緊急災害対策本部2
発災から2時間後、東京都千代田区永田町2丁目3番1号、地下1階。首相官邸危機管理センターでは、緊急災害対策本部事務局の職員として参集された官僚たちが走り回っていた。
「四万十市役所と回線繋がりました!」
「東京、成田、茨城、小松、熊本空港運用再開しました!国際線のダイバート始まります!」
そしてその直上、4階大会議室では、浦賀内閣の面々が集い、関係閣僚会議が開催されていた。
「危機管理とは、実際に危機が発生したときにこそ真価を発揮するんです。」
「防災大臣、今後の見通しは?」
浦賀節とも言われる特徴的な言い回しと共に、防災大臣である今橋を指名した浦賀は、その内心最も懸念していることが、今のところ発生していないことに安堵を覚えていた。
「防災庁と国交省が合同で策定し、防衛省の協力をいただいている櫛の歯作戦を軸に、進路の啓開と物資輸送を行う方針です。また物資のプッシュ型支援のモデルケースとして、」
今橋の発言に少し反応した国土交通大臣と防衛大臣。リエゾンの自衛官と官僚が一瞬メモを回し、PCの画面に目を向ける。
「統合災害情報システムに上がっている情報を統合すると、現状推定で直接被害人口は2500万人、です。」
少し言葉に詰まりながら数字を述べた今橋の顔を浦賀が凝視する。
「2500万人ということは、およそ日本国民の4分の1、つまり25%にあたる数ということになります。」
そう言うと浦賀は、防衛大臣へ向き直る。
「矢賀防衛大臣、自衛隊はどうなっていますか。」
黒縁の眼鏡が特徴的な矢賀文徒防衛大臣は、眼鏡の位置を直すと口を開いた。
「東部方面隊及び中央即応連隊を中心に部隊編制を検討しています。まぁ、明日には参集も完了します。中部方面隊及び西部方面隊は被災しており、早期の部隊行動は困難と思われますが、1週間以内に参集予定です。」
淡々と述べる矢賀の後に控える統合幕僚長・横川太一もこれに頷き、同時に統合任務部隊の編制を具申。そして、3時間後の幹部会議で矢賀は統合任務部隊の編制を命令。そして翌日未明、令和14年四国沖地震災統合任務部隊「JTF-黒潮」が編制された。
JTF-黒潮の総司令官は和光忠夫陸上幕僚長、陸海空自衛隊の統合運用により、最大10万人規模の自衛官が7日間以内に被災地域へ投入される予定である。当然、そこには鉄道輸送隊含む自衛隊輸送集団も組み込まれていた。
「明朝6時より陸自東部方面隊、中央即応連隊、第1空挺団の参加部隊を第1ヘリコプター団ならびに中央輸送隊、輸送集団、海空自衛隊と共同で輸送します。」
矢賀の発言に大いに頷いた浦賀は呟いた。
「増援は早ければ早いほどいい。早い方が助けが増えるんだから。」
次話、鉄道輸送隊がついに出動します。
新装備も登場します




