41 大物でもなんでも、情けないときは情けない。
いよいよご対面
鎖が消えた途端に離れの中の空気が目に見えて心地よくなる。今回も上手く祓えたようだ。呪いがにげることで発生する二次災害的なことも防げたので万々歳だ。
「で、でんかーーーー。」
「すぐに医者を、いや全員呼べー。」
あわただしくベットと群がる人達のせい、そこにいた誰かの姿は確認できなかったが、様子を見るかぎり生きてはいるようだ。
ただ一週間も檻の中に閉じ込められていたなら、その見た目はきっと・・・。
「タチアナさん、離れましょうー。」
「えっいいんでしょうか。」
「この場に残る方が不敬になりそうですー。」
『くく、そうじゃな、これより先を見てしまうことで、不都合がありそうじゃ。』
そんな騒ぎの中、俺はタチアナさんの肩に触れて、部屋を出るように促す。ダーパル様の指示を待つべきなのかもしれないけど、この状況で色々目撃してしまう方がまずい。
まあ、武士の情けと言うことで。
その後、廊下でボーと待つこと10分。慌ててやってきたメイドさんに案内された客間でお茶とお菓子を振る舞われて待つこと小一時間ほど。屋敷全体の喧騒がやや収まったころに、ダーパル様が現れ、そのまま別の部屋へと案内されることになった。
「お二人とも、このたびは。」
「ダーパル卿、頭を上げてください。我々は務めを果たしたにすぎません。」
「そ、それはそうだが・・・。」
鎖が消えた途端に離れの中の空気が目に見えて心地よくなる。今回も上手く祓えたようだ。呪いがにげることで発生する二次災害的なことも防げたので万々歳だ。
「で、でんかーーーー。」
「すぐに医者を、いや全員呼べー。」
あわただしくベットと群がる人達のせい、そこにいた誰かの姿は確認できなかったが、様子を見るかぎり生きてはいるようだ。
ただ一週間も檻の中に閉じ込められていたなら、その見た目はきっと・・・。
「タチアナさん、離れましょうー。」
「えっいいんでしょうか。」
「この場に残る方が不敬になりそうですー。」
『くく、そうじゃな、これより先を見てしまうことで、不都合がありそうじゃ。』
そんな騒ぎの中、俺はタチアナさんの肩に触れて、部屋を出るように促す。ダーパル様の指示を待つべきなのかもしれないけど、この状況で色々目撃してしまう方がまずい。
まあ、武士の情けと言うことで。
その後、廊下でボーと待つこと10分。慌ててやってきたメイドさんに案内された客間でお茶とお菓子を振る舞われて待つこと小一時間ほど。屋敷全体の喧騒がやや収まったころに、ダーパル様が現れ、そのまま別の部屋へと案内されることになった。
「お二人とも、このたびは。」
「ダーパル卿、頭を上げてください。我々は務めを果たしたにすぎません。」
「そ、それはそうだが・・・。」
移動中、ダーパル様は何度も頭を下げて感謝と放置していたことのわびを入れてきたが、対応はタチアナさんに任せて俺たちは黙って後に続いた。
聞けばこのダーパル様は、王城と周辺の設備を管理する宮廷長らしく、ロッド様にも並ぶ権力者らしい。一介の傭兵である俺ごときがおいそれと口を聞いていい相手ではない。
『気にし過ぎだと思うがのー。恩人に対して礼を忘れるような御人ではあるまい。」
それでもだ。ダーパル様本人が許しても、この微妙な温度の視線の主がどう判断するかまでは分からないので、振る舞いに気を付けるべきだ。
もつかどうがは別として。
「ここだ、この先でお待ちしている。」
案内されたのは、離れの最上階にある執務室だった。どうにも貴族というのは、高いところで仕事をして、低く狭いところで眠りたがるらしく、その部屋は寝室よりもかなり大きかった。
日当たりを考慮した家具の配置。豪華な執務室についた部屋の主は、それに負けずオーラ―と気品をもった青年だった。
「この度は大儀であった。」
「殿下、ご快復、心よりお慶び申し上げます。」
腕を組んでそう告る青年に対して、ダーパル様、タチアナさんが膝をつき、俺もそれに習った。これは相当な大物らしい。というか殿下ってさあ。
『主よ、瞳をよく見てみろ。緑と青のオッドアイ。あれはこの国の王族に継承される特殊な物じゃぞ。』
「まじかよ。」
小声とはいえ、思わず声が漏れてしまった。やんごとなき人って王族関係者。というか。
「そこな御人もおることだし、改めて名乗ろう、我はプリウス・ドゥノ。情けない姿を見せてしまったが、このドゥノ共和国の王太子をさせてもらっている。よろしく頼む。」
やっぱり王族、それも王子かよ。
『主、返事をせぬか。名乗れ、すぐに名乗れ。』
「は、はい。私はスカル。北部より旅をしている傭兵です。」
「なるほど、北部の、北部の傭兵は優秀なのだな。」
エミリーに促されて俺は慌てて返事をした。返事をしたけどいいのか?
「殿下、この方の身元は、ロッド卿とタチアナ様が証明されております。」
「わかっている、それにあの見事な魔法を見ればただ者ではないことは分かる。うん、うん。」
ダーパル様の補足に、プリウス様は何度もうなづかれた。実感というかいろんな感情が込められた動作だった。
「いや―――――、マジで助かったわ、感謝、感激。」
はっ?
「スカル殿、ほんとありがとう。あの時はマジでダメだと思ったよ。ほんと助かった。」
「ええっと?」
「殿下、言葉遣い。」
「うぐ、いやいいじゃん。大事なのは堅苦しい威厳じゃなくて、感謝の気持ちと謝礼だろ。」
おいおい、急にフランクになった王子。
「あっ、スカル殿もいつも通りでかまわない。命を狙わない限りはどのような言動も不敬とはとらないし、望む限りの謝礼は用意する。というかあれだな、いつまでもそんな姿勢でさせることが失礼だな。おい、すぐに椅子を持ってきなさい。恩人たちをいつまでたたせておくんだ。」
そのままパンパンと手を叩きながら指示を出して、いくプリウス王子。判断の早さはロッド様に通じるものがあるが、なんだろう。
『軽いのー。威厳もなにもあったもんじゃないな。』
「ああ、確かにー。」
先ほどまでの空気はなんだったのか、気配りができるのはいいが言動がものすごく軽い。フランクなのはいいが、これが王子となると不安になるのはなぜだろう。
「ははは、相変わらずですね。プリウス様。」
「タチアナ姉さん、人間、そんなに変われないよ。そんなことよりも座って座って、正直、見上げれるのって落ち着かないしさー。」
えっ、姉さん?
「ええっと、プリウス様とは、子どものころに交流がありまして。」
「貴族の子息として交流がありまして、このように気さくな関係なのです。」
「なるほどー。」
うん、タチアナさんが知り合いだったからスムーズに通されて祓いができたと。それと、あれだけ呪われていたのも王子ならば納得だ。
『くくく、まさか王子を救うことになるとは、因果なものじゃなー。』
君はそうでしょうねー、怨霊さん。
スカル 「王子っていったい。」
エミリー『この国の王族は相変わらずじゃのー。』
チャラい王子を書きたかった。




