第24話 久しぶりに地下の商品でも手入れするか
朝10時。
店の引戸がガチャリと鍵が開く音を立て、店の中に仁志が入ってくる。
仁志は手にしたスポーツ新聞をカウンターに置くと、コーヒーを入れる準備を始めた。
コーヒーができるとカウンターへ腰掛け、仁志は新聞を広げて煙草に火をつける。
特に「営業中」の札を外に掲げるわけでもなく、静かに『ただの』の一日が始まった。
12時。
仁志はカグヤに持たされた弁当を食べる。
客は一組も来ていない。
「本格的に暇だな……。よし、久しぶりに地下の商品でも手入れするか」
仁志は弁当を食べ終えて綺麗に片付けると、奥の棚から古めかしい店番用のアンドロイドを引っ張り出してきた。
「ちょっと地下に行ってくるから、店番頼んだぞ」
「ハイ カシコマリマシタ イッテラッシャイマセ」
仁志は本棚の隠し扉を開け、地下の四次元倉庫へと向かった。
広大な地下四次元空間へ降り立つと、仁志は自分が店を継ぐ前から放置されている謎のロボットや宇宙船、謎の機械類が動くかどうか、空中に青いホログラム画面を展開してチェックしていく。
「はぁ……こいつは動かん、ジャンク行きだな。そもそもデータベースにも『ミランゲスタ』としか記録されてないから、一体何に使う機械なのかすら分からん……。それに買い取った権太郎ってなん世代前だよ……」
仁志は溜め息をつくと、処分品を運ぶための無重力ホバーの上に、ポイッと「ミランゲスタ」を放り投げた。
「やっぱ機械物は買い取りの時に、ちゃんと用途と仕様を聞いておかないと駄目だな……」
一通り地下の大型在庫を点検し終えると、仁志は店へと戻った。
店に戻った仁志は、『呪物コーナー』や『禁書コーナー』の棚に向かい、ハタキで埃を払う。
怪しく蠢く呪いの人形や、何かが封印されている羊皮紙の書物から「ククク……」「ヒヒヒ……」と不気味な笑い声や囁きが聞こえてくるが、仁志はまったく気にする様子もない。
「よっ、こっちの暮らしはどうだい? 呪い仲間がいるから寂しくないだろ」
以前、女性の幽霊が取り憑いたフランス人形に声をかけると、フランス人形はパチパチとガラス玉の瞳で瞬きをしながら、小首をかしげてみせた。
「早く売れるといいな」
仁志はフランス人形の頭を撫でると手入れ作業に戻った。
16時。
「今日は完全にダメだな……。よし、もう店を閉めて、たまにはカグヤと誠司にケーキでも買って帰るか……」
仁志は吸っていた煙草を灰皿で揉み消すと、溜まったゴミをひとつにまとめ、レジを確認する。
そして空中にホログラム画面を出しと、本日の売上・買い取りの項目にそれぞれ「0円」と入力して画面を閉じた。
閉店作業を終え、外に出ると店の鍵をガチャリと閉めた。




