パラマス号⑩横島田光希の話(軟体パルタン)
「ドラマティックアテンション」
浮遊物体「パルタン」が青から赤に高速色彩変化した。
横島田光希が夢の回廊の入口で、その変化を眺めるようにして言った。
「大袈裟、君はちょっと敏感すぎやしないか?」
パルタンは黙っている。
「それでも俺は君を必要としているから」
パルタンはさらに黙って、身体を広げられるよう弛緩させた。
──ヤレヤレ、光希はまだ子どもだな
パルタンはぶるんと表面を波打たせた。プルプルと柔らかそうに表面が振動している。
「ゼロ・グラは解放中、先手必勝、攻撃は最大の防御でしょ?パルタン?」
パルタンはつぶらな瞳で光希を見た。
「ゼロ・グラ解放は正解。先手必勝もその通り、しかし君にはゼロ・グラしかカードはないのだからね」
「なにその言い方、まるで俺が雑魚とでも言いたいわけ?」
「ボクの認識ではそうだけど」
パルタンはハッキリと言い放った。
横島田光希は顔を上気させ大きなため息をついた。
「夢の回廊は君にはまだ早い、精神ダメージの修復は簡単ではないからね」
パルタンの表面は青みがかった黄色に変わり、横島田光希に語りかけるようにして言った。
「わかったよ、もう一段下の試練から始めるよ」
「もう二段下のほうがいいとボクは思う」
「ヤレヤレだぜ」
横島田光希は口を尖らせてドラマティックアテンションを出た。
パルタンは光希の背中に目をやって、
ぐるりと包み込むように丸くなり光希のピアスに戻った。
一粒の汗が床に光を作っていた。
おわり




