第21話 最近じゃすっかり見なくなったんだよな
「ワタシハ ウチュウジンダ」
仁志の目の前に現れたのは、巨大なタコのような頭部から何本もの触手が生えた宇宙人だった。手(触手)には、尖った長い銃身の先端に大きな金属球がついたレトロなデザインのレーザー銃を握りしめている。
「見ればわかるよ。火星の人だろ? 今日はどんな御用で」
仁志は淡々とした態度で対応した。
「……えぇー。もっと驚くと思ったのに、この地球人めちゃくちゃドライだな……」
火星人は拍子抜けしたように、片言で話すのをやめた。
「実はちょっと地球に遊びに来ててさ、こっちの現金が欲しいんですよ。だからこのレーザー銃、買い取ってもらえます?」
火星人はレーザー銃を、カウンターの上に置いた。
「おっ、これはまた懐かしいねぇ。この金属球がついたレーザー銃、最近じゃすっかり見なくなったんだよな」
仁志が物珍しそうに手に取り、ズッシリとした金属の感触を確かめる。
「でしょ? せっかく地球に遊びに来るんだから、コテコテのテンプレ火星人スタイルで行こうと思ってさ。実家の押入れから、わざわざ引っ張り出してきたんですよ」
「昔さ、幼馴染の昇とこれで地下の倉庫を走り回ってガンマンごっこしたよ」
仁志はノスタルジーに浸りながら、昔を思い出すようにガンマンのように構えて、銃口を火星人に向けた。
「ちょっとちょっと! こっちに向けないでくださいよ!! 当たったら生体だけ消滅するんですから!!」
悲鳴を上げた火星人が、素早い動きで近くの棚の陰へ身を隠した。
「……そうなの?」
「そうですよ! 古くてもビーム兵器ですよ! おもちゃじゃないんですからマジでやめてください!」
「……マジかよ。親父、遊んでても笑いながら見てるだけだったじゃねえか……」
仁志はそーっとレーザー銃をカウンターの上に置き直した。
「まあ……最近じゃ滅多に見かけないレトロな型だし、俺にとっても思い出の品だからな。よし、3万円で買い取るよ。どうだい?」
「……もうちょい上がりません?」
「……じゃあ、4万で」
「OK!4万でお願いします!」
火星人は仁志から4万円を受け取ると、触手を揺らしながら嬉しそうに店を後にした。
火星人が店から出ていくと、仁志はカウンターの上に置かれたレーザー銃を再び手に取った。
「今度、居酒屋で飲む時に昇にも見せてやろう……。フッ、バキュンバキュン!」
仁志は少しだけ童心に返り、楽しそうにレーザー銃の感触を味わった。




