二十話
奴隷都市レイザードの外門を通過して中に入ると結構活気があった。結構需要が有るんだな。入ってくる奴隷の入った馬車を横目にリュツィフェール達に指示を出す。
「リュツィ、エリス。私は奴隷市を見たいから買い物を済ませて来てよ」
「畏まりました。ですが、数人執事をお連れください」
「うーん……じゃあ、十人だけ連れていくよ。後はそっちでわけて」
「畏まりました」
買い物リストを持つリュツィフェールとミカエリスと別れる事にした私は二人にお金を渡した。五十人連れてきた執事の内、十人貰い奴隷市へと向かう私。使えそうな奴等がいれば良いなぁ。
「カイト様。どの様な奴隷をお求めですか?」
「騎士になれそうな奴だね」
「では、あちらなどいかがでしょう?」
奴隷市に入ってからキョロキョロ辺りを見回す私に執事が声をかけてきた。彼らも私と同じで見ただけで相手の能力値がわかる。なので、一緒にキョロキョロしてアドバイスしてくれた。取り合えずそっちの方に行ってみることにした。
「お!!」
「?」
執事に案内されて行くとそこには騎士と言われても遜色が無い男前なイケメンがいましたよ!!そのイケメンをキラキラした目で見ていたら、その視線に気が付いたイケメンが何だこの娘?的な目で見ていた。すると、ここの奴隷商人の人が声をかけてきた。
「この奴隷をお求めですか?」
「買います!!」
「ありがとうございます」
奴隷商人の人、若いな。でも、優男っぽいな。商人のお兄さんを観察しつつ、お会計をお願いした。でも、なんか奴隷を見ると育ちが良さそうな奴等ばかりで気になり聞いてみることにした。
「あ、この子達の事聞いても良いかな?」
「はい。この奴隷達は最近滅亡した東の大陸にある国の騎士達になります」
「は」
私の問いに笑みを浮かべながら答えてくれた商人のお兄さん。それに私は愕然とした。あのイケメン以外使えないよ!!私が声を出そうとした瞬間、近くにいた執事に口を塞がれた。
「カイト様。いかがなさいますか?この際、全員買ってはいかがでしょう?」
「……お前らが楽しみたいだけだろ……」
「そんなことありませんよ」
口を塞いだ執事が綺麗な笑みを浮かべて全員買えと宣った。それに私は呆れて口を塞いでいる手を外した。文句を言うために後ろを振り替えると十人いた執事の内二人しか残っていなかった。
「……ってお前ら!!勝手に買い漁るなよ!!」
「大丈夫ですよ。ある程度能力のある者を買ってきますから」
遠くに見える執事達に向けて叫ぶが聞こえているかわからない。しかも買うこと前提だし。自分達がイビりたいだけだろ。この悪魔共め。
私は溜め息をついてお財布を取り出した。目茶苦茶財布が軽いんですが……。半眼して執事を見るも本人は飄々としていた。
「はぁ……全員分のお会計お願いします」
「た、ただいま!!」
お兄さんに会計を告げると慌てて準備をしている。私が財布を開くと百万リラしかない。足りるかな?
「お会計が二百万リラになります」
「……お兄さんさ、ギルドで昌石換金出来る?」
「は?はい。口座もありますが……」
「ごめん。今手持ちが無くて、これでお願いしたいんだけど良い?」
金額を聞いて私は不思議ポーチから大きめの昌石を取り出した。私の問いにお兄さんは何を言ってるんだ?って言う顔をした。まぁ、そうだよな。いきなり聞かれればそうだよね。私はお兄さんに昌石を渡した。
「!?これは!?」
「それくらいの大きさなら足りる筈だから」
「こんなに頂けません!!」
渡された昌石の大きさと純度を見て驚いたお兄さん。支払金以上の価値であると気が付いたお兄さんは拒絶するが私はそうは思わない。
「いやいや。他の奴等は未だしもそこのお兄さんは二百万以上の価値があるよ。今のままでも相当強いが、もっと鍛えれば大物になる。そんな貴重な存在に巡り会えたこの奇跡に感謝したいぐらいだよ。私が育てたどの騎士達よりも強い。人にしておくのが勿体無いくらいだ。私は良い掘り出し物をしたと思ってるよ」
「……わかりました」
私の力説に根負けしたお兄さんが苦笑しながら受け取ってくれた。それに私は笑みを浮かべた。
「悪どい笑みですね、カイト様」
「お前らには負けるよ」
執事(お前ら)に言われたくないよ。拗ねた私は残ったもう一人の執事をチマチマ苛めていた。本人凄い嬉しそうな笑みを浮かべていたが見なかったことにした。
「これで全員になります」
「ん。ありがとう」
お兄さんが奴隷を檻から出してくれた。二十人くらいか。でも、足りない。まぁ、他の奴等が買い漁ってる筈だからそれなりの人数になるか。彼らの首には奴隷であることを示すチョーカーがされていた。
「そのチョーカーは?」
「奴隷である証となります。そして、主がいる証にもなっております」
なるほどね。チョーカーをしているのは奴隷である証で主がいる証にもなってるのね。馬車に戻ったら外そう。あれは邪魔だ。
「ん、そっか。ありがとうね、お兄さん」
「これからもご贔屓にお願いします。ありがとうございました」
お兄さんに挨拶をしてから私は奴隷達を連れてその場を離れた。




