012. 転生したら肉でした
昨日のお茶会での、最大の成果は、お仕事の受注。
ファンタジーどうぶつ同好会(仮称)で使う、情報交換ツールの作成を請けた。
チャットやファイル交換など、SNSでいいじゃん? って要件なんだけど。
通信内容を完全に秘匿する必要があるから、既存サービスは使えないってワケ。
悪魔や魔法幼女の存在は、世間に知られてはならぬのだから。
傍受されたとて、チュウニの会話としか思われないだろうけど。実際、チュウニの集団だし。
ありがたい事に、費用はコロネが負担してくれる。
報酬が発生するので、個人事業主の開業届を出しておく。
独立開業に向けて、一歩前進だよ!
「ちまちま設計書なんか書いてんじゃねぇ。さっさと、作っちまうぞ」
「じゃけー、納品が要らんだけで、ドキュメントは必要じゃろ?」
「湿気ってんじゃねぇよ。前のめりで行こうぜ。アジャイル開発ってやつだよ」
「アジャイル言いたいだけじゃろ」
要件定義書だけは残しておいた方がいいと思うけどね。
開発製造を担当する、アンとニャアに任せておく。
俺は、責任を取るだけでいい。
「責任は俺がとるから、好きにやりなー」
ああ! このセリフを言ってみたかった!
派遣には、絶対言えないセリフだからね
尚、本案件は、「機密保持のためにドキュメントは残さない」とか言っちゃってるんだけど。
それ、後で誰かが泣くやつだからね。
設計書が残ってない、あっても実体と異なる、そんな更改案件は現場の血と涙で支えられている。
実体を調査して、そこから要件定義を逆算するとか、時空が歪んでる。
俺は、アズキとアオイと共に別件対応を優先だ。
数子の変わり果てた姿であるウサギのぬいぐるみを、どうにかせねばならぬ。
しかし、肝心の当事者であるアオイに、まるでやる気が無い。
「別に、このままで困らないよ? そこそこ可愛いしコレ」
そう言って、ぬいぐるみを、もぎゅもぎゅ揉む。
ずっと抱いていて、お気に入りみたい。
一見すると、ぬいぐるみを抱いた幼女なんだけどね。
そのぬいぐるみ、生きてるからなー。比喩や感情移入じゃなく。マジで。
「そのままじゃ数子が働けないからダメ。生活費を誰が稼ぐんだよ」
明日は月曜日。可能な限り、今日中に解決したい。
無断欠勤が続くと、捜索願いを出されるかも知れない。
「いっそ、先手を打って、死亡届出したら?」
「先手過ぎるわ」
最悪、それでもいいけど?
対応するべき課題は、もうひとつある。
木彫りの熊などに化した、3匹の全グレだ。
無敵の川崎市でも、生き物はゴミとして回収してくれない。
回収されたとしても、ヨネッティの温水プールが穢れてしまう。
「全グレなら、戻らなくてもいいけどさー」
ゴミとして、うちに置いたままなのはヤだなー。
メルカリで売れないかな? 規約違反になるな。
「俺の出番が来たようだな?」
話を聞いていたのか、アンが割り込んで来た。
「何か、策があるわけ?」
「当然だよ。ちゃんと、戻せる様にしてあるよ! タマヨンさあ、命を何だと思ってんの? 邪悪な存在なら消していいとか思ってない? そんな事していると、いつかタマヨンが消される側に、なっちゃうんだよ?」
0歳児に、正論で説教されてしまった。
背負った子に教えられ、とはまさにこの事か。
「えー、じゃあ、お願いしまう」
俺は、噛みつつも、全グレの入ったゴミ袋をアンに託した。
噛んだのは、嬉しかったからだ。
ちゃんと、倫理観があったんだね!
