第17話 「バイシクル攻防戦・鰤とハマチとバナナ」
未来を見据えて、現在を逆算する。
……はずなのである。
しかし、私の脳内では、バイシクルからパイシクルへ、万有引力から万乳引力へ、そして鰤とハマチへと、何故か別の未来が次々と現れるのである。
果たして私は、未来を正しく見据えているのか。
それとも、ただ脳内変換に翻弄されているだけなのか。
そんな第17話
「ジャイアントキリング」
始まるのである。
第17話 「小は大より強し、ちいかわしか勝たん」
「バイバイバイシクル、バイシクルを売るならゴーバイシクル王なのである。」
「りりっぺ、何言ってるの? 突然。」
「いや、我、脳内変換がおイタをしたに過ぎぬのである。平常運転であろう?」
「うーん、そうね、いつも通りだねー」
「五月蝿いのである。
パイパイパイシクル!
パイシクル王め!
いつまでもパイシクルの天下だとは思うでないのである。
私には見える。望むべき未来が。
スタイリッシュ! イズ ベスト。
この時代がやってくるのである。
未来は彼方様からやってくるのである。」
「ふ~ん。羨ましいの?」
「ん? 何かパイシクルから聞こえたのだが?」
「ベっつに〜。気のせいじゃない?
ペタペタペタペタツルペッタン」
(ん? 悪意を感じる、どこかの某有名うどん屋さんを比喩に出すとは、私に対する当てつけであるか?
ならば、対抗するのみである。)
「ゆっきーよ、ある偉人の方は言いましたのである。
歴史に名を刻む名言を。
りんごは木落ちる。
重力と言う概念の発見である。
世界共通の定義。
アイザックニュートンの
万有引力。
これすなわち、変換をし、
相澤乳豚様の
万乳引力!
重力には勝てない身体的構造。
垂れるのである!」
「はははははっ、これが氷山モデルの隠された構造、真実なのである。」
ズバンッ、と、乾いた音が響き渡る。
ゆっきーのローキッキが、容赦なく私の軸足である、右足にクリティカルヒット。
私は、しゃがんだ。
体が悲鳴を上げる。
沈まざる得ない。
痛いのである。
私の体が重量に負け地面に引っ張られ体勢を維持できず、姿勢がかがまざる得ないのだ!
これも、即ち万乳引力なのである。
「りりっぺ、言い過ぎ…..」
「すまぬのだ。」
「ういしょ、あれ? ローキッキ特有の後味が…..立ち上がれない。」
「ゆっきー、ちょっと3分ほど待ってくれないか?」
「何? カップラーメン? ウルトラマン?
そんな弱気じゃダメだよ。
それを踏ん張る精神を持たないと、強くなれないわよ。」
「いや、私は別に強くなりたいわけではないのであるが。」
――結局10分経過――
「ところで、さっちーに謝罪代わりに鰤とハマチでいいのであるか?
流石にアイアイメイデンで項垂れた姿を見てしまったから、流石に申し訳ない、罪悪感があるのだが。
鰤とハマチで許してくれるのだろうか?」
「鰤とハマチはオヤツには入りません!
って、ルール知らないの? りりっぺ。」
「んるん? んっ、。
いや、いや、待たれーいなのだ。
バナナではないのであるか?
それは。
しれっと、ミスリード、すり替え機にきたのであるな、ゆっきーよ!」
「あははっ、ごめん、ごめん。
勢いで、いけるかなーって思っちゃった。」
うむむ。
中々侮れない女子なのだ、ゆっきーは。
「りりっぺ、私はお隣さんで、近いし、私も鰤とハマチは好きだし、栄養をバランス良く摂取出来嬉しいけど。
鰤とハマチを買います。
一晩冷蔵庫に入れます。
翌日に学校に持って行きます。
傷むでしょ? 普通に考えると。
お魚は鮮度が命だよ。」
「む、そうであったのだ!
冷凍をしても、時間のフィードバックにより、自然解凍していくのだ。
朝に冷蔵庫から取り出し、放課後から、家に着くまで最低でも10時間と見積もるとしよう。
駄目だ、鰤とハマチが傷んでしまう。
これが、またしても先入観。
良かれと思いやったことが、逆に相手にとって迷惑になる。
システム思考の原則なのである。」
「あと、りりっぺ。
お魚は生臭くなるから、学校には持っていかない方がいいと思うよ。」
「む、これまた盲点であったのである。
お魚独特の、生臭さ。
味は美味しくても、生姜やニンニクなどの臭み消しも、クッキングには必要になるのである。
そして、私は料理が苦手なのであった……。」
プシューと音を立てて、私の太腿に冷たい風が降り注ぐ。
はぉ〜、冷んやりなのである。
「どう? 気持ちいいでしょ?
枇杷の葉っぱより、これの方がいいでしょー、私はこれが琵琶の葉っぱより、何倍も必須アイテムだよ。」
それは、現代社会における、急速冷結消炎スプレー、
エアーサロンパッスンである。
確かに、自然療法より、即効性、効能が科学的根拠により明確なのであるのだ。
「ありがと、ゆっきー……?
いや、貴様のローキッキのせいであろう? 自演乙ではないか?
この、マッチポンプめ!」
しかし、女子高生がリップやマニュキアなどを取り出す時代に、エアーサロンパッスンを即座に鞄から流れる様に取り出す動き。
動きに無駄がないのであった。
最早、体に染みついた自然体の動きなのである。
これが、洗礼された一連の流れに見えるのであった。
そして、私は見逃さなかった!
一瞬、ゆっきーが無駄に廃棄をしようとしている、枇杷の葉っぱを使おうか? とした、繊細な心の揺らぎを!
ゆっきーは、そのポシェットに入っている、枇杷の葉っぱを廃棄する側の分類になるのであった、と、確信するのである。
次話に続くー
今回も、何故こうなったのか、私自身にも分からないのである。
バイバイバイシクルから始まり、アイザック・ニュートン、万乳引力、ローキッキ、鰤とハマチ、そしてエアーサロンパッスン。
最初から、この流れを考えていたわけではない。
その場で浮かんだものを拾い、繋げ、転がしていった結果がこれなのである。
これぞ、アドリブ殺法。
次回、何が始まるのか。
私にも分からないのである。




