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STRUCTURE JKりりか  作者: りりっぺ


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第12話 「ハイブリッド・飲料」

第12話 ーシルバーチャリンオッツー


皆んなで教室を出て、向かうは街中へ。


……と思ったのだが。


(ん?)


(1人増えている)


私は歩きながら、人数を確認する。


(私を入れて……五人?)


(五人組……)


(まさか、五レンジャーになっているではないか?)


ゆっきー。


剣道女子、サムライガールこと西田春。


そして、もう一人。


(陸上女子の秋田早苗)


(よし、秋田さんはトークンガールと心の中で呼ぼう)


そして、あと一人。


私は、隣を歩く女子を見る。


(……貴方は誰だ?)


(知らぬぞ)


(知らぬのである)


(誰だ、貴様は!)


私は、さりげなく会話に耳を傾ける。


ふむ。


小耳を挟みながら会話を分析したところ……。


どうやら、バレー女子らしい。


名前は、天野姫花。


(よし)


(スパイクガールに心の中で呼ぼう)


いや。


(待て)


ゆっきーが尋ねた。


「姫はどこのポジションなの?」


(ぷぅ~、もう下の名前呼びをしているではないか?)


私は、一言も会話すらしていない。


なのに、ゆっきーはもう「姫」と呼んでいる。


そして、スパイクガールが返答する。


「あっし、リベロやん。身長低いから、そのポジションしか行けないんよねー」


(な、何?)


(スパイクガールでは無い……)


(受け身…に、さらに自分をあっし呼び名称だと。)


(よし、担い手ガールと心の中に書き換えるのである)


(臨機応変、切り替えが大事なのである)


私は改めて、五人を見渡す。


ゆっきー。


サムライガール。


トークンガール。


担い手ガール。


そして、私。


(……おかしいのである)


(なんて日だ!)


(確率的に、いや、あり得るのか?)


私は一瞬、立ち止まりそうになった。


しかし。


(いや)


(あり得ているのが現実である)


問題は、そこではない。


(私以外、全員体育会系ではないか!)


(由々しき事態なのである)


しかも。


歩く。


歩く。


歩く。


(……速い)


皆の歩くペースが、明らかに速い。


私は少し遅れながら、五人の背中を見る。


(待て)


(これは、単なる友達グループではない)


(運動部経験者によって構成された、高校生活初期の特殊部隊ではないか?)


私は歩幅を少し広げた。


(……私も、合わせなければならない)


しかし、数歩進んだところで思う。


(いや、私は帰宅部側の人間なのである)


(なぜ初日の午後から、体育会系五レンジャーの移動速度に合わせて歩いているのだ?)


そして、私たちはファミレスへ到着した。


「いらっしゃいませー」


席へ案内される。


「ご注文はお決まりですか?」


(狙いは一点)


(ドリンクバーなのである)


(お値段以上の長時間滞在)


(これは、拠点として設定するには非常に優秀なシステムである)


ただし。


(3杯ぐらいが限界である)


私はドリンクバーへ向かった。


コーラ。


オレンジジュース。


そして、烏龍茶。


(この三つをMIXして飲むとするのである)


コーラを入れる。


オレンジジュースを追加。


最後に烏龍茶。


(完成)


(これぞ、ハイブリッドな進化を遂げた新時代のドリンクである)


一口飲む。


「…………」


(不味いのだ……)


(ピンチはピンチ!ピンチはチャンスとか世間では名言の様に言われているが、ピンチはピンチ!ミスリードで、すり替えて、

ご都合良く、チャンスにはならないのである。)


しかし。


(自ら選択したのである)


(ならば、きちんと責任を取らなければならない)


私は、黙々と飲み干す。


(飲み切るだけのことである)


そして、最後の一口を飲み終えた。


(もう二度と、このブレンドを人生ですることはない)


私は確信した。


(これは失敗ではない)


(貴重なデータなのである)


そして、たわいもない時間が流れていった。


学校のこと。


クラスのこと。


部活動のこと。


どうでもいいような話をしながら、少しずつお互いの距離が縮まっていく。


(私にしては、よく頑張ったのである)


(ふふんっ)


そして、会計の時間。


トレイを持ってレジに並ぶ。


店員が笑顔で、


「ありがとうございましたー」


と言った、その瞬間。


私の右手が、無意識に動いた。


ポケットから、銀色に光る一円玉を取り出す。


そして。


募金箱の投入口へ、静かに落とす。


「チャリン……」


店員は、何事もなかったかのように笑顔で対応している。


後ろのゆっきーたちも、特に何も気づいていない。


秋田さんは、すでに次の話題を始めている。


天野姫花は、その話を静かに聞いている。


だが。


私の中では、確かに発動していた。


(……また、やってしまった)


(なぜだ)


(意味は分からない)


(しかし、やらざるを得ないのである)


会計を終え、五人で店を出る。


私だけが、微かに銀色の残像を感じながら、心の中で呟いた。


「今日も……『シルバーチャリンオッツ』は発動したな……」


「説明しよう!」


(私のスタンド――)


(『シルバーチャリンオッツ』)


(それは、飲食店に行った時のみ発動する、謎の能力である)


(レジの横に置かれた募金箱)


(そこへ私は、シルバー色に輝く一円玉を、毎回一枚だけ投入する)


「チャリン……」


(以上である)


(何のための能力なのか?)


(本人にも、よく分かっていない)


(ただし、なぜか毎回やってしまう)


「……」


(これが私のスタンド、『シルバーチャリンオッツ』なのである)


高校生活二日目。


私の「青春の初期配置」は、どうやら想定以上の速度で動き始めていた。


――第12話 次話に続くー

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