異形化した全グレ達は、元の姿のバックアップデータがあった。
データが、不可逆圧縮なのが不安だったけども、それがアンの言う策だ。
このデータを、転移魔法にオプションで渡すと元の姿に戻せるそうだ。
アン、アズキ、ニャアのトリプルコアで実行した。
演算能力を強化する事で、元の姿に戻せる可能性が高まる。
「戻したよー」
数子の部屋の床に、3匹の全グレがグッタリ横たわっている。
干した昆布を水で戻す位の手軽さで、全グレ達が復活した。
水も食料も与えて無かったから、衰弱している様だけど、生きてはいる。
アンがスマホでライブ中継してくれているので、俺は自宅でそれを見ている。
数子も、衰弱してんのかな。ぬいぐるみを、砂糖水にでも漬けておけばいいだろうか?
「あれ? ここにセーラー服来た悪魔が居なかったか?」
「俺は、何も思い出したくねえ」
「逃げた方がいいんじゃないか?」
「そうだな。中東に行って、ボランティア活動でもするか」
記憶の混濁がある様子だけど、深い恐怖を精神に刻まれたらしい。
中東に行くとか言ってるけど、辿り着けないだろうな。
どこかで捕まる、いや補導されちゃうだろう。
だって、小学生くらいの子供になっちゃってるから。
見た目は小学生、心は全グレ、コンナァなザマァに。
矯正施設に収監されて、人生やり直すといいよ。
「ここじゃないね?」
数子のバックアップデータは存在しないので、レストアは不可能。
精霊の召喚魔法は、五色龍の生き胆を代償に請求されたので無理。
物知りお姉さんに相談してみようかー、って事で梅ちゃんの喫茶店に来てみたのだけど。
目の前にあるのは、ガラス張りで、オープンテラスのあるカフェ。
店内のカウンターは、客が外を向く様に配置してある。
こういう見世物小屋か水族館みたいな店に、おっさんは用が無いんだがー。
「店名が、違うんじゃない?」
どさんこ居酒屋ミラノ、とある。
居酒屋の部分には「バル」とフリガナ。
アメリカン喫茶ナポリタンと似たフィーリングだけど違った。
「あれ? どっかで見たんだけどな? すっとこ店名の喫茶店らしきもの」
梅ちゃんとは連絡先を交換してあるので、店の位置情報を送って貰った。
マップのナビに誘導されて、移動することしばし。
「あー、ここかあ」
そこは、全グレの巣の隣だった。見た事あるはずだわ。
看板には「アメリカン喫茶ナポリタン」とある。ここで間違い無い。
梅ちゃんによると、ここで営業する店舗は短期間で撤退するそう。
隣が、全グレの巣だもんなぁ、そりゃ、長続きしないだろうな。
アメリカンステーキ、喫茶ナポリ、ナポリタンピッツァ、などの店名の変遷が、このカオスな看板を形作ったらしい。
「ようこそ。ここは戦士達の休息の地。時の狭間で、ひとときの安らぎを得るがいい」
店に入ると、宇宙海賊風の女に出迎えられた。
右目に眼帯、尻を隠す程に長い髪に、ドクロの髪留め、左肩にBCGの跡。
BCGは関係ないか。こいつ、いつの時代のニンゲンなの?
「タマヨンだね? 久しぶりと言うべきかしら。遠く時の輪が繋がったのが見えるわ。乙女ゲーム世界の悪役令嬢だった貴方とは、再び出会う運命だったようね」
転生者みたいな事を言う、女宇宙海賊。
俺のこの体は、乙女ゲーム世界の悪役令嬢だったのだろうか?
マジでー? アオイの奴、妙なもん召喚してくれたな。
梅ちゃんを求めて店内を見回すと、テーブル席の鉄板で巨大なハンバーグを焼いている。
きっと、戦士が誕生日に食べる特別なやつだ。
「お? 来たな。お昼まだやろ? これ食べようや」
「随分と、お高そうなんだけど」
「原価だけで3万円越えとる」
戦士、何気にセレブだな。
それ、俺が支払うの? まあ、いいけど。コレ、食べてみたかったから。
稼いだら使う、使ったら稼ぐ。それが、資本主義社会のジャスティス。
伊達に、昭和のバブルを経験していない。
もっとも、俺が社会に出た時は、就職氷河期だったけどね!
