三十六話
御者がミカエリスからリュツィフェールに代わってから三週間くらいで港町に到着した。町には私と野郎共で食材の買い出しに繰り出した。馬車は町からは見えない岸壁の所で待機している。
「え?巨大な化け物?」
「そうなんだよ!!今、海に出ようとすると巨大な化け物に食われちまうんだって!!それで何人もの漁師と冒険者が犠牲になったんだよ!!」
魚屋で魚を大量に買っていたら魚屋のおばちゃんが噂話をしてくれた。どうやら面白いことがありそうだ。私は内心ウキウキしながら聞いていた。
「化け物……どんな姿とかわかりますか?」
「それがどれもバラバラなんだよ。巨大なイカだったり、巨大な魚だったりして……」
「そうですか……」
クラーケン?シーサーペント?そっち系の魔物のようだね。航海中に出たら退治しておくか。
複数匹居るっぽい海の怪物にある程度、目星をつけて対応を考える。
「ギルドの依頼でついこの間も冒険者が行ったんだけど……大丈夫か心配だよ」
「何日くらい前ですか?」
「四日前くらいだね。化け物が出る場所まで一週間はかかるから」
「無事な事を祈るしかありませんね」
おやおや、御愁傷様だね。見付けたら回収しておくか。叩きのめされてたら合掌だね。
ギルドから出されている依頼は無駄に死者を増やすだけ。これは一度ギルドのマスターと話し合う必要があるな。
「本当にね……。お嬢ちゃんも海に行くなら気を付けなよ?会っちまったら後ろの男達を盾にしてお嬢ちゃんだけでも逃げなよ」
「はい、わかりました。貴重な情報ありがとうございます」
魚屋のおばさんに冗談を言われて悪乗りして返した私。それに後ろにいた野郎共は動揺した。良い笑みを浮かべた私はおばさんにお礼をのべた。
「気にしないでおくれよ。たんまり買ってくれたんだからさ。また来てくれよ」
「はい。ありがとうございます」
「気を付けてね」
魚屋のおばさんに見送られながら私達は港町を後にした。
「カイト様、化け物ですが大丈夫ですか?」
「あぁ、平気だよ。海に居るんだから、雷落としゃ感電死するし」
「……」
港町を抜けて荷物を大量に持つレオンハルトが声をかけてきた。それに平然と答えた私にレオンハルトは黙った。
「じゃあ、転移するよ」
誰もいない場所についた私は全員居るのを確認して転移した。




