお買い物検定1級VISAを財布から出す。

 そいつの限度額は、最大でも100万円程度じゃないかな? ゴールドカードですら無いし。エポスカードはゴールドで最大300万円だ。

 ちなみに、タマヨンのクレジットカードは3枚で合計800万円が上限。

 昔は派遣の信用って低かった気がするんだけど、10年前くらいからニンゲン扱いされる様になった気がするよ。

 年会費1万円のカードなのに、枠が10万円しか無かった時は、ウケたね。 

 単純に、タマヨンの信用が上がっただけなのかも知れないけど。世の中に派遣社員が増えたから変わったのかも知れない。住宅ローンも組めるらしい。

「VISAは規約がうるさいから提携しておらんし、そもそも限度額が足りんじゃろ。口座引き落としならいけるんじゃけども、何処の銀行に口座あんの?」

「三井住友とイオン銀行」

「そのふたつなら、いけるんよ。ちなみに、みずほじゃったらアウトじゃったな」

 なんだろう、タマヨン並みの偏見を感じるんだけど。

 ああ、そうか。女神の初期データベースはタマヨンの脳からとったスナップショットなんだっけ? 是非も無し。

 ちなみに、イオン銀行はタマヨンもメインで使ってる。

 ネット銀行を消去法で選んだらそうなった。

 もちろん、他の銀行は偏見に依って外された。ポンコツIT系企業に買収されたっていう偏見。

 証券会社はマネックス。ここもポンコツが買収しちゃったけど、イオン銀行と業務提携してるから仕方ないね。もちろん、これも偏見だ。

 タマヨンの魂は、今でも老害のじじいだからね。偏見の塊だよ。


「ほい。もう処理出来たけえ、パスあげるね」

「仕事が早いなあ」

「ほらもう、女神じゃけ。時空を捻じ曲げたんよ。じゃから、おしっしょさん連れて、さっさと帰って。今なら、6番ホームに特急がおるけえ、はよう行け」

「行先どこ? 川崎に帰れるかな?」

「は? 地球なんかに寄らんよ。もうあの世界は終わりじゃけ。6年前にコロナカで欠便になったきりじゃ」


 なんと、生まれ故郷に帰れない!

 6月の大黒ミサにも参拝出来ないし、7月からの新作アニメを観るのも無理だよ。

 捨てるつもりだったのに、帰れないとなるとなあ、気分違っちゃうなあ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