「なあ、ここってコンセプトカフェってやつなの? 女宇宙海賊みたいなのが居るけど」
「いや、うちはメタル喫茶やで。ミヨちゃんは、前世が乙女ゲーム世界の女宇宙海賊っていう設定の中で生きとるだけや」
乙女ゲーム世界の女宇宙海賊って何? しかもミヨちゃんかよ、と思ったけど、どうでもいいか。
俺は、多様性を尊重するのだ。
自分自身、チュウニ女児というプラットフォームに、おっさんをデプロイって有様なのだから。
店の内装はというと、喫茶店というよりも、バーみたいなカウンター。
テーブル席は、懐かしのインベーダー、鉄板付き、無煙グリル付き、とバリエーション豊か。
隅には、小さいなステージまであって、ライブハウスか演芸場の様でもある。
客は、ひとりも居ない。
「ギョニソと桜餅は? あいつら、ここの常連なんでしょ?」
「ギョニソは会社勤めしとるから、在宅の日以外は朝と夜だけやな。桜餅は、夜になったら来るんちゃう?」
あいつらも近所って事なんだよね。川崎市多摩区は、不思議の国かな?
「ところで、相談事って何や? うちの常連になるなら、助けたらんでもない」
ハンバーグから染み出た油で、ニンジンやキノコを炒める梅ちゃん。
すっぽこ達は、巨大ハンバーグに夢中だ。
ここの常連になるのは悪くはなさそうだ。
「お前、戦士じゃないだろ。なんで食ってんだ」
「うるさいな。数子のクビをもぐよ」
「なんて卑怯な精霊なのじゃ。タマヨンの妹を人質にとりおった」
どうにもドラゴンと精霊は、相性が悪いようだ。
早く、数子を復元しないと。
「やっぱ、ぬいぐるみの事? 五色龍が三体もおるんやから、どうとでもなるやろ」
「なんで分かるの!?」
すっぽこ達の正体は、明かしていないんだけどな。
「物知りお姉さんやからな。女神アイで、まるっとお見通しよ」
「面倒な事になると嫌だから、他の連中には黙ってて欲しいんだけど」
「もちろんやで。五色龍は、世界を創り、かつ滅ぼす存在や。ワイかて、命は惜しい」
壮大な風呂敷が、バサバサと広がる音がするなー。
梅ちゃんが元女神ってのも、妄想であって欲しいなあ。
俺は、もっと慎ましく、ハードボイルドに生きたかったのに。
「来たね、俗物。勝手に、空いてる席に座りな」
コロリンロリロリー、と入店を告げるチャイムの音と、女宇宙海賊の罵詈雑言。
誰か、常連客が来たのだろう。
「俗物が、今日も金を落としに来てやったわよ! あ、タマヨンじゃーん! 飲んでるー?」
飲んだくれの桜餅だ。
お茶会の時と違って、雑なひっつめ髪に、だらっとしたTシャツとジャージ、足元はサンダル。
悪魔の宿ったアンドロイドフォンを片手に握りしめているけど、他に何も持っていない。
アンドロイドフォンは、タッチ決済も出来るのかな?
スマートスピーカーにもなりそう。稼働する実体があるから、頼めば色々してくれそう。
「飲んでねーよ。まだ日が高いよ。それに、俺はチュウニだ」
「酒も飲まずに、昼間っから何するのよ?」
チュウニだって言ってんだろ。
中身は、おっさんだけども!
そう言えば、俺って永遠にチュウニだから、もう酒は飲めないんだよなぁ。
尻穴の改造手術受ける以前は、致死量越えてそうな量飲んでたから、もういいけど。
よく生きてんなって自分でも思う。
「ちょうどええとこ来たなあ。悪魔の力借りたら?」
寄ればナニガシの知恵とも言う、チーム桜餅にも相談してみようか。
「ふむ。そう言う事なら、我の力で、新たな依り代に詰め替えれば良かろう」
「この悪魔無駄にエラそう」
うちの子は、全方位に喧嘩売るなあ!?
躾けが必要かも知れん。
「出来るのか? あーでも、あれか? 代償は魂か?」
「当然である。魂を売らずに、悪魔と取引出来ようものか」
この店の名は「クロスロード」、十字路で悪魔と取引かぁ。
「十字路で悪魔と取引かあ。ヘビーじゃねぇか。な? ブラザー。やっちゃいなよ」
アンが同じ発想なのは、俺のお気に入り動画を観たからだろうか。
それとも、一心同体の使い魔契約の影響なのか。
俺が魂を売ったら、アンも巻き込まれるんじゃないの?
「魂なあ。桜子は、悪魔と取引なんて、怖くなかったの?」
桜子は、この悪魔オモッチに魂を売って、主従の契約をしたという。
引き換えに、不老不死の体を手に入れてるから、十分プラスなんだろうけど。
「うん? アタシの魂は9個あるから。全然、平気だよ」
「え? そんなのあり?」
「タマヨンは自分の魂の在庫数を把握してないの? 棚卸してみたら?」
魂に在庫があるなんて。そんな残機数みたいな発想無かったわ。
でも、どうやってやんの? 魂の棚卸。
ちなみに、システムエンジニアは、保有スキルの整理を棚卸と言う。
「物知りお姉さんのワイが見るにー」
じーっと、俺の目を覗き込む梅ちゃん。
深淵を覗く者は云々、という言葉が頭をよぎる。
梅ちゃんの深淵は、異世界に通じる深淵だ。覗き込んだらヤバイ。
それにしても、この喫茶店マスター、便利だな。
「見るに?」
「よう分らん。まあ、いけるんちゃう? 知らんけど」
梅ちゃんの回答は、雑だった。
知らんけどを付けときゃ、責任回避出来ると思ってんのか。
責任を追及出来る話でもないし、する気も無いが。
「そうだぜブラザー。俺に、任せろ」
ぐっと、親指を立てるアン。そうか、こいつの在庫を共有出来るんだな。
「じゃあ、頼むぜ悪魔。前世妹の肉を復活させてくれ」
「契約を受理した。貴様の魂を…、あ、ごめん。初回サービスにしとく」
何ソレ? 急に、サブスクみたいな事言い出したんだけど。
悪魔オモッチは、無機質なレンズで俺の目を覗き込むと、急にヘタレた。
一体、何を見たんだろうか?
「それ、後で自動更新でしたーといか言わない?」
「い、言わない。言いません」
ねえ? 何なの? その態度? こわいんだけど。
「では、受肉するためのコアを造るのだ。ハンバーグの残りで良い」
「え? それでいいの?」
残りといっても、すっぽこ達だけで、ほぼ平らげてしまっているけど。
あんなにあったのに、この小さいイカみたいな腹に納めちゃったの?
俺食べてないんだけど、なんて思いながら、焦げたニンジンも混ぜて、ヒト型にコネコネする。
「これでいいのかな?」
小さなミートちゃんの出来上がりだ。
足りない質量は何処から持って来るんだろうか。
すっぽこ魔法は、質量保存の法則がー、とか言ってたけど。
その割に、このウサギといい木彫りの熊といい、元より遥かに小さいんだけど。
「ソレに対象の血族の生体パーツを入れよ」
「前世兄のでもいいのかな?」
「構わぬ」
生体パーツっても、髪の毛とかでいいだろ。
プチっと、髪の毛を抜いてミートちゃんに混ぜる。
「最後に、ぬいぐるみを乗せよ」
数子ぬいぐるみが、じゅーっと鉄板の余熱で焦げる。
大丈夫なのかな? 冷静に見ると、これヒドイ絵面だぞ?
妹を焦がす兄。鬼ーちゃんだ。
数子は覚悟を決めたのか、大人しくしている。
どでっででー、とサバト的なBGMが流れる。
OVAで、アモンと合体した時の曲だ! 梅ちゃん分かってんな。
悪魔ニンゲン召喚しちゃう!
「ちんかいほい!」
雰囲気と裏腹にポップな呪文と共に、すぽんっ! と黒い煙が立つ。
煙が晴れた後には、ミートちゃんとウサギは無く。
「うわっちー! 熱いっ! 熱いって!」
全裸で焼き土下座状態の数子が居た。
夏休みの工作よりも安易にヒトひとり創っちゃったけど、いいんだろうか?
もっとこう、人類未踏の地で謎植物を採取するとかさー、あるもんじゃないの?
あるいは、肉の塊が暴走するとかさー。
もちろん、そんなものは望んでないけど。
「おにーちゃんのえっち!」
「やかましいわ」
こうして、前世妹は復活し、俺達は怪しげなコンセプトカフェの常連となった。
「いやー、エライ目にあったわー」
ごくごくとジョッキで生ビールを煽る前世妹。
近所のワークマンで買って来た作業着を文句も言わずに着ている。
「言っとくけど、自業自得だからな?」
安易に転移魔法なんか使うからだ。
しかし、その気持ちは良く分かる。
通勤というのは、身も心も削るからなあ。
「いいねー数子にゃん。もっと飲め」
30歳女児ふたりは意気投合して、ごんごん飲んでいる。
梅ちゃんの店は、夜は居酒屋なんだそうで、酒が充実していた。
「次は、異世界に転移したいなー」
「お! いいねー。アタシも、行きたいなー」
ちっとも懲りてない様子で、そんな事を言っている。
異世界転移なんて、もっと難しいに決まってるだろ。
こいつがシステムエンジニアだったら、手順書も無しに本番機を触って大規模障害を起こす事だろう。
そう言えば、梅ちゃんは異世界から自主的に来たんだよな?
「梅ちゃんは、異世界から来たんだろ? どうやって来たの?」
「あーソレな。ぴゅーっとして、ばごーん! ちゅう感じや」
「さっぱり分からん」
梅ちゃんなら裏技的な方法を知ってるかと思ったら、何の参考にもならなかった。
異世界かー。俺も、行ってみたいわ。
「おいおい。異世界の事なら、俺に聞けよ、ブラザー」
そういえば、すっぽこ達も異世界から来てる様子だった。
「どうやって来たの?」
「さっぱり分からねぇ。気付いたら、公園で月を見上げてたのさ」
エキスパートヅラしといて、ゼロ回答とは。
単に、会話に混ざりたかっただけか?
「ワシも、よう分からんのう」
「私も、さっぱり」
アンに限らず、すっぽこ全員分からないと言う。
気付いたら、この世界に居たワケか。
トラックに轢かれたとか、本棚に潰されたとか、そういうのも無いのかな?
「どんな世界に居たの?」
「ん? あー、おー? そういえば、その記憶も無い」
「ワシもじゃのう」
「この世界で産まれたのではないと思うのだけど」
全員、産まれたてだもんなあ。無理もないか?
「でも、アズキは、3歳なんだろ? 3年分の記憶が無いの? いや数えだから2年か」
ニンゲンなら、幼少時の記憶は残って無いものだけど。
すっぽこ達は、そうではない気がする。
長期記憶を定着出来る程度には、脳が成長してるんじゃないかな。
そうじゃないと、アプリ開発なんて無理でしょ。
「私は、タマヨンに出会う前、2年間この世界に居た」
「ワシは、半年くらいじゃのう」
「俺は、タマヨンと遭遇した日以前の記憶が無い。ヘビーだぜ」
アズキの3年間とニャアの半年間、何をしていたのか気になる。
どうやって暮らしてたのか分からんが、その間に日本語を習得済みだったのだろうか。
とにかく謎だらけだな。
「あー、五色龍ゆうのはー」
「ちょっとストップ。ネタバレは嫌いなんだ」
「ネタバレちゃうがな」
何か知ってそうな梅ちゃんの発言を止める。
もうっちょと調査するなり、考察するなりしてみたい。
考えて分かるもんでもないだろうけど。
梅ちゃんを一次ソース扱いするのは危険。
きっちり裏を取るのが、システムエンジニアの基本だからね。
「そろそろ帰ろうぜ?」
「そうだな」
お腹が満ちて眠くなったらしい。
帰って、昼寝させるか。